マカオGP5位の加藤大翔「表彰台に立ちたかった」残り2周で魅せた渾身のオーバーテイク

0

2025年11月17日 17:50  AUTOSPORT web

  • チェックする
  • つぶやく
  • 日記を書く

AUTOSPORT web

第72回マカオグランプリ 加藤大翔(ARTグランプリ)
 11月16日に行われた第72回マカオグランプリのメインレースであるFIAフォーミュラ・リージョナル・ワールドカップ決勝。前日の予選レースで独走優勝を果たし、大本命と言われていたフレディ・スレーター(SJMセオドール・プレマ・レーシング)がクラッシュなど、セーフティカー(SC)が3度も導入される波乱の展開となり、最終盤に2台を抜いたテオフィル・ナエル(KCMGエンヤ・ピナクル・モータースポーツ)が、大逆転の末グランプリウイナーに輝いた。

 7名がエントリーした日本勢は加藤大翔(ARTグランプリ)の5位が最上位。初日の走り出しから常にトップ10圏内に位置し、表彰台圏内で争えるパフォーマンスは示していた加藤だったが、最終的には3位まで1.4秒足りず、憧れのマカオ初挑戦で表彰台フィニッシュは叶わなかった。


■加藤大翔「最後は気合いで抜けました。来年はモナコで勝ちたい」

「2025年シーズンのなかでは一番良いレースウィークになったと思います。終始トップ5で戦えていたので。やり切った感じはありますが、最後は表彰台まで行きたかったですね」と、決勝後に語った加藤。

 土曜日の予選レースでは、4番グリッドと好位置につけるも、スタートダッシュでライバルに敗れて5番手に後退。その後も序盤の3〜4周はトップのスレーターが2分16秒前半で周回するなか、加藤は2分18秒台のペース。苦しい状況のなか、なんとか5番手を守り抜いたが「スタートが良くなかった」と、予選レース後は悔しがっていた。

 決勝に向けてデータを見直して改善したいと話していた加藤だが、決勝はスタートでポジションを下げて前半は6番手を走行。レースペースも前日と比べて改善は見られたが、それでも序盤の瞬発力が欠けていた印象だった。

「(スタートは)今日もあんまりでした。その後もペースも、トップ3のクルマに比べるとぜんぜん足りない状況でした。まだまだやれることはいっぱいあると感じました」

 そんななか、意地を見せたのが2度目のSC解除時のリスボア・ベント(ターン3)。5番手を走るチームメイトのエバン・ギルテール(ARTグランプリ)に対しアウト側から仕掛け、コーナー出口ではギリギリ1台分がないようなスペースを確保してオーバーテイクに成功。その直後に後方でアクシデントがあり、3度目のSCが導入され、そのままレース周回数の15周を完了してチェッカーフラッグとなった。

 ギルテールとのバトルについては「あれは痺れましたね。気合いで追い抜きました!」と加藤。今季はフォーミュラ・リージョナル・ヨーロッパ(FRECA)で、ともに戦ってきたギルテール。それだけに、加藤もこのオーバーテイクには特別な思いがあったという。

「来年は別々の舞台になるの(編注:加藤はFIA F3、ギルテールはまだ来季の正式発表なし)で、彼と戦うのも今年が最後でした。エバンは速いし、今年の最初は彼のおかげで成長できました。そんなシーズンの最後に彼を追い越せたのは良かったかなと思います。あのリスボアは本当に痺れました。マシン同士も当たっていたし、僕はアウト側のバリアにも当たっていたので。本当に気持ちでいきました」

 漫画『capeta(カペタ)』をきっかけにレーシングドライバーを目指し、憧れのマカオGP参戦を果たした加藤。目標としていた優勝や表彰台には手が届かなかったが、マカオGPルーキー勢のなかでは堂々の最上位。改めてレースウイーク全体の感想を聞くと「楽しかったです!」と即答。

「観客席の雰囲気とか、カペタで見た世界そのままでしたし、最後は自力でポジションを上げたので、それが良かったです」

「多分、ジュニアフォーミュラのなかではF1に最も近い舞台なのかなと感じますし、プレッシャーもいつもより大きいです。上位でフィニッシュしたいけど、その気持ちが強いとクラッシュしてしまうので、その辺のマネジメントが凄く難しかったですけど……楽しかったです」

