“ブチャでの市民虐殺はフェイク” ロシア最大の嘘を暴く決定的映像と証言

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2025年10月25日 00:08  TBS NEWS DIG

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TBS NEWS DIG

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ウクライナの首都キーウ近郊の街ブチャ。ロシア軍が撤退した今年4月、街の至る所で市民の遺体が見つかった。今も「市民虐殺などやっていない」と言い続けるロシア。しかしロシアが虐殺に関わったことを示す決定的映像、そして虐殺の現場から奇跡的に生還を果たした男性の証言が、ロシア最大の嘘をあぶり出す。
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【写真を見る】決定的瞬間をとらえた防犯カメラ映像 “ブチャでの市民虐殺はフェイク” ロシア最大の嘘を暴く決定的映像と証言

4月上旬、ウクライナの首都キーウ近郊の街ブチャ。至る所で、市民の遺体が見つかりました。「市民虐殺」と報じられると、ロシア側は・・。

ロシア・ラブロフ外相:「ブチャでフェイクニュースが作られました」

プーチン大統領も…

「フェイク!」

「遺体はウクライナ側が置いた」もので、「虐殺はフェイク」だと主張しているのです。

■遺体現場には銃痕 家族の慟哭

私たちは今回、ブチャに入り、真相を追いました。

ヤブランスカ144という通りにある建物。この敷地でも、多くの男性の遺体が見つかったといいます。

増尾記者:
「男性たちの遺体はこちらのスペースで見つかりました。今もこうして銃が撃ち込まれた跡が、生々しく残されているんです。ここで見つかった遺体は顔を殴られたり、目がえぐり取られていたりと、拷問された様子があったということです」

花が手向けられた現場には、ここで亡くなった8人の遺影が。いずれもブチャで暮らす、ごく普通の市民でした

そのうちの1人、スビャトスラフ・トゥロフスキーさん、35歳。

私たちはトゥロフスキーさんの実家を訪ねました。父親は毎日、祭壇の前に来て、息子の写真を眺めると言います。

トゥロフスキーさんの父:
「毎朝、彼の写真にキスをします。しかし写真は写真にすぎません。生きている息子を抱きしめたいのに」

幼い頃から、明るく元気だった息子。印刷工として、まじめに働いていました。トゥロフスキーさんの部屋は、今もそのままです。

トゥロフスキーさんの父:
この部屋に入ると、息子が笑顔で、「やあ!」と挨拶をしてくれる気がします・・・

なぜ彼のような、ごく普通の市民が、虐殺されたのでしょう。

トゥロフスキーさんたちはボランティアの市民で構成される領土防衛隊に入り、検問所を通る人のIDをチェックするなどしていました。

そこにロシア軍が、侵攻して来たのです。

■最後尾の人物が銃を…決定的な瞬間が防犯カメラに

男性たちは、検問所近くの建物に、一晩中、身を潜めます。アンドリー・ドボルニコフさんは、翌朝、妻に電話をかけていました。

アンドリー・ドボルニコフさんの妻:
「彼は私に電話をくれました。“荷物をまとめて”“状況が緊迫しているから、携帯の写真をすべて削除して”“君を愛しているよ”それが最後の言葉でした」

男性たちはロシア軍に見つかり、捕らえられます。

決定的な瞬間を、当時あった防犯カメラが捉えていました。そこには・・・

私たちが入手した映像。男性たちが、手を頭の上にのせ、前の人の腰のあたりをつかみ、一列になって連行されています。

最後尾の人物は、銃を構えています。

男性たちは、銃を突き付けられ、近くの駐車場の方へと連行されていきました。その時の様子を、近所の住民が撮影していました。

撮影した女性:
「戦車が来て、その後ろを兵士が歩いているでしょ。カーテンのすき間から出るのが怖くて・・・」
「ロシア軍は、彼らにライフルを向けながらここに連れてきて、ひざまずくようにさせたんです」

