seven x sevenポルシェが勝利で逆転チャンピオン獲得。ST-USAコルベットは速さをみせるもトラブルに泣く【スーパー耐久第7戦決勝】

　11月16日、静岡県の富士スピードウェイでENEOSスーパー耐久シリーズ2025 Empowered by BRIDGESTONE第7戦『S耐FINAL大感謝祭』の4時間決勝レースが行われ、ST-Xクラスの666号車seven x seven PORSCHE GT3R（BANKCY／渡会太一／藤波清斗）が総合優勝を飾った。

　前戦でチャンピオン決定済みのST-Z、ST-5F／Rを除いた各クラスの王者は、ST-Xは優勝の666号車seven x seven PORSCHE、ST-TCRは98号車WAIMARAMA Elantra N TCR（KIZUNA／千代勝正／リ・ジョンウ／桝本隆介）、ST-1は47号車D’station Porsche 992（星野辰也／浜健二／田中哲也／樺木大河）、ST-2は72号車OHLINS CIVIC NATS（金井亮忠／山野哲也／野島俊哉）、ST-3は39号車エアバスター WINMAX RC350 TWS（藤田真哉／眞田拓海／伊藤鷹志）、ST-4は884号車シェイドレーシング GR86（影山正彦／清水英志郎／山田真之亮）が獲得している。

　22025年のスーパー耐久シリーズもいよいよ最終戦の決勝日を迎えた。前日の予選では今大会から新設されたST-USAクラスの9号車キャラウェイ・コルベットC7 GT3-Rが衝撃のデビュー総合ポールポジションを獲得する速さをみせた。翌日の決勝日も朝から晴天に恵まれ、お昼には6台のNASCARマシンによるショーランを経て、13時15分からの4時間レースに臨んだ。

　スタートでは9号車キャラウェイ・コルベットC7 GT3-Rが先頭のグループ1は大きな接触ないクリーンスタート。1コーナーのTGRコーナーでは81号車DAISHIN GT-R GT3が前を伺うが、1周目は9号車コルベット、33号車Craft-Bamboo Racing Mercedes-AMG GT3、81号車DAISHINの順位は変わらず。背後にはクラス7番手から追い上げたランキングトップの23号車TKRI松永建設AMG GT3が浮上。片岡龍也自身が率いるチームの初タイトルに向けて4番手にポジションを上げてくる。

　トップは新設ST-USAクラスの初戦でいきなりのポールポジションを獲得した9号車コルベットがリードを広げていたが、9周目のTGRコーナーで33号車クラフトバンブー・メルセデスを駆る太田格之進がオーバーテイクを決めて首位に浮上する。その直後には777号車D’station Vantage GT3がST-3クラスの38号車TRACYSPORTS with DELTA RC350 TWSと接触して右フロントタイヤにダメージを負い、ピットに戻ってタイヤ交換を行うもドライブスルーペナルティが科され大きく順位を落としてしまう。

　開始から30分ほどでは4番手走行の23号車TKRI松永建設AMG GT3が早めのピットイン。追い上げをみせた片岡から、AドライバーのDAISUKEに交代してレースに復帰する。その後40分経過では、ファステストラップを記録する速さを見せていた33号車クラフトバンブーがピットへ。太田からリー・ジェフリーに代わってコースに戻ったが、何らかのトラブルが発生したようで2度の緊急ピットインからガレージインを余儀なくされてしまった。

　一方、トップを快走していた9号車コルベットも笹原右京がドライブしていた1時間15分ほどで緊急ピットイン。パワーステアリングにトラブルが発生したようで、ボンネットを開けてマシンのチェックを行った後にピットガレージまでマシンが戻され戦線離脱となってしまった。この上位2台の脱落により81号車DAISHIN GT-Rがレースをリードしていく。

　その後には、2番手を走行していた31号車DENSO LEXUS RC F GT3が残り2時間16分でガレージイン、さらに4番手だった101号車Hitotsuyama Audi R8 LMSが2コーナー先でマシンを止めてしまったため、この日1回目のフルコースイエロー（FCY）が導入。666号車seven x seven PORSCHE GT3RはこのFCY導入直前にピットインしており、タイムロスなくレースに復帰すると、81号車DAISHIN GT-Rが2回目のピットストップを行ったときに逆転で総合トップを奪ってみせた。

　残り1時間18分、コース上の落下物回収のために導入された2度目のFCY直後に81号車DAISHIN GT-Rが666号車seven x seven PORSCHEに急接近。オレンジ色のGT-Rを駆る大ベテランの青木孝行が藤波清斗にプレッシャーをかけるが、666号車seven x seven PORSCHEはポジションを守って3回目のピットへ。続いて81号車DAISHIN GT-Rもピット作業を行うが再始動に手間取りタイムロス。これで666号車seven x seven PORSCHEがふたたびトップに立ち、81号車DAISHIN GT-Rが2番手、23号車TKRI松永建設AMGが3番手というオーダーで終盤戦に入っていく。