 来季はFIA F3参戦が決まっている加藤。「(マカオGPに)もう1回チャレンジしたいなと思いは、もちろんあります。ただ、正直、ストリートサーキットに対しては壁が近いので『きっと怖いんだろうな』と思っていたのですけど、今回ちゃんとアジャストできました。ここでは勝てなかったですけど、次は(FIA F3の)モナコで勝ちたいです!」と新たな目標が立っている様子だった。


■食らいつくだけで精一杯だった決勝。中村仁「正直苦しかった」

 同じく、今季はFRECAを主戦場にしていた中村仁(R-ACE GP)は予選レースで14位。決勝は残り2周で他車と接触。フロントウイングに加えて左リヤサスペンションにダメージが及びピットに戻って戦線離脱となった。なお、正式結果では19位完走扱いとなっている。

 ひとつでも上を目指すために各車が積極的に仕掛けていたレース終盤の出来事なだけに、アクシデントについては「仕方ないです」と中村。しかし、レース全体について聞くと「本当にキツかったです……」と苦しい胸の内を明かした。

「昨日まで山側のペースが良かったので、ずっと追いつくことができていましたけど、今日はどれだけプッシュしても(海側の)フィッシャーマン・ベント(ターン22)と最終コーナー(Rベンド/ターン23)で前のクルマにどんどん離れていくので『ああ、なるほど……』という感じで走っていました」

「めちゃめちゃ悔しいです。正直レースウィークをやり直したいくらい。でも、その中でも成長は感じられたし、いろいろな人に成長したところは見てもらえたと思います。昨年に比べると走らせ方も変わっているので、そこは今年もマカオに来れて良かったなと思います。もっと強くなれる材料も明確になりました」

 今季、初めて海外の4輪レースを1年戦った中村。FRECAでも表彰台に乗るレースはあったが、全体的に悔しい結果に終わっており、2回目の挑戦で気合いが入っていたマカオも歯車が噛み合わず。「ある意味で今年を象徴するレースだったかもしれません。どれだけ良い感じに行っても、最終的に『あれ?』という終わり方になっていたの……(FRECAでも)そういうレースばかりでした」と、レース後は悲壮感が漂っていたが、「悔しかったけど、この経験を忘れずに、どれだけ来年に活かせるかで大きく変わってくると思います」と、来季に向けて決意を新たにしていた。


■国内レース参戦組では佐野雄城の9位が最高「チャレンジングな週末でした」

 また、今シーズン国内のレースに参戦しているメンバーでは全日本スーパーフォーミュラ・ライツ選手権でランキング2位につけている佐野雄城(TOM’S RACING)と、FIA-F4で今季チャンピオンである鈴木斗輝哉(TOM’S RACING)、そしてFRJでランキング首位快走中の梅垣清(VAR)が参戦した。

 このうち梅垣は決勝1周目のターン4で他車と接触しリタイア。鈴木も残り2周のSC明けで順位をあげようとしたがマンダリン・オリエンタル・ベント(ターン2)でマシンコントロールを失った他車に左フロント部分を当てられて戦線離脱を余儀なくされた。

 そんななか、予選レースではポジションを落としていた佐野が、18番手スタートから9ポジションアップを果たし、9位でフィニッシュ。初のマカオでシングルポジションを獲得した。

「スタートで良いポジション取りができて、1周目で大きく上げられたのが良かったです。終盤には実際に目の前でクラッシュも起きましたけど、そこも避けて無事に完走できたので良かったです」と佐野。

 初マカオGPについては「チャレンジングな週末だったなと思います。『もうちょっとこうしておけば良かったな』とか『ここをもっと早く対処できていれば良かったな』という点は多々あるのですけど、初めてのギア・サーキットで恐怖心を持ちながらのレースでしたが、最終的にシングルポジションまで持って来られたのは凄く良かったです」と振り返った。

 その他の日本勢では、りー海夏澄(ARTグランプリ)は金曜日のフリー走行2回目でクラッシュしたことが響き、予選レースも15番手で終えたが、波乱の決勝を生き残り11位完走。16番手スタートだった山越陽悠(エヴァンスGP)はデフ周りのトラブルを抱えながらの走行でペースが上がらなかったが、粘り強く最後まで走り切り、12位でチェッカーを受けた。

[オートスポーツweb 2025年11月17日]

    ランキングスポーツ

    前日のランキングへ

    ニュース設定