
キャッシュレス式の“コインロッカー”から荷物を取り出そうとしたところ、通信障害で開けられず、JR大阪駅に荷物を置いて帰宅せざるを得なかった――11月24日未明にXに投稿された、そんなエピソードが注目を集めた。投稿者は、コールセンターの対応時間外だったこと、東京行きの終電が5分後に迫っていたことなどから荷物の回収を断念。荷物は後日、郵送で受け取ったという。
【画像】交通系ICやアプリで決済完了……「コインを使わない」SPACERのロッカーをじっくり見る(計4枚)
騒動の中心になったのは、SPACER(東京都中央区)が展開する完全キャッシュレス仕様のスマートロッカーだ。交通系ICカードまたはiOS/Androidアプリを“鍵”として支払い・預け入れ・受け取りができる他、アプリで会員登録を行えば、空きロッカーの検索や事前予約、他の会員への“鍵”の共有にも対応する。
昨今、同様のスマートロッカーはもはや珍しくない。同様の事態に遭遇したとき、利用者はどう対応すべきか。トラブルの経緯と、もしものときにユーザーが取るべき対応について、同社に聞いた。
同社によると、今回の通信障害はJR大阪駅構内の半径200m程度の範囲で発生。これにより、構内6カ所に設置されている同社のロッカーのうち「南口」「御堂筋北口」と、商業施設「ルクア大阪」の3カ所のロッカーが開かなくなった。11月23日午後9時ごろから「ロッカーが開かない」との問い合わせがコールセンターに相次ぎ、事態が発覚。最終的に問い合わせは31件に上ったという。
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同社のロッカーには、イスラエルNayax製の決済端末(タッチパネル)が取り付けられている。ロッカーの仕様上、扉の遠隔操作などを行う本体側と、決済を行う端末側で、それぞれ異なる通信回線(SIM)を使用しており、本体側のSIMはSPACER社が、決済用のSIMはNayax社がそれぞれ調達している。
今回はこのうち、決済端末と決済用サーバ間の通信が不通となったことが、トラブルの原因だったとSPACERはみている。同社が管轄する本体側の通信は維持されていたものの、決済側の通信が途絶。同ロッカーではロック解除時に支払いが必要だが、その処理ができなかった形だ。
SPACERは、コールセンターに連絡した利用者のうちロッカー付近にいた人には、遠隔から無償で開錠する形で対応。すでに現場を離れていた人には、後日無償で荷物を郵送する対応を取った。コールセンターは午後11時に受付を終了したが、その後も現地の3カ所には同社スタッフが待機し、終電がある0時ごろまで利用者対応にあたった。撤収時点で使用中のまま残っていたロッカーは4扉だったという。
なお、冒頭の投稿者が東京への移動に使った「終電」とは新幹線ではなく、0時30分ごろにJR大阪駅を発着する寝台特急列車だったようだ。投稿によれば、投稿者は乗車の20分前に荷物を回収しようと改札前のコインロッカーに到着したというものの、この時間にはすでに同社の現地対応は終了していたとみられる。
通信障害は24日午前3時ごろに復旧した。トラブルの原因について同社は、「決済端末に使用していたSIMカードが特定の周波数帯にしか対応しておらず、通信が混雑した際に周波数切替によって通信を安定させることが難しい仕様だった」と説明。「ちょうどその周波数帯が逼迫(ひっぱく)していた可能性が高い」としている。
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このような事態に遭遇した場合、ユーザーはどう対処すればよいのか。同社は「現状では、コールセンターあてにお問い合わせいただく以外に手段がない」と話す。一方で、通信の安定性を高めるため「今週中をめどに全国のスマートロッカーに搭載しているSIMカードを、より広い周波数帯に対応したものへ交換する」予定という。
この他、他のシステムに依存せずにロッカーが単独でも機能するスタンドアロン対応を進めると同社。決済端末の決済通信が制御不能になった場合に、ロッカー単体でも該当の扉を無償で解錠可能とする機能を近いうちに追加し、「不便なく使えるサービス環境を提供する」としている。
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