「東京六大学野球連盟結成100周年記念試合 六大学オールスター東西対決」の始球式を務めた柏崎咲和(=写真右・4年/大阪体育大)と打者を務めた山形球道(=写真左・4年/立教大) 写真/いずれも本人提供 11月29日、東京・明治神宮野球場で開催された「東京六大学野球連盟結成100周年記念試合 六大学オールスター東西対決」。同連盟結成100周年記念として行われたこの試合は、4年生含む東京六大学野球現役部員の出身高校をもとに東西にチーム分けし、チームWestとチームEastとして対決。始球式では、投手と打者、それぞれの“運命”が交錯していた。
【写真】めっちゃいい笑顔…「アジアカップ」4連覇を達成した“侍ジャパン”野球女子日本代表 この試合の始球式は、「第4回 BFA 女子野球アジアカップ」4連覇に、“侍ジャパン”野球女子日本代表のエースとして大きく貢献し、大会MVP、最優秀防御率のタイトルを獲得した柏崎咲和(4年/大阪体育大)が務めた。「緊張した。大歓声がすごかった」と振り返った投球は、左打席に入ったチームWestの1番・山形球道(4年/立教大)のインハイに少し上ずったものの、山形が空振り。大きな歓声を浴びて、柏崎は笑顔で念願だった神宮のマウンドを後にした。
試合後、柏崎のもとに1本のDMが届いた。連絡をくれた相手は、始球式で“対戦”した山形だった。
「昔、咲和さんと対戦して、三振したの覚えてる?」
山形が小学生時代に所属していた東京・大田リトルと、柏崎が所属していた神奈川・青葉緑東リトルは、練習拠点が近かったこともありよく対戦していた。山形は当時チームの監督をしていた父親にも確認し、柏崎との対戦が間違いないと確信していたものの、残念ながら柏崎にその記憶はなかった。一方で、山形は今春の「東京六大学野球」で戦後18人目となる三冠王を獲得し、今夏に行われた「第45回日米大学野球選手権大会」では大学日本代表として“侍ジャパン”入り。柏崎は、山形の活躍する姿をさまざまなメディアで目にし、同学年のプロ注目の選手として、大きな刺激を受けていた。
そんな打者と“対戦”できたことが光栄だと思っていた柏崎。10年以上前のリトルリーグ時代の三振から互いの“野球道”を信じて歩み、それぞれ第一線で活躍。そしてこの試合にベンチ入りした両チーム合わせて50人の中で、縁のある山形が1番打者に入り“再会”した奇跡に、2人はただただ驚いた。
山形からの連絡をきっかけに、2人は互いの夢に向けてエールを送りあった。大学4年生である2人は、卒業後も共に社会人として野球を続ける。
今回連盟が100周年を迎えた東京六大学野球をはじめ、MLB、NPBが歴史を重ね、盛り上がりを見せる一方で、まだまだ歴史の浅い女子野球について、柏崎は「女子野球の魅力を少しでも広めていきたい」と言葉に力をこめる。次世代の侍ジャパン野球女子日本代表“エース”が、この“空振り”をきっかけに女子野球の新たな歴史を築いていく。