　81号車DAISHIN GT-Rは最終スティントで坂口夏月が追い上げていたものの、日没後のレース残り24分というところで緊急ピットインを強いられ、そのままマシンはガレージにしまわれてしまった。これで2番手にはランキングトップの23号車TKRI松永建設AMGが上がるも、666号車seven x seven PORSCHEがノートラブル＆ノーアクシデントで逆転優勝。シーズン最終戦を勝利で飾ると同時に、今季からスーパー耐久シリーズに参戦したseven x seven Racingが初年度で逆転チャンピオンに輝いた。

　ST-Zクラスは1周目のADVANコーナーで22号車EBI GROUP Cayman GT4 RS CSと26号車raffinée日産メカニックチャレンジZ NISMO GT4が接触。トップ2の2台が接触の影響で後退したことで、代わってすでに王者を決めた52号車埼玉 GB GR Supra GT4 EVO2がクラストップに浮上する。

　しかし、背後には25号車raffinée日産メカニックチャレンジZ NISMO GT4と20号車NANIWA DENSO TEAM IMPUL Zという2台のニッサンZニスモGT4が迫り、10周目には25号車raffinéeを駆る名取鉄平がクラストップを奪う。しかし25号車raffinéeはレース残り1時間で無念のガレージイン。52号車埼玉 GB GR Supraもピット出口での一時ストップ後に緊急ピットインを余儀なくされ、34号車TECHNO FIRST FUNDINNO R8 LMS GT4が逆転優勝を飾った。

　ST-TCRクラスは97号車Racer ホンダカーズ桶川 CIVICがポール・トゥ・ウインを飾ったものの、4位フィニッシュの98号車WAIMARAMA Elantra N TCRが得点リードを活かしてヒョンデ・エラントラN TCRのフル参戦初年度でチャンピオンに輝いた。ST-1クラスは2号車シンティアム アップル KTMがクラスポールから快走して総合4位フィニッシュ。しかし、ランキングトップの47号車D’station Porsche 992もクラス2番手となる総合5位で完走を果たし、今季のチャンピオンを獲得している。

　ST-2クラスの6号車新菱オートDXL☆ネオグローブEVO Xが率いるグループ2も大きな接触なくスタートが切られたが、TGRコーナーでクラス2番手スタートの743号車Honda R＆D Challenge FL5が6号車新菱オートをインからオーバーテイクして首位に。95号車SPOON リジカラ CIVICも続いて、FL5型ホンダ・シビック・タイプRがワン・ツーを築くと、そのままの順位で4時間レースを走りきった。3位には逆転王者を狙った225号車KTMS GR YARISが入ったが、ランキングトップの72号車OHLINS CIVIC NATSがリードを守ってチャンピオンに輝いている。

　ST-3クラスは38号車TRACYSPORTS with DELTA RC350 TWSがスタートからトップを走行していたが、レース序盤に777号車D’station Vantage GT3と接触したことでスピンを喫してしまう。代わって15号車岡部自動車フェアレディZ34がクラストップに浮上したが、レースは僚友16号車の岡部自動車フェアレディZ34が制した。チャンピオンは2位フィニッシュの39号車エアバスター WINMAX RC350 TWSが2年連続で獲得した。

　ST-4クラスは、ランキング首位の884号車シェイドレーシング GR86がクラスポールからチャンピオンに向けてトップを走行していたが、開始25分でまさかのスロー走行。エンジンからオイルのようなものを吹き出しながらピットに戻ったものの修復に時間を要す。万事休すかと思われた884号車シェイドだったが、不屈の精神でレースに復帰するとチェッカーフラッグを受け完走。得点リードを守りきってチャンピオンに輝いた。レースは3号車ENDLESS GR86がクラス優勝を飾っている。

　開発車両が参加するST-Qクラスは、ニッサン／ニスモが走らせる230号車NISSAN Z NISMO Racing Conceptが速さをみせ、クラストップとなる総合8位フィニッシュを達成。今大会からホンダ・レーシング（HRC）が開発を進めるレース用エンジン『HRC-K20C』を搭載する271号車CIVIC TYPE R HRC Conceptは快走を見せるも、終盤に何度かのピットインを強いられ総合45位となった。

　そして新設されたST-USAクラスは、総合ポールポジションを獲得した9号車コルベットが上位争いを繰り広げたもののトラブルが響き完走扱いにはならず。もう一台のTechSport Racing Mustang Dark Horse Rは予選日まで満足な走行ができずにいたが、決勝ではトラブルなく走行して総合39位でチェッカーフラッグを受けている。

　近年のシリーズの盛り上がりに加え、NASCARショーランも好影響を与えたのか2日間で計4万400人が来場した2025スーパー耐久第7戦富士。今季はこれでシーズン閉幕となり、1月の年間表彰式を経て、2026年シーズンは3月21〜22日にモビリティリゾートもてぎで開幕戦が開催される予定だ。

[オートスポーツweb 2025年11月16日]