第36回高専プロコン松山大会、競技部門優勝は八戸高専、課題部門は鳥羽商船高専、自由部門は熊本高専熊本キャンパスが最優秀賞

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2025年10月23日 17:31  BCN+R

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競技部門の競技の模様。くにびきメッセ・大展示場の半分のスペースを使って行われた
 全国高等専門学校連合会は10月11、12日の2日間「第36回全国高等専門学校 プログラミングコンテスト(高専プロコン)」本選を、島根県松江市で開催した。競技・審査の結果、競技部門では八戸工業高等専門学校のチーム「八億戸高専」が優勝。課題部門では、鳥羽商船高等専門学校の「しらせーる―持続可能で環境配慮型のシラス漁支援システム―」、自由部門では、熊本高等専門学校 熊本キャンパスの「CPR BEAT―命をつなぐ、心肺蘇生訓練リズムゲーム―」がそれぞれ最優秀賞を獲得した。

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 「水都で創る、未来のイノベーション」をテーマに開かれた高専プロコン。松江工業高等専門学校を主管校に「島根県立産業交流会館 くにびきメッセ」で、部門ごとにハイレベルな戦いが繰り広げられた。競技部門では、全国から八百万の神々が集う「神在月」の出雲大社にちなんで、テーマを「縁結び」に設定。タイトルを「エ。ー縁結びの誘導についてー」とした競技を行った。マス目状に1桁の数字がランダムに広がる「初期盤面」から、2×2以上の任意の正方形の範囲を回転させ、同じ数字が隣り合うようにしていく、というもの。これを「縁を結んでいく」ことに見立てた。勝敗は、ペア数の数の多さ、回転させる手数の少なさ、回答までの時間の短かさで決める。試合時間は5分。1回戦は14×14、準決勝は20×20、決勝は24×24のフィールドで戦った。プログラミングコンテストらしい競技内容で、ほとんどのチームが時間内に全部のペアを完成させていた。決勝戦では、八戸高専がペア数が最大値の288、手数307、時間4分41秒を記録。準優勝の東京高専とはわずか3手差で勝利した。

 課題部門の課題は「ICT を活用した環境問題の解決」。最優秀賞を獲得した、鳥羽商船高専の「しらせーる―持続可能で環境配慮型のシラス漁支援システム―」は、シラス漁の支援システム。シラスの漁獲高が激減している現状を受け、漁業資源の保全と効率的な漁の両立を目指した作品だ。主な機能は「漁場の予測」と実際の「漁獲高の記録」。漁場の予測については、クロロフィル濃度が高い海域に集まりやすい、というシラスの習性を利用。衛星データや過去の漁獲高などから濃度を推計するなどして漁場を予測する。このデータをもとに船団の操業海域を割り振る。乱獲を防ぐため、獲れすぎる恐れのある海域をあらかじめ省く機能もある。実際の漁獲高については、漁船にデータ収集用のカメラを設置。画像解析を行い、GPSデータと組み合わせ漁獲高と実際の漁場を記録し「漁獲実態の見える化」を実現する。予測、記録とも、AI処理を活用して精度を高めた。審査員からは「完成度の高いシステムだ」との声が聞かれた。

 自由部門で最優秀賞を獲得した熊本高専 熊本キャンパスの「CPR BEAT―命をつなぐ、心肺蘇生訓練リズムゲーム―」は、救命講習を楽しくスマートに行えるゲーム。心肺機能が停止した人の生存率が、欧米に比べて日本は極めて低い点に着目。また、CPR(心肺蘇生法)を施さなかった場合に比べ、AEDとCPRを併用した場合には生存率が10倍にもなるという。そこで一般人に向けたCPR普及が必要だとして、このゲームを開発した。ガイドに合わせて胸骨圧迫を行うと、圧迫の深さや速さなどを分析しどの程度適切な状態なのかを、画面表示と音で知らせる。さらに、「スコア」や「詳しい分析結果」を表示させることも可能で、現状を数値化し、技術の向上に役立てることもできる。また、画面に表示されたQRコードをスマートフォンで読み取ることで、結果を取り込むことができ、後から参照できるようになる。このほか、複数人で胸骨圧迫、AED、交代を繰り返す「チーム練習」機能やガイド、フィードバックなしに圧迫スキルを計測できる「リアルモード」なども備える。訓練人形に後付けで装着できるため安価なのも大きな特徴だ。審査員からは「消防署職員に話を聞いたり必要な資格を取るなどして、驚くほどの努力で感心した」との声が聞かれた。

 次回の高専プロコン本選は2026年10月10、11日、香川県高松市の「高松シンボルタワー」で開催する。主管校は香川高等専門学校。課題部門のテーマは、生産労働人口が減少する日本の窮状を解決すべく「ICTを活用した作業効率の向上」とすることが決まった。

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