【お食事サラダ】究極にヘルシーな一食でありがながら酒のつまみとしても優秀すぎる「すき家」のお食事サラダとは!?:パリッコ『今週のハマりめし』第213回

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2025年11月21日 11:50  週プレNEWS

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すき家の「牛・お食事サラダ」

ある日、あるとき、ある場所で食べた食事が、その日の気分や体調にあまりにもぴたりとハマることが、ごくまれにある。

それは、飲み食いが好きな僕にとって大げさでなく無上の喜びだし、ベストな選択ができたことに対し、「自分って天才?」と、心密かに脳内でガッツポーズをとってしまう瞬間でもある。

そんな"ハマりメシ"を求め、今日もメシを食い、酒を飲むのです。

【写真】すき家といえば3種のドレッシング

* * *

久々に丸2日間ほど酒を飲まなかった。

とはいえあまり褒められたきっかけからではなく、平日の昼間に仕事をしていたら、原稿を1本書き上げたところで、いつになく疲れはててしまった。これはいったん仮眠をとらないとどうにもならないぞとふとんに倒れこみ、1時間ほど寝てみたものの状況は変わらない。もしやと思って熱を測ってみると、37度台後半という微妙な発熱。そこでその日はすべてを投げ出し、朝までひたすら眠っていた。

もう何時間寝たのかもわからないけれど、窓の外が少し明るくなりはじめているから朝が来たようだ。熱を測ってみると、幸いすっかり平熱に戻ってる。酒を抜いてよく寝たから、ふだんよりも元気なくらいだ。それでも念のため、その日も粗食を心がけ、酒は飲まないでおいた。

というわけでそのさらに翌日は、身も心もすっきり絶好調。共感してもらえる酒飲みの方がいることを願うが、こんなに心身が軽い日は、1年にそうたくさんあるものではない。食欲もすごく感じる。そんな普通のことが、とても嬉しい。

待ちに待った昼、さぁなにを食べよう。ただし、いつもとは違う点もある。それは、この健康モードが自分でも気持ち良すぎ、ここで油っこいラーメンや、揚げものや、激辛カレーなどをむさぼり食べて、一気にいつもの状態に戻ってしまうのがなんだかもったいないということ。ただ、天気もいいし、久々の散歩がてら外食をしたい気持ちはある。そこで思い出したのが、牛丼チェーン店「すき家」の存在だった。しばらく前にすき家のメニューに「お食事サラダ」なるものがあることを知り、気になっていたのだった。今の気分にぴったりだ。行ってみよう。


「すき家」


すき家にたどり着くと入り口横に大きな「ローストビーフ丼」のポスター。今話題になってる期間限定メニューで、これにも惹かれるけれど、いや、今日じゃない。今日はあくまで、お食事サラダだ。誘惑を振り切るように、タッチパネルでそのページを開く。


お食事サラダのメニュー


すると確かにあった、お食事サラダ。「牛・お食事サラダ」(税込650円)と「チキン・お食事サラダ」(650円)の2種展開。ビーフオアチキンというやつだ。チキンのほうのカロリーが248kcalと驚くほど低いけど、別に僕はダイエットをしにきたわけではない。あくまでお食事サラダが食べたいだけで、そしてせっかくのすき家なら、まずは牛のほうを食べてみたい。それに牛も375kcalと、1食としては(もしそれで満足できるならば)じゅうぶんに低カロリー。それに加えて、やや台無しな気もするけれど、やっぱりプチ快気祝いをしておきたい。「瓶ビール」(480円)をプラスして注文完了。


「瓶ビール」


昼どきを少し過ぎ、客足の落ち着いた店内で、オリジナルグラスにトクトクと注いで飲む瓶ビール。約2日半ぶりか。その冷たさ、のどごし、刺激が沁みないわけがない。思わず全身の力がゆるむ。