映像には、男性たちが連行され、ひざまずかされる様子、そしてロシア軍を示す「V」の文字も。

この後、男性たちは、最後に遺体で見つかった場所へさらに連れて行かれます。

そこで何が起きていたのか。それを知る人が・・・。連行された中の、この男性。奇跡的に生き延びていたのです。

私たちはその男性を探し出し、会うことが出来ました。

イワン・スキーバさん、43歳。
事件の後、ウクライナを逃れ、現在はポーランドで生活しています
当時の体験を、生々しく証言しました。

■「ロシア軍は何も言わず、立つように命令し、殺した」

スキーバさん:
「私たちは、頭を下げたうえで、ひざまずかされました。こんな感じです」

男性たちは、「お前らは何者だ」「なぜ隠れていたんだ」と厳しく尋問されます。

そして突然、スキーバさんの隣にいた男性が射殺されたのです。

スキーバさん:
「ロシア軍は何も言いませんでした。彼に立つように命令し、彼を殺したんです。“自分たちは本気だ”ということを示し、残った我々を脅すためです。自分も殺される。覚悟しました」

その後、スキーバさんと仲間一人が、近くの建物の中に連れていかれます。

スキーバさん:
「頭にバケツをかぶされました。ひざまずかされ、手をテープで縛られ、頭を壁につけました。そして彼らは、背中にレンガを乗せ始めました。私が倒れるまでレンガを何個も乗せるんです。『お前はウクライナ兵か?』と言って、銃で殴りました」

意識がもうろうとする中、銃声が聞こえ、仲間の声は聞こえなくなったといいます。
 
その後スキーバさんは、別の3人の仲間と共に、建物の脇に連れていかれます。

「動くな!」
その命令に1人が従わなかったことをきっかけに、全員が一斉に銃撃されたのです。

スキーバさんも、わき腹を後ろから撃たれました。

スキーバさん:
「弾は背中から入って、ここから出ました」

弾は左のわき腹を貫通。スキーバさんは激痛に耐えながら、息を潜め、死んだふりを・・・。

スキーバさん:
「私は動かないで、息をしないようにしました。冬だったので、息をすると吐く息が白く見えるから」

すると・・・

スキーバさん:
「『あいつはまだ生きている』というロシア軍の声がしました。見ると、彼の腕が少し動いていました」

■「やったのはロシア軍だ。間違いなく言える。プーチンの軍隊だ」

それは、父親が実家を案内してくれた、あのトゥロフスキーさんでした。

その時はまだ、生きていたと言うのです。しかし・・・。

スキーバさん:
「『放っておいても死ぬだろう』という声がしましたが、その後、銃声が聞こえ、トゥロフスキーさんの腕は動かなくなりました。次は自分だ。殺されるだろうと思いました。つらかった」
「兵士の声が聞こえていました。彼らはお互いにジョークを言い合い、笑って楽しんでいました」

兵士たちが去った後、スキーバさんは、近くの家に助けを求めました。

「市民虐殺はフェイク」と言い続ける、ロシアへの怒りは募ります。

スキーバさん:
「私にもロシアに親戚がいますが電話して、こんなことが起きていると伝えると『ありえない。それはウクライナのナチがやっている』と言われました。やったのはロシア軍だ。間違いなく言える。プーチンの軍隊だ」

ナタリアさんは夫を亡くしました。
家具店で働いていたアンドリー・ベルボビイさん、55歳。

記念日には、必ず妻にバラを贈る優しい夫だったと言います。

ナタリアさん:
「あの時、彼が体験したことを思うと、とてもつらいです。私の人生は止まりました。私は彼なしで生きることを学ばなければなりません。そしてそれはとても難しい」

事件は、深い悲しみを残しました。

このニュースに関するつぶやき

  • お互いにプロパガンダをやり合っているのよねぇ〜大事なのは、ロシアとウクライナが争うように命令をした奴が、裏にいるということよねぇ🤔そいつらがお互いにプロパガンダをやり合うように指示してるでしょうし。
    • イイネ!3
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