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<日本シリーズ:阪神2−3ソフトバンク>◇第5戦◇30日◇甲子園
ソフトバンク山川穂高内野手(33)が日本シリーズMVPを初受賞した。打率3割8分5厘、3本塁打、7打点。「いい状態で打席に入れたので、いい結果が出たと思います」。第2戦から第4戦でシリーズタイ記録となる3試合連続本塁打も放った。文句なしの大暴れ。新たな勲章を手にし、堂々と胸を張った。
苦しみ、もがき、最後の最後に意地を見せた。今季は定位置の4番から外れ、スタメン落ちを経験。移籍後初めて2軍落ちの屈辱も味わった。レギュラーシーズンでは極度のスランプに陥り、人知れず悩んだ。「何とかしようとして球場に行って。何ともならなくて。それでも何とかしようとして」。23本塁打、62打点はともにチーム最多だが、打率2割2分6厘。好機ではことごとく凡退することもあった。得点圏打率1割7分6厘。その数字がそれを物語っていた。
打撃不振の要因に左足首痛があった。開幕後に負傷し「万全だったら打ててたかなって思うけど…。仕方がない」と言いわけはないが、歯車が狂ったのも事実。6月のファーム再調整期間中には痛みを止めるべく、注射も打った。満身創痍(そうい)も、シーズン最終盤にさしかかったころだ。試合前練習が始まる数時間前に誰よりも早くグラウンド入りしたことがあった。本拠地のスタンドでのランニングで汗を流した。常に大事にしてきた「準備」を1度も怠ることはなかった。
そんなことを世間は知るよしもない。打てば称賛も、打てなければ批判の的になる。それでも「周囲は気になりませんよ。『不振』って書かれても気にしない。そんなの気にしていたら4番は打てないでしょ」。長年、打線のど真ん中に座り続けた。その重責は百も承知。「(打てば)みんなが手のひらを返す」。プロである以上、雑音を結果でかき消すしかなかった。
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苦悩の1年を乗り越え、頂上決戦で完全に息を吹き返した。日本一は野球人生初めて。まだ見ぬ景色に、復活を遂げたスラッガーの表情に充実感がにじんだ。【佐藤究】
◆日本シリーズ・ニッカンMVP査定 <5>戦は同点2ランの柳田、延長11回Vアーチの野村に各4ポイント。シリーズのトータルではV打2度、3戦連発の山川がMVPだった。
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