「牛・お食事サラダ」


さて、お食事サラダがやってきた。まず驚いたのは、そのプレートの巨大さ。もともとすき家には、牛丼のごはんを豆腐に変え、そこにさらに生野菜を加えた「牛丼ライト」がある。それって考えかたを変えれば、僕の大好物である肉豆腐じゃね? と思って以前に一度食べてみたことがあって、なかなか良かった。なんとなくそのサイズを想像してしまっていたこともあり、お盆を覆いつくすほどに巨大なビジュアルの時点ですでに嬉しい。

内容が、かなり独創的。プレート一面に野菜サラダが敷き詰められ、その上にどさっと、いわゆる牛丼のアタマがのり、上に砕いたアーモンドとくるみがかけられている。赤ピーマンとあえられているのは自社製のベーコンらしく、さらにおもしろいのが、ほんの少量の十六穀米が添えられていることだ。


独特すぎる見た目


フランスやイタリアで親しまれている料理に、サラダに米を混ぜた「ライスサラダ」がある。米食文化の日本でもっと定番化してもいいと思うくらい、手軽に作れて好きな料理で、強いて言えばそれに近いのだろうか。だが、中央で存在を主張しているのが和食の代表、牛丼のアタマだから、やっぱりこれは「すき家料理」としか言いようのないものだろう。こういうの、大好き。

まずは牛肉と玉ねぎの部分だけをひと口食べてみると、ふわふわの牛肉に甘じょっぱい味の染み込んだ、安心感のあるうまさだ。続いてナッツのかかった部分を食べてみると、カリカリ食感と香ばしさが加わり、なんだかちょっとこそばゆいようなおしゃれ味。「お前、今日なんかよそ行きじゃね?」っていう。

さらに十六穀米と合わせれば、もちもちぷちぷちの食感と穀物の香りも加わり、もはや牛丼を超えたニュータイプのなにかとしか言いようがない。が、これが不思議と調和していて、正直すごく好みだ。よく噛んで食べるほどに魅力が伝わるタイプの料理で、食事の満足感につながるのはもちろん、酒のつまみとしても優秀なタイプのはず。と思ってビールをぐいっとやると、うん、やっぱり!


すごく好きだ


ベーコンと赤ピーマン部分も少量だが香り、食感、色味のアクセントとしてかなり有用で、食べすすめるごとに味わいが変わる。やがて姿を現しだす大量の生野菜。これもまた、卓上の3種のドレッシングで自由に味つけができるので、食べていてずっと楽しい料理だ。メニューには和風がおすすめとあって確かに調和するが、濃厚かつ酸味もあるごまも良かった。


燻製の香りが良い


3種のドレッシング


野菜もたっぷり


この野菜がまたたっぷりで嬉しい。しばしサラダ単体を味わったら、やはりこういう料理は、徐々にパートごとの境界線をぼやかしていって、混ざり合うグラデーションを楽しむべきだろう。わざと少しずつ全体を混ぜるようにしながら食べてゆく。


最終形


ここからがまた醍醐味だ。しゃきしゃき、もしゃもしゃとサラダを食べていると、ふいに牛肉の甘辛さがぐっと口のなかに広がったりしておもしろい。ナッツのアクセントもあらためておしゃれだ。全体のバランスがまずいいし、具沢山で豪華。正直、かなり気に入ってしまった。

最後に、牛丼よりも米要素が少ないこのお食事サラダが1食として事足りたのかどうか。ビールも飲んでしまったこと、しばらくの間食事が控えめだったこと、そもそもそんなに大食いなタイプではないことなどもあるので一般論とは言えないかもしれないが、個人的には完全に満腹。大満足だった。

牛丼が大好きだけど健康面も気になるなんて人には、たまに導入するのに理想的なメニューと言えるのではないだろうか。まぁ僕は、今後も酒のつまみとしてお世話になることになりそうだけど。牛と鶏をひとつずつテイクアウトしてきてどさっと大皿に盛り、家飲みでみんなでつつくのも楽しそう。

取材・文・撮影/パリッコ

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