BYDだけじゃない、日本メーカーもEV続々――ジャパンモビリティショーで見た、攻めたクルマたち

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2025年11月30日 17:20  ITmedia NEWS

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 「iPhoneにタイヤをつけたようなクルマ」と表現される米Tesla。IT・ビジネス分野のライターである山崎潤一郎が、デジタルガジェットとして、そしてときには、ファミリーカーとしての視点で、この未来からやってきたクルマを連載形式でリポートします。


【写真を見る】日本メーカーもEVへの本気度が上がっていた(写真13枚)


 「Japan Mobility Show 2025(JMS 2025)」(10月31日〜11月9日、東京ビッグサイト)に行ってきました。2023年の同イベントも見分した筆者ですが、まず、最初に感じたのは、「国産メーカーからのEVが増えた」という点です。2023年当時もEVの出展はありましたが、コンセプトカー的な印象が先立ち、夢はあっても、本当に発売されるの? という思いが先行してました。


 しかし、今回は、国内メーカーもこぞってEVに本気モードで取り組んできたという印象です。本稿では、動力源に関係なく筆者が個人的に気になったクルマを中心に写真を交えてご紹介します。


●スバル得意のステーションワゴン型EV


 一般的には地味な存在ながらも、今回、筆者が最もときめいたのが、スバルの「トレイルシーカー」です。いわゆるステーションワゴン型のEVです。EVというとセダンかSUVが目立ちます。ステーションワゴン型をラインアップするのは、BMWなどドイツのメーカーが中心でした。ここに、国産メーカーとしてスバルが一石を投じたわけです。


 発売は、2026年春頃を予定しています。担当説明員によると、最上級グレードは、四輪駆動で前後に167kW出力のモーター(約227馬力相当)を積み、0-100km/h加速が約4.5秒を目標に開発しているとのこと。筆者の乗るTesla Model 3 ロングレンジAWDと同等です。あの凄まじい加速がステーションワゴンで味わえるということです。


●BYDの本気度を感じた軽自動車EV


 中国のBYDが日本独自の規格である軽自動車市場に参入してきます。車名は「ラッコ」と、海獣の種族名を車名にしています。日本で人気のカテゴリーである、スライドドア付のスーパーハイト型という直球ど真ん中で勝負です。日本導入は2026年夏を予定しているそうです。バッテリー容量や航続距離は未発表ながら、日産「サクラ」やホンダ「N-ONE e:」を凌駕するコスパで登場したら、軽EV市場が活性化しそうです。


●まさにEV界のバケモノ的スーパーカー


 BYDのハイエンドブランドであるヤンワンの「Yangwang U9」には度肝を抜かれました。最高速度496.22km/hと世界最速EVとしての記録を持っています。また、独自車体制御システムを利用して車体をジャンプさせる動画が話題になりました。


●国民車であるカローラーが流麗なフォルムで登場!?


 トヨタのブースで目を引いたのは「Corolla Concept」と銘打たれたこのクルマです。その名が示す通り、カローラシリーズの次世代像を示すものとして発表されました。4ドアセダンながら、現行プリウスも真っ青の全体に低くワイドなボディと流麗なルーフラインが印象的です。ただ、EV専用ではなく、ハイブリッド、プラグインハイブリッド、EVという複数の動力源を予定しているようで、マルチパスウェイを標榜するトヨタらしいクルマになりそうです。


●職人さん達の強い味方、ハイエースも未来的に変身


 働くクルマとして人気の高いハイエースですが、こちらもカローラ同様「コンセプト」という形で次世代版が展示されていました。現行のハイエースと同様に、あくまでもガソリンエンジンを動力源とするようですが、仮に前出のカローラ同様マルチプラットフォーム仕様によりEV版が登場したらまた別の魅力を振りまきそうです。


 それにしてもカッコイイ。Bピラーを取り払ったピラーレス構造の大開口部は、物流だけでなく、キャンピングカーのベースモデル、医療関係、福祉車両などあらゆる用途で大活躍しそうな予感です。


●「CENTURY」というブランドを新創設


 センチュリーというと、皇室の特別車両である「御料車」を思い浮かべます。つまり、従来はショーファードリブンが前提の1モデルでした。しかし、トヨタは「CENTURY」をブランド化して新たな方向性を打ち出してきました。


