財政制度等審議会の財政制度分科会後に記者会見する増田寛也会長代理=5日、財務省 財政制度等審議会の財政制度分科会は5日、社会保障改革について議論した。2026年度は2年ごとの診療報酬改定を迎える。賃金や物価上昇で逼迫(ひっぱく)する医療サービスを支えつつ、現役世代に重くのしかかる社会保険料の負担軽減が焦点となる。
自民党と連立を組む日本維新の会は、医療費の総額を年4兆円以上削減し、現役世代の手取りを1人当たり年6万円引き上げることを重点施策に掲げる。両党による連立政権合意書では、効果・効能が市販薬と同等な「OTC類似薬」を含む自己負担見直しや年齢によらない応能負担の徹底などが盛り込まれた。
物価・賃金の上昇により苦しむ医療機関の経営改善は急務だ。しかし、コスト増を一律に診療報酬に反映して引き上げれば1%当たり約5000億円の医療費増につながり、現役世代の負担軽減に逆行する。
分科会には、財務省から「病院への重点的な支援のため、診療所の報酬の適正化が不可欠」との考えが示された。病院の経常利益率は0.1%と経営が圧迫されている一方、開業医などの診療所は6.4%と病院を上回る水準だ。委員からも「財源に限りがある以上、医療の中でめりはりをつけることは当然」との声が出た。分科会終了後の記者会見で増田寛也会長代理は「方向性としては、皆さま賛意を示された」と述べた。
医療費の窓口負担について、原則2割となっている70〜74歳の高齢者の医療費の自己負担割合を、現役世代と同じ3割にすべきだと財務省は提案。また75歳以上の後期高齢者は、配当金などの金融所得について確定申告を行わなければ、保険料や窓口負担の算定対象外となる。これを踏まえ「能力に応じた公平な負担を実現」することも提言された。
OTC類似薬については同日の分科会で、花粉症薬のケースで、平均1055円で販売されている市販薬と同等の薬が処方された場合、初診・再診料を含めた医療費は5820円に上るなどの試算が示された。自己負担との差額は保険料や税で賄われている状況だ。日本の外来薬剤費は他国に比べ高い水準にあり、財務省は「一定額の自己負担を追加的に求める」ことなどを促した。