遺族の声が突き動かした時効撤廃 「コールドケース」の解決相次ぐ

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2025年11月01日 08:43  毎日新聞

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毎日新聞

26年前の主婦殺害容疑で逮捕された安福久美子容疑者が取り調べを受けていた愛知県警西警察署=名古屋市西区で2025年10月31日午後8時45分、山崎一輝撮影

 事件発生から約26年。名古屋市西区の主婦、高羽奈美子さん(当時32歳)を殺害したとして逮捕されたのは、高羽さんの夫、悟さん(69)の高校の同級生だった。安福久美子容疑者(69)=同市港区東海通5=が10月30日午後、捜査本部が置かれる愛知県警西署に出頭したことで、事件は大きく動き出した。


 26年前の殺人事件が容疑者逮捕にこぎ着けたのは、殺人罪の時効が撤廃されたからだ。時効撤廃は、遺族の声に突き動かされて実現した。


 1996年に東京都葛飾区の自宅で殺害された上智大4年の女性の父、小林賢二さんは当時の時効(15年)成立まで3年に迫った2008年、「凶悪事件では時効を撤廃してほしい」とメディアを通じて訴えた。


 この思いは00年に発生した世田谷一家殺害事件の遺族などにも伝わり、時効撤廃・停止を求める殺人事件被害者遺族の会「宙の会」の結成につながる。


 殺人など全国の未解決事件を取り上げる毎日新聞のキャンペーン報道企画「忘れない〜『未解決』を歩く」なども契機となり、当初は見直しに消極的だった法務省も次第に態度を変え、殺人など12罪の時効を廃止する改正刑事訴訟法が10年に成立。即日施行された。


 13年には三重県警が、上野市(現伊賀市)のビジネスホテルで97年に発生した強盗殺人事件の容疑者の男性を16年ぶりに逮捕。捜査本部が設置された殺人などの重大事件のうち、時効撤廃後に逮捕された初のケースとなった。


 その後も「コールドケース」と呼ばれる長期未解決の事件で近年、容疑者が逮捕されるケースが相次いでいる。時効撤廃のほか、DNA型鑑定などの科学捜査技術が向上したことなどが影響しているとみられる。


 21年には、広島県福山市で01年に発生した主婦刺殺事件で、県警が20年を経て容疑者の男性を逮捕。神奈川県警は25年、川崎市の山林で10年に白骨化した男性の遺体が見つかった事件で元同僚を逮捕。事件から22年後の逮捕となった。【木原真希】



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  • 長年の捜査で逮捕したニュースと時効撤廃で、逃げてる奴がいつまでも怯えなければならない空気であってほしい
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