初公判に出廷した山上徹也被告(手前)=10月28日(イラスト・松元悠氏) 安倍晋三元首相銃撃事件で殺人などの罪に問われた山上徹也被告(45)の裁判員裁判の第5回公判が5日、奈良地裁(田中伸一裁判長)で開かれた。事件直後に被告宅を家宅捜索した奈良県警の警察官が証人出廷し、「足の踏み場もない状態で、一般の住宅というよりテロリストのアジトのように感じた」と述べた。
法廷では、捜索で押収された手製銃が示され、被告はいったん確認した後、目を背けるように手元の資料を読んでいた。
警察官は当時、県警組織犯罪対策課に所属し、主に薬物や銃器の取り締まりに従事。約20人での捜索では、手製銃や火薬が暴発する危険性を考慮し、機動隊の爆発物処理班が先行して部屋に入ったと語った。
被告宅からは、手製銃6丁のほか、レーザースコープや薬きょうなどを押収。後の捜査で爆発の危険性はなかったと判明したが、容器に入った大量の火薬を見つけた際、「爆弾だ」と思ったという。事前に呼び掛けていた近隣住民の避難範囲を拡大したことも証言した。