トランプと高市早苗、相性は"最高"ゆえに"最悪"!? もし会談したら「至る所に分断の"落とし穴"」

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2025年10月25日 07:30  週プレNEWS

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2014年10月の安倍晋三首相と高市早苗総務相(いずれも当時)。安倍氏は21年の自民党総裁選で高市氏を強く後押しし、継承者として期待を寄せていた


10月末、トランプ大統領が来日する。気になるのは、日米首脳会談の相手が誰になるのかだが、もし当初の想定どおり、高市早苗氏がトランプ氏と対峙したら、それは日本にとって吉と出るか凶と出るか。

米政治の専門家に、「高市×トランプ」の相性とそのリスクを占ってもらった!

【写真】親交を深めたトランプ大統領と安倍氏

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■"SHINZO"の弟子として特別扱い?

政局が混乱する中、刻一刻と迫っているのが10月27〜29日のトランプ大統領の来日だ。トランプ政権が復活してから初の訪日となる。当初の想定どおり、高市早苗氏が新首相として会談相手となる可能性が高そうだが、そもそもトランプ氏と高市氏の相性は良いの? 悪いの?

「相性は抜群です」と語るのは、上智大学教授で現代アメリカ政治が専門の前嶋和弘氏だ。

「そう考える理由のひとつは、彼女が"安倍晋三の弟子"だと認知されているためです」

高市氏は安倍政権で総務大臣を務め、2021年の自民党総裁選では安倍氏に後援され、事実上の"安倍路線の継承候補"として出馬している。

「安倍氏はトランプ氏の大統領就任前からニューヨークに赴き、世界の首脳の中でもいち早く会談を行なった人物。トランプ氏は安倍氏を親しげに『SHINZO』と呼び、在任中もたびたび個人的な信頼関係をアピールしていました。

そのまな弟子とあらば、大切に扱うはずです。今年2月にトランプ氏は石破茂氏とも会談していますが、石破氏の名前はすでに頭から抜けていると思います」


もうひとつの理由は、宗教団体との近さだ。

「高市氏自身は関係性を否定していますが、自民党の中では旧統一教会との距離が近かったほう。一方のトランプ氏の支持層の多くは保守的なキリスト教福音派です。彼の目には、高市氏が"宗教右派に支えられたリーダー"として映る可能性もあるのです」

アメリカ在住の作家でジャーナリストの冷泉(れいぜい)彰彦氏も、「馬が合うはず」と語る。

「トランプ氏が特に嫌うのは、いわゆる"エリート臭"のする人間です。彼にとっては、左派か右派かという政治思想の違いよりも、『いい大学を出ている』『頭が良さそうに見える』といった雰囲気のほうがずっと重要で、それを嗅ぎ分ける嗅覚があります。

それが結果として、エリートの多いリベラル派や民主党の政治家を毛嫌いしているように見えるわけです。

その点で言えば、高市氏は国立大学出身で大学教授の経験もありますが、知識や肩書よりも胆力を前面に出すタイプ。そうしたキャラクターはトランプ氏の好みにかなり近いと言えます」

高市氏が総裁選に勝利したことを受け、トランプ氏は自身のSNSで「日本初となる女性首相の誕生」を祝福するコメントを投稿した。

「当然、彼は日本の政治の仕組みを理解していないから、そんな発言をしてしまったのだと思いますが......。女性の中で見ても高市氏はトランプ氏に好かれるタイプだと思います。

というのも、彼は自分に突っかかってくるくらい強気な女性を好むんです。現政権でも、首席補佐官や司法長官といった重要ポストにそういう女性を起用しています」

しかし、トランプ氏はアメリカ生まれのブロンド(金髪)の白人女性にしか興味ないイメージもあるが?

「その見方は必ずしも正しくありません。初婚のイバナ・トランプ氏は旧チェコスロバキア(現チェコ)出身で、現妻のメラニア・トランプ氏は旧ユーゴスラビア(現スロベニア)出身。

どちらも西欧社会では下に見られがちな出自です。メラニア夫人がファーストレディとして欧州を訪問した際には冷遇されたこともありました。

ちなみに、日本を訪問した際にメラニア夫人は天皇家から丁重に接遇を受けました。その記憶が夫妻の中に強く残っており、トランプ氏が日本を特別扱いする要因のひとつになっているのです」

■会談後に密室会談を持ちかけられたら......

では、ふたりが実際に会談したらどうなるのか。前嶋氏は「気に入られるのは難しいことではない」と語る。

「相性はいいはずなので、トランプ氏の好きな"ヨイショ"をすれば、『SANA(サナ)!』と呼ばれるくらいに気に入られる可能性はあります」

しかし、気に入られることで別のリスクも浮上する。

「馬が合うからこそ危ういかもしれません。総裁選での麻生氏との連携からもわかるように、高市氏は強い人の懐に入るタイプ。これは政治家としての長所でもありますが、相手がトランプ氏の場合は危険です。彼はビジネスマン時代から、相手を心理的に取り込み、自分の条件をのませるすべを熟知していますから。

例えば、オフィシャルな会談の後に、ふたりだけの密室会談を持ちかけられた場合。英語力や外交交渉の経験が十分でないまま、日本に不利な条件を引き出され、その内容をトランプ氏が自身のSNSに誇らしげに書き込む......そんな展開すら想定できます。

考えられるのは、最近トランプ氏が日本と韓国に対して求め始めた対米投資の先払いです。覚書にそんな記述はありませんが、それを交渉カードとして持ち出してくるかもしれません」(冷泉氏)

前嶋氏も、「至る所に分断のきっかけとなる"落とし穴"がある」と指摘する。

「例えば高市氏は明確な対中強硬派ですが、今のトランプ氏は中国を敵ではなく、金を落とす相手と見始めています。今の彼は国外ではなく国内のリベラル派を叩くことで支持を固めている。

これを理解せずに『日米共闘で対中包囲網を』などと持ちかけてしまえば、トランプ氏が心を閉ざすかもしれません。

さらに、石破政権とトランプ氏が妥結した関税交渉について、高市氏は石破氏への対抗心もあってか、過去に否定的な意見を述べていました。しかも、どうやらその発言内容をトランプ氏の側近らも把握しているようなんです。そこを突かれたとき、高市氏は説明できるのか。

また、先日ワシントンでシンクタンク関係者と話をしたら、自民党が弱体化していることは誰もが知っていました。つまり、トランプ氏も政権の不安定さを理解しているはずで、そこにつけ込んでくる可能性もあります。

とはいえ、こうした懸念点をクリアし、トランプ氏と良好な関係を築けば築くほど、国際社会からは冷ややかな目で見られるという難しさもある。トランプ氏との会談は、そうした絶妙なバランス感覚が求められるのです」

果たして、新首相にそんな立ち回りができるのだろうか。

写真/時事通信社

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