
猛暑の栄養食に「煮込まないスープ」
2026年の注目トレンド「煮込まないスープ」は、連日の猛暑に対応した新しいスープスタイルです。
観測史上、最高気温を更新し続ける日本の夏。エアコンの効いた部屋から出たくない、ましてや火を使うキッチンになど長時間立っていられない。それが現代の夏の現実です。
しかし、暑いからといって冷たいものばかり食べていては、栄養が偏り体調を崩しかねません。そんなジレンマを解決するのが、10分ほどで完成する「煮込まないスープ」なのです。
煮込まないからこそ、栄養もおいしさも保てる
火の通りやすい食材にサッと火を通すだけで完成する煮込まないスープ。長時間煮込まないから栄養素の損失も最小限で、暑い日でも食べやすいあっさりとした味わいが特徴です。
ビタミンCなどの水溶性ビタミンは、長時間加熱すると失われやすい栄養素です。短時間調理なら、食材が持つ栄養をそのまま体に取り入れられます。さらに、野菜の色鮮やかさも保たれ、見た目にもおいしそうな仕上がりになります。
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亜熱帯化する日本、東南アジアの知恵に学ぶ
日本の夏が亜熱帯化する中、東南アジアの食文化が急速に浸透しています。ココナッツミルクとレモングラスが香るタイの「トムカーガイ」、鶏肉を使ったインドネシアの「ソトアヤム」、魚の旨みが効いたミャンマーの「ヒンガー」など、現地では定番の「サッと作るスープ」が日本の食卓でも身近な存在になりつつあります。
これらは元々暑い国の知恵が詰まった、理にかなった調理法なのです。長時間火を使わない、でも栄養はしっかり摂れる、そして暑くても食欲をそそる香りと味わい。
まさに、これからの日本の夏に必要な料理スタイルといえるでしょう。
赤ベースに緑のアクセント、視覚でも涼を感じる
煮込まないスープの多くは、トマトやパプリカなどの赤をベースに、バジルやパクチー、レモングラスなど緑のハーブをアクセントにした彩り豊かな見た目が特徴です。
赤と緑のコントラストが鮮やかで、見ているだけで食欲が湧いてきます。色鮮やかな野菜が浮かぶスープは、視覚からも涼しさと元気を与えてくれるのです。
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10分以内で食材に火が入ったら完成
煮込まないスープの基本は、「調理時間は10分以内で、食材に火が入ったら完成」というシンプルさです。薄切り肉や魚、豆腐、卵など火の通りやすい食材を選び、野菜も小さめにカット。強火でサッと加熱すれば、あっという間に完成します。
猛暑の中、長時間煮込むことなく作れるスープは、まさに現代の夏の救世主。キッチンに立つ時間を最小限に抑えながら、栄養満点の一品が作れるのです。
アジア料理に詳しい料理研究家の橋本 加名子さんによると「さっと作れて栄養が取れる」煮込まないスープは酷暑の中でも日常に取り入れやすいのではないでしょうか。短時間で手軽に調理でき、長時間火の前にいなくて済む点が現代のライフスタイルに合致しています。」とのこと。
家庭でより簡単に煮込まないスープを作るコツを聞いたところ、「家庭では、薄切りの豚しゃぶ肉、冷凍のシーフードなどを使い、煮すぎないようにさっと火を通すのがおいしく作るコツです。夏場に温かいスープを飲むことは、体を冷やしすぎないようにする暑い国の人たちの知恵でもあります。」と教えてくれました。
検索データが示す、夏のスープへの新しいニーズ
クックパッドでのスープ検索でも「暑い」「冷製」「薬膳」といったキーワードとの組み合わせが上昇傾向にあります。これは、夏でもおいしく食べられるスープ、体調を整えてくれるスープへのニーズが高まっていることを示しています。
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従来、スープといえば冬の温かい料理というイメージが強くありました。しかし、その常識が今、大きく変わろうとしているのです。
クックパッドの「煮込まないスープ」レシピ
豆腐と卵の中華風かきたま汁、トマトとバジルの冷製スープ、レモングラスと鶏肉のエスニック風など、短時間調理でも満足感のあるレシピが続々登場しています。
東南アジアのスープをベースに日本人の味覚に合わせたアレンジをはじめ、和食材を使った独自の煮込まないスープも生まれています。
▼やさしく体をあたためる、キャベツと鶏ひき肉の豆乳味噌スープ
千切りキャベツと鶏ひき肉の、やさしい味のスープ。ひき肉はスープの中で煮ることで、そぼろ状にほぐれてすぐに火が通ります。豆乳と味噌の組み合わせで、やさしく体をあたためられます。豆乳を加えたら沸騰させない程度に加熱するのがポイントです。
▼10分で完成!手羽中のエスニックスープ
東南アジア風の味付でエスニックな雰囲気を楽しめる手羽中スープ。材料の下ごしらえを含めて、調理時間は10分ほどと、驚くような短時間で作れます。手羽中から出るコクのある鶏のうまみを、たっぷりのフライドガーリックとパクチー、ライムのトッピングでおいしく食べられるスープです。
▼あっという間に完成◎あさりのエスニックスープ
あさりのうまみをエスニック風の味付けでいただくスープのレシピ。ナンプラーと鶏ガラスープの素であさりをさっと煮るだけで、あっという間にできあがります。ラー油とパクチーのトッピングがアクセントで、夏に食欲がない時にもおすすめ。
2026年、スープの概念が変わる
日本の夏に煮込まずにおいしい、新しいスープ文化が定着しそうです。「スープ=煮込む」という固定観念を捨て、「スープ=サッと作る」という新しい価値観へ。
長引く猛暑が日常になった今、キッチンでの過ごし方も変わらざるを得ません。煮込まないスープは、その変化に対応した、理にかなった料理スタイルなのです。
今年の夏は、煮込まないスープで乗り切りませんか? 10分で作れる、体に優しい一杯が、あなたの夏を支えてくれるはずです。
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