2025スーパーGT第8戦もてぎ マッハ車検 エアバスター MC86 マッハ号(塩津佑介/木村偉織) 11月2日(日)に栃木県のモビリティリゾートもてぎで行われた2025スーパーGT第8戦『MOTEGI GT 300km RACE GRAND FINAL』で、GT300クラスの5号車マッハ車検 エアバスター MC86 マッハ号(塩津佑介/木村偉織)が初優勝を飾った。第1ドライバーの塩津にとってキャリア通算3勝目となったが、自ら決勝でステアリングを握って勝ち取ったのは初。これまでの2勝は第3ドライバーとしての勝利だったため、選手権ポイントを得ることはできていなかった。レース後、塩津に勝利の喜びを聞くと「支えてくれた関係者の皆さんに本当に感謝していますし、やっと勝てたというのは本当に大きい」と実感を笑顔で語った。
■ブレイクスルーのきっかけは「バトルに強くなったこと」
塩津は2022年にGAINERからスーパーGTデビュー。第7戦オートポリスに決勝初ドライブを経験して7位完走を果たしたが、2023年シーズンを終えるまで出走機会を得ることはなかった。それでも、チームを牽引するベテランドライバーの安田裕信や富田竜一郎の戦いを間近で見て学んで2年間を過ごした。
2024年にはTEAM MACHへ移籍し、2度のGT300王者である藤波清斗とのコンビで初めてのレギュラーシーズンへ挑戦。徐々に争うポジションを上げながらシーズンを過ごし、この年の第5戦鈴鹿ではポイント圏内目前の12位完走を果たすことに。
迎えた2025年に木村と同期コンビを組むと、第2戦富士で予選で4番手を得るなど目立つ結果を残すようになり、第5戦鈴鹿ではついに3位表彰台を獲得。第8戦もてぎでは予選2番手から“初優勝”を掴んだ。
スタートドライバーを務めた塩津は第1スティントについて、52号車Green Brave GR Supra GTの野中誠太と激しいバトルを演じながらも、タイヤ無交換作戦を実行するために落ち着いた走りに努めていたと振り返った。
「今回は最初からタイヤ無交換作戦が決まっていたので、後ろからは追い上げてほしくないなと思いつつも、『どこまで戦ってどこまで守るべきか』という心境でした」
「ペースは後ろ(52号車)の方が良さそうでしたが、こちらもさらに飛ばせばもっと守れたかもしれないと思っています。ただ、それでは絶対にタイヤが保たなくなると思い、今回は要点だけを押さえてバトルを続けていました」
「結局はGT500と絡んだタイミングで抜かれてしまったので、そこは悔しさもありますが、そこまではつねに守ることができていたし、なによりも自分が落ち着いてレースを運ぶことができたと思うので良かったですね」
19周目からの第2スティントでは替わって乗り込んだ木村が、スタートから続投したタイヤでも安定したペースで追い上げ、第2スティントに入ってすぐの52号車をパスして事実上の首位に浮上。以降もギャップを広げるペースを保ってMC86 マッハ号の初優勝を飾った。
塩津は今回の勝利について「(これまでの優勝は)もちろん嬉しさもありましたが、自ら走れかったことへの悔しさもありました」と話し、ようやく自身の手で掴んだ“初勝利”への実感を言葉にした。
「本当に、スーパーGTに上げてくれたGAINERにもすごく感謝していますし、その後に拾ってくれた玉中(哲二)監督にも感謝しています」
「ここまでのレースで、関係者の皆さんの支えには本当に感謝していますし、だからこそやっと勝てたというのは本当に大きいです。あと、“古代兵器”と言われたりもするこのMC86(2014年に導入されたGT300マザーシャシー)で勝てたことも、ドライバーの僕としては本当に良かったなと思います」
2024年は12位がベストフィニッシュだった状況から、2025年には表彰台獲得に加えて初優勝を手にするまでに至った5号車陣営の上昇。加入した木村のスピードも一因であることはもちろんだが、塩津も着実に予選・決勝の両方で成長した姿を見せている。その実感について、塩津は次のように話す。
「昨年はこのマシンに乗ってまだ1年目で、予選のパフォーマンスも微妙だったかなと思っているのですが、今年はつねに予選で上位で走れたかなと」
「決勝レースも、ウォームアップが比較的厳しいと言われるマザーシャシーで戦っても、1周目から抜かれずに順位をキープできたり、ライバルとバトルもこなせたりしたので、この1年ですごく自信がつきました」
「とくにバトルについては、成長の実感が大きいと思います。これまで2年間走らせてもらったことで、MC86の強いところと弱点が徐々に分かってきたこともあり、とくに今回は落ち着いてレースができました。ここまでこのチームに成長させてもらって、本当に感謝しています」
清々しい表情で第8戦の勝利と今季の成長を振り返った塩津。最後には次の目標について「玉中監督には『クビと言われるまではお願いします』と言っているので、それまではこのチームと一緒に頑張りたいですね。オーナーは今回のレース後の集会で『来年はチャンピオンを狙いたい』と話していましたし、来年も起用してもらえるのであれば本当にチャンピオンを狙って戦いたいです」と意気込んだ。
[オートスポーツweb 2025年11月07日]