
今や大企業として知られる会社も、立ち上げ当初はコンプライアンスなど無縁の混沌とした状態だったのかもしれない。昭和の終わりごろ、とある企業のコールセンターでアルバイトとして働いていた女性(50代)が、当時の驚愕体験を投稿で明かした。
職場には統括の男性はめったに現れず、現場を仕切っていたのは「やたらとケバい女性室長」。聞けばその室長、元はバーのホステスで、統括がスカウトしてきた人物だという。女性は、当時は「茶髪=不良」と言われた時代だと振り返るが、その室長も茶髪だった。“茶髪室長”が、アルバイトに「1日100件以上電話しろ!アポ取れ!」と怒鳴る毎日だったという。(文:篠原みつき)
他社の顧客リストを盗んで拍手喝采
その職場の異様さは、強引な営業手法にも表れていた。女性は、コンプライアンス的に問題のある手法が横行していたと振り返る。同業他社に社員を潜入させて顧客リストを盗ませる、といったことまで行っていたという。
「朝礼で『(他社を出し抜く)作戦、大成功!』と発表し、側近たちが拍手喝采。『なんだこの会社?』と思いました」
|
|
|
|
そんなある日、女性は室長の側近に「会議室に来て」と呼び出された。
「入ると、室長がふんぞり返り、側近たちがズラッと並んで睨んでいる。空気が完全にリンチ前。室長がいきなり怒鳴った。『あんた!他社のスパイやろ!』。側近たちも『もう分かってんねんで!』と怒号」
震えながら理由を尋ねると、室長は「あんた、電話が上手すぎるんだよ。素人じゃないね!」と言い放った。女性が「前職で大手コールセンターにいたからで、履歴書にも書いてます」と説明しても、室長は「やっぱりその会社のスパイやな!」と聞く耳を持たなかったそうだ。
統括登場、そして室長のあっけない幕切れ
そこに、あらかじめ呼び出されていたのか統括の男性が現れる。室長は「お待ちしてました 他社のスパイ捕まえましたぁ!」とノリノリだったが、統括は冷静だった。
統括は女性をチラッと見ると、近くのアルバイトたちを呼び「ねえ、この人スパイだと思う?日頃怪しいことしてる?」と尋ねた。皆が「え…違うと思います…」と困惑する中、側近の一人が「やっぱ違うんじゃない?」とポツリ。すると室長は急に笑顔になり、
|
|
|
|
「違ったかもしれへんっ!ごめんなっ!」
「…え、なにこれ」と呆れた女性だが、そのまま解放された。しかし、翌日から室長が出勤しなくなると、今度は側近たちが来て、
「あなたが原因だから、『気にしないでください』って手紙を(室長に)書いて」
と要求してきたという。女性は「そんなアホな」と思い、そのまま辞めた。
それから月日が経ち、その会社は大企業へと成長したという。女性は「先日、その企業の若い営業マンと話したときに『この人が生まれる前の事だったな』と思い起こした。あの茶髪室長、今どこでどうしてるんだろう」と、当時を振り返った。
|
|
|
|
※キャリコネニュースでは「『この上司はダメだ』と思った瞬間」をテーマに投稿を募集中です。回答はこちらから https://questant.jp/q/TRBML597
