地域金融リスクの把握、精緻化=金利・人口減、早期警戒制度見直し―金融庁

0

2025年10月22日 22:01  時事通信社

  • チェックする
  • つぶやく
  • 日記を書く

時事通信社

金融庁=東京都千代田区
 金融庁が、地域金融機関の財務健全性や収益性の悪化を防ぐ「早期警戒制度」の運用を見直す方向で調整に入ったことが22日、分かった。金利上昇や地方の人口減少などを踏まえ、モニタリングを精緻化する。金融庁は地域金融機関を取り巻く経営リスクを把握し、早期に対応できるようにする考えだ。

 月内に開く金融審議会(首相の諮問機関)の作業部会で議論する見通し。議論を踏まえ、地銀や信用金庫といった地域金融機関向け監督指針の改正を検討する。

 金融庁は2002年に早期警戒制度を導入。金融機関の収益性に加え、保有する有価証券が抱えるリスクなどの項目で基準を満たさない場合、経営改善を促す。必要な場合は、報告徴求命令や業務改善命令を出すことができる。

 地域金融機関の足元の経営状況を見ると、日銀の利上げに伴い「金利のある世界」が到来し、保有する国債の含み損が拡大した事例が目立つ。また人口減少によって、預金だけではなく資金需要も落ち込み、地域金融機関の経営基盤が脆弱(ぜいじゃく)になることも懸念される。金融庁はきめ細かくリスクを把握し、早期に地域金融機関と対話する体制整備が必要と判断したもようだ。

 金利上昇の影響で、栃木信用金庫(栃木県栃木市)は、国債の含み損が自己資本を上回った。金融庁が早期是正措置を発動する基準に抵触したため、同信金は信金中央金庫から40億円の資本支援を受けている。 
    ニュース設定