 写真をご覧頂くとわかるように、クーペ型のコンセプトモデルをラインアップするなど、セダンオンリーだった従来とは異なり、レクサスの上位に位置するブランド戦略を展開するようです。


 余談ですが、筆者は、センチュリーに忘れがたい思い出があります。トヨタ系列販社の役員の葬儀において、受付を拝命したときのことです。場内整理に駆り出された販社の社員が参列者の車を誘導する様を受付から見ていました。駐車スペースが限られており、社員達は、参列者の車種を見て、玄関の車寄せまで誘導するか、離れた駐車場に向かわせるかなどを判断していました。


 当然、センチュリーは、無条件で葬儀場の車寄せまで誘導してもらえます。一方、クラウンは、駐車場には入れますが、車寄せとは離れた位置に誘導されます。そして、マークIIやカローラクラスは駐車場の外です。日本企業のヒエラルキー構造の縮図を見た気がして、実に貴重な体験でした。


 ちなみに、筆者はその当時、シトロエンに乗っており、受付ということもあり少し早めに式場に到着したのですが、誘導の社員は、シトロエンという未知(たぶん)のクルマをどのように扱っていいのかわからず、煮え切らない態度を示しました。


 「受付担当です。駐車場に入りますね」と宣言して受付に近い区画に停めたのは、今となっては、いい思い出です。


●屋根にソーラーパネルを広げて太陽光で年間3000km


 日産のソーラーパネル付きの軽自動車もユニークな存在でした。自宅の駐車場などに駐めている間、ルーフのソーラーパネルが前方にせり出してきて太陽光で蓄電してくれます。説明担当者によると、神奈川県の気象データや日照時間換算で年間3000kmを走行できる分の電力量を賄うことを目指しているそうです。


 家人が買い物に使っている三菱アイは、年間2500km程度しか走りません。このクルマであれば電力会社からの電気で充電をすることなく、エネルギーコストゼロ円での運用が可能になります。


 ただ、説明担当者によると、価格をどこまで抑えることができるかが大きな課題だそうです。逆に、「いくらなら買いますか?」と尋ねられました。一応、オプションを付けた一般的なガソリンの軽自動車と同程度である250万円と答えておきましたが、果たして実現可能なのでしょうか。注視しておきたいクルマです。


●目の付け所がシャープだね


 最後に家電製品でおなじみのシャープのユニークなコンセプトEVをご紹介します。「LDK+」と名付けられたこのクルマは、「停まっている時間」を活用する、家の一部としてのクルマをテーマにしています。まさに、自宅のLDKの延長線上に位置するクルマというわけです。


 最後部にスクリーンが張られており、座席横のボックス内に設置されたプロジェクターから映像を映す仕組みです。キワモノ的な印象を持つ人もいるでしょうが、EV(特にTesla)のユーザーであれば、このコンセプトに理解を示す人も多いのではないでしょうか。


 EVであるからこそ、停まっている間もエアコンの利いた快適な空間で、映像を楽しむことができますし、リモートワークのスペースとしても最適です。例えば、LDK+でStarlinkを積んで山に行き、大自然の中でリモートワークをするなんてどうでしょうか? 新しい体験をもたらしてくれそうです。


 ちなみに、この試作車にはイマーシブオーディオは非搭載でした。説明員によると、「コストアップになるので音響をどこまで充実させるか判断が難しい」とのことです。


 そして、シャープと言えば、独自の空気浄化技術「プラズマクラスター」が有名です。プロジェクターのボックスには、しっかりと空気清浄機も設置されており、そのあたりは目の付け所がシャープでした。


 Japan Mobility Show 2025では、上記の他にもたくさんの興味深いクルマや技術が展示されています。筆者は、時間的な制約もあり、プレスデーの初日しか見て回ることができませんでしたが、クルマ好きであれば2度、3度と訪れてじっくりと見学する価値のあるイベントだと感じました。


著者プロフィール


●山崎潤一郎


音楽制作業の傍らライターとしても活動。クラシックジャンルを中心に、多数のアルバム制作に携わる。Pure Sound Dogレコード主宰。ライターとしては、講談社、KADOKAWA、ソフトバンククリエイティブなどから多数の著書を上梓している。また、鍵盤楽器アプリ「Super Manetron」「Pocket Organ C3B3」「Alina String Ensemble」などの開発者。音楽趣味はプログレ。Twitter ID: @yamasakiTesla



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