
「食べる」より「食感を楽しむ」世代
SNSで「食感動画」が何百万回も再生される時代。もちもち、ぷるぷる、プチプチといった「食感」そのものを楽しむことが、若者にとって重要な食体験となっています。
その最新トレンドが「サゴ」です。東南アジアのサゴヤシ由来のデンプンを球状に加工したもので、加熱すると透明になり、プチプチとしたもちもち感が楽しめます。
ゆでる前のサゴ。一晩浸水させてからゆでる
タピオカの「もちもち」とは微妙に異なる、「プチプチ」と「つるっと」が同時に味わえる独特の食感。この新しい体験が、食感重視世代を虜にしているのです。「噛む」「弾む」「つるっと」という複数の食感を一度に楽しめる点が、まさにサゴの魅力なのです。
火付け役は香港の高級デザート「楊枝甘露」
日本では香港発祥の「楊枝甘露(ヨンジーガムロ)」、別名「マンゴーポメロサゴ」が火付け役となりました。マンゴーとグレープフルーツ、ココナッツミルクにサゴを合わせた絶妙な組み合わせは、見た目の美しさと食感の楽しさで大人気です。
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楊枝甘露の発祥は1980年代の香港で、主に高級中華料理店でデザートとして生まれました。火付け役となったのは、ミシュラン星付きの名店「利苑酒家(Lei Garden)」です。この店が1984年頃にシンガポール支店開業を前に、地元食材であるマンゴー、ポメロ、サゴを活かした冷たいデザートとして創作したのが起源とされています。
当初はコースの締めくくりとして提供され、香港の酒家文化を象徴するスイーツに成長しました。現在も利苑酒家で本格的なものを味わえます。
台湾でも大ブレイク、手軽なドリンク版が日本に上陸
香港発祥の楊枝甘露が台湾で大ブレイクしたのは2021年頃。ボトルドリンクや屋台アレンジがきっかけでした。火付け役はドリンクスタンドの「満上(Full Up)」で、台北の松江路店を中心にSNS映えするマンゴーたっぷりのドリンク版を提供し、爆発的人気となりました。
日本では2022年末にボトルタイプが上陸し、SNSとコンビニで急速に広がりました。火付け役はコストコとファミリーマートです。
「コストコで楊枝甘露が買える」という情報がSNSで拡散されると、一気に認知度が上昇。ファミリーマートでも手軽なサイズのボトルが販売され、「試しに買ってみた」という投稿が次々とSNSにアップされました。
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自宅で作る動画が話題、代用品も充実
最近、SNSではサゴを自宅で作る動画が話題となっています。日本ではサゴヤシ由来のサゴが手に入りにくく、代用品として手に入りやすい小粒のパールタピオカが使われることも多く、家庭でも気軽に楽しんでいる人が増えています。
いち早くサゴの動画をSNSに投稿している動画クリエイター・みか@ライスペーパーネキさんによると、「実店舗でも見かけるようになり、ブームの予感がしています!私のサゴ関連動画も総再生1,800万回を超え、反響の大きさに驚きました。」と、サゴへの注目度がうかがえます。
作り方は意外と簡単で、サゴ(またはパールタピオカ)を茹でて冷やし、マンゴーピューレ、グレープフルーツの果肉、ココナッツミルクと合わせるだけ。ベリー系のフルーツを加えるアレンジも人気で、色鮮やかなビジュアルが映えます。
2026年、サゴデザートがさらに多様化
2026年にはサゴを使ったデザートがさらに多様化しそうな兆しを見せています。サゴ入りドリンクやパフェなど、食感を重ねる新しい楽しみ方も登場しそうです。
タピオカミルクティーのタピオカをサゴに置き換えた「サゴミルクティー」、ベリー系のフルーツとサゴを層状に重ねた「サゴパフェ」、ヨーグルトとサゴを組み合わせた「サゴヨーグルト」など、アイデアは無限に広がります。
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クックパッドでおすすめ「サゴ」レシピ
クックパッドには、家庭で楽しめるサゴのレシピが投稿されています。スーパーやコンビニエンスストアで手に入りやすいフルーツや、ナタデココなどの食感を楽しむ材料と組み合わせるなど、楽しみ方はいろいろ。お好みのレシピで「おうちサゴ」を楽しんでみてください。
▼トロピカルな味わい!完熟マンゴーのサゴ
完熟マンゴーをピュレ状にして、ココナッツミルクと混ぜ合わせてサゴと合わせたデザートのレシピ。とろりと濃厚なマンゴーピュレにぷちぷちとしたサゴの食感がアクセントになり、ココナッツミルクの風味でトロピカルな味わい。マンゴーがおいしい季節限定のデザートです。
▼手に入りやすいフルーツで◎パイナップルとグレープフルーツのサゴ
マンゴーやポメロのかわりに、日本で手に入りやすいパイナップルとグレープフルーツを使った、家庭で作りやすいサゴのレシピです。フルーツの甘酸っぱい風味を楽しむもよし、はちみつやシロップを追加して甘みとコクを足しても◎。
▼食感のバリエーションを楽しむ◎ベリーと杏仁豆腐のサゴ
コリコリとした歯ごたえが特徴的なナタデココ、ふるふるの杏仁豆腐とサゴを合わせた、バラエティ豊かな食感を楽しむスイーツのレシピ。ミックスベリーの甘酸っぱさと練乳のこっくりした甘さが、ココナッツミルクによく合います。
「タピる」の次は「サゴる」?
「タピる」という言葉が流行語になったように、「サゴる」も近い将来、若者の間で使われる言葉になるかもしれません。「今日サゴる?」「放課後サゴろうよ」といった会話が、カフェや学校で交わされる日も近いでしょう。
「食感」を楽しむ若い世代が、サゴで新たなデザート文化を作り出す。2026年は、そんな変化の年になるかもしれません。
(TEXT:菱路子)
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