身体に良いだけじゃない。日本の伝統食「海藻」が世界から熱視線を浴びるワケ

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2025年11月26日 13:00  クックパッドニュース

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日本人にはおなじみの「海藻」が世界の注目フードに

日本で古くから親しまれてきた海藻が、新たな食材として世界から注目を集めています。

これまでワカメ、昆布、海苔など限られた種類が中心だった海藻ですが、陸上養殖技術の発展により、アカモク、ダルス、ウミブドウなど多様な海藻が身近な存在に。

また大丸や三越伊勢丹といった有名百貨店で「海藻フェア」が催され、2025年の目玉イベントのひとつともいえる大阪・関西万博でも海藻が取り上げられるなど、その存在感は増しています。

さらに、レストランでも海藻を使った新しいメニューが続々と登場。パスタやサラダ、スムージーなど、和食以外への活用も広がっています。

これまで「海藻=和食」というイメージが強かったものが、今やイタリアンやフレンチ、カフェメニューにまで進出しているのです。

日本の海藻食文化、実は世界でも特別

海藻は東アジア、特に日本・韓国・中国で数千年以上、日常食として根付いています。日本では約1500種の海藻のうち100種以上を食用に使い、腸内細菌が海藻の多糖類を分解できる独自の体質も進化的に適応した結果だとされています。

これが和食の基盤となり、出汁や寿司など、世界の海藻食の原型を作り上げました。日本人が海藻をおいしく感じ、消化できるのは、長い歴史の中で獲得した能力なのです。

世界的ブームの火付け役は北欧の名店「Noma」

意外かもしれませんが、北欧でも古代から海藻を食べている歴史があります。ただ、産業化で一時忘れ去られ、肥料や燃料用が主流になっていました。

2004年頃、転機が訪れます。当時世界トップシェフのルネ・レズピが主宰するコペンハーゲンのレストラン「Noma」が、地元食材を活かした「New Nordic Cuisine」を提唱。持続可能で新鮮な北欧食材を強調し、海藻を積極的に取り入れたのです。

Nomaの知名度向上とともに、北欧海藻が「スーパーフード」として世界的にブレイク。2010年代に欧州で海藻市場が急成長し、ノルウェーの養殖産業も拡大しました。これが「海藻=健康・サステナブル」のイメージを世界に植え付けたのです。

健康面と環境面、両方で注目される理由

海藻が注目される背景には、健康面と環境面の両方があります。「海の野菜」と呼ばれる海藻はミネラルや食物繊維が豊富で、腸活食材としても人気です。ヨウ素、カルシウム、鉄分など、現代人に不足しがちな栄養素を手軽に摂取できます。

さらに栽培時の環境負荷が少ないことから、「おいしい」だけでなく「環境に配慮した食材」を選びたい消費者のニーズにも合致しています。

ブルーカーボン生態系としての役割

温暖化対策としての「ブルーカーボン生態系」という観点からも、海藻は注目されています。ワカメや昆布などの海藻類が二酸化炭素を吸収し、気候変動対策に貢献するという事実が、環境意識の高い消費者の関心を集めているのです。

海藻は成長する過程で大量のCO2を吸収します。しかも陸上の植物と違い、農薬や肥料、淡水を必要とせず、海という広大な空間で育つため、環境への負荷が極めて少ない。まさに「地球に優しい食材」なのです。

世界市場も拡大、プラントベース食品の原料としても期待

国内では陸上養殖技術が盛り上がりを見せています。企業による海藻の陸上養殖プロジェクトも始まっています。

すし作家・海藻料理研究家の岡田大介さんは「魚の減少やブルーカーボンといった環境視点からの再評価が進み、海藻へ関心を寄せるのはシェフなどのプロから一般家庭へと拡大しつつあります 。家庭での普及のカギは「野菜と同じ感覚で使うこと」と言います。

家庭で海藻を使うポイントとしては酢の物や煮物といった和食の固定観念を超え、油や乳製品と合わせること。パスタや焼きそば、韓国料理など、日常のメニューに加えるだけで驚くほど馴染むそうです。

また「来春には東京駅に『海藻ラーメン専門店』もオープン予定で、今後も海藻の魅力を体験できる場は増加します。美味しさとサステナビリティを兼ね備えた海藻は、脇役ではなく次世代のスタンダードな食材として定着していくでしょう。」と岡田さんは予測しています。

クックパッドの「海藻レシピ」を紹介

クックパッドにも、ワカメやノリなどの海藻を使ったレシピが多数投稿されています。ここからは、その中の一部をおすすめとしてご紹介します。

▼ご飯のお供に◎わかめと生姜の甘辛炒め

わかめがご飯のお供になる副菜レシピ。ごま油でわかめと千切り生姜を炒め、醤油とみりんで甘辛く味付けます。味噌汁やサラダとはまた違う、新しいわかめの食べ方です。


▼もっちり食感!もずく酢の天ぷら

スーパーでよく売っているパックのもずく酢を使った天ぷらは、もっちりとした食感が特徴。もずく酢に小麦粉と紅生姜を混ぜ、スプーンで油に落として揚げるだけ、と調理方法はシンプルです。酢と紅生姜の味わいで、何もつけなくてもおいしく食べられます。


▼のりの風味が広がる、あおさのパスタ

あおさのりを味わうシンプルなパスタのレシピ。オリーブオイルでにんにくを炒めたら、あおさを加えて軽く炒め、ゆでたパスタを加えるだけ。塩と醤油のシンプルな味付けで、のりの風味が口いっぱいに広がります。


2026年は「海藻の年」になるかも?

2026年は、日本の伝統的な海藻食文化と、新しい価値観が融合し、海藻がより身近で多様な食材として定着していく年になりそうです。

健康面、環境面でのメリットが大きい海藻。いつもの食事に、海藻のメニューを1皿足してみませんか?

(TEXT:菱路子)

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  • 以前は納豆や生卵と一緒に朝ご飯によく食べてたが、最近の米騒動で朝にご飯食べること100%なくなり、海苔も1年以上食べてないわw
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