ロッテ・鈴木昭汰「至らないところが多かった」悔しい1年に。来季は「自分が一番投げて活躍して」…「チームが勝つのがベスト」

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2025年12月02日 08:46  ベースボールキング

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春季キャンプの時のロッテ・鈴木昭汰[撮影=岩下雄太]
 「50試合投げた年は勝負の年だったので、1月から全開で行っていて、侍も選ばれてという中で、オーバーキルですね。ですけど、本当に今年開幕した時はすごい不安だった。前半戦は投げられましたけど、後半戦はもたなかったというのは、肩のコンディションだけでなくて、自分の実力不足でもあった。技術においても体のことにおいても、まだまだ自分が至らないところが多かった」。



 ロッテ・鈴木昭汰は今季悔しい1年になった。



 鈴木は昨季、松井裕樹(パドレス)と自主トレを行い、“体の使い方”、“野球に対する考え方”、“栄養面”など野球に関わる全てのことを教わり、開幕から27試合連続自責点0に抑えるなど、51試合に登板して、2勝2敗27ホールド5セーブ、防御率0.73と抜群の安定感を誇った。シーズン終了後には、『ラグザスpresents第3回WBSCプレミア12』の日本代表に選出されるなど、飛躍の1年となった。



 25年も昨季と同じく松井らと自主トレを行い、「新しいこともしましたし、どんどんやることが増えているなと思います」と去年学んだことを継続しつつ新しいことも学んだ。



 2月26日のオリックスとの練習試合で対外試合初登板を果たすと、「0というのは結果だけなので、まずは内容、良い点も悪い点もあったし、自分のやりたいことはキャンプから通してできたと思うので、それをしっかり開幕で今シーズンぶつけていきたいなという思いが今はあります。良い時も悪い時もあると思いますけど、1年間通してチームに貢献していきたいと思います」と、練習試合・オープン戦は7試合・7イニングを投げ、無失点に抑え、開幕を迎えた。



 今季初登板となった3月28日のソフトバンク戦、ホールドがつかない7−1の7回にマウンドに上がり、10球中8球がストレートのパワーピッチングで1回を無失点に抑えると、3月30日のソフトバンク戦では7−4の9回に登板し今季初セーブをマーク。



 今季4試合目の登板となった4月11日のソフトバンク戦で初失点、続く4月16日の日本ハム戦で無失点、4月18日の楽天戦で失点し、4月22日の西武戦で無失点と「続けて失敗しないことが大事なので、そこら辺は気をつけてやっていきたいと思います」と失点した次の登板で、しっかりとスコアボードボードに“0”を入れるあたりもさすがだった。



 春先、益田直也、澤村拓一、国吉佑樹といった実績のある30代のベテラン選手が一軍不在で、若い投手中心に構成されることが多かった。



 「やることは変わらないし、ベテランがいなくて普段頼りにしていたことが顕著に表れていますけど、それをいつまでも頼っているようじゃダメだし、自分がそういう役割を担っていければいいなと思っています」と頼もしい言葉。



 5月27日のオリックス戦は、かなり難しい状況でのマウンドになった。6−0の9回に登板した投手が4連打で3点を失い、なお無死一塁の場面で鈴木の名前が場内からコールされた。6−0で9回を迎え、本来であれば抑えの投手が出てくることが想定しにくい場面、さらにオリックスの勢いがついた中で、難しい場面での登板となったが、「入り遅れをしたくなかったので、心の準備だけはしていました」と気持ちを切らすことはなかった。



 「オリックスも押せ押せでしたし、マリーンズも僕が上がった時は6−3になっていたので、しっかり1人1人抑えて勝つことを意識してやっていました」。



 この場面、まずは最初の打者を抑えなければというのはあったのだろうかーー。



 「最初の打者というか、点差も3点差あった。2点までOKという状況だったので、ランナーを溜める状況が一番良くなかった。どんどんストライクを出して打ち取って行こうと思っていました」。



 最初の打者・頓宮裕真を三ゴロに仕留めると、続く森友哉にレフト前に運ばれ一、三塁とされる。杉本裕太郎にライトへの犠飛で1点を返されるも、最後は中川圭太を3ボール2ストライクからインコースのストレート、鈴木が得意にしているコースで見逃し三振に仕留め、試合を締めた。



 「ずっと外を攻めていた。最後は一番自信のあるボールで、ファウルされたら、そのあと考えようと思って割り切って投げましたね、あの1球は」。



 見事な火消しをしたが続く5月31日の日本ハム戦、3−1の9回に登板するも3点を失いサヨナラ負け、6月7日の中日戦でも3−1の9回に3点を失いサヨナラ負けを喫するなど、らしくない投球が目立つ。それでも、6月11日の広島戦から7月8日の日本ハム戦にかけて10試合連続無失点。



 特に6月22日のDeNA戦の投球は素晴らしかった。10−9の8回表のロッテの攻撃は、ウィックの前に三者連続3球三振に倒れ、その裏、DeNAの攻撃は1番・度会隆輝からの打順だった。



 DeNAに傾きそうな流れの中、マウンドに上がった鈴木は「僕らが優勢なのは変わりないので、どんな流れでもアウトを3つ取ることは変わりない。あんまり余計なことは考えず、1人1人戦っていこうと思って投げました」と、先頭の度会を2ボール2ストライクからストレートで見逃し三振で、まずは先頭打者を打ち取る。続く松尾汐恩も2ボール1ストライクからの4球目のツーシームで二飛、最後は佐野恵太を1ボール2ストライクから4球目のスライダーで二ゴロに仕留め、1番から始まるDeNAの攻撃を3人で片付けた。



 復調の兆しを見せたかと思ったが、7月11日の西武戦、7月18日のオリックス戦、2試合連続失点すると、この日の登板を最後に一軍登板なし。



 「いろんなところに行ったし、いろんなことも試したし、その中で自分の中でこれをしたら良くなるという形が見えた」と話し、「そういうのを自分1人ではできないですし、トレーナーさんの力があってこうやってやれているわけなので、来年もコミュニケーションを取ったり、勉強をしながら、体を知っていいパフォーマンスを出すためにはというのを考えれば、1年間生活リズムも良くなるだろうし、野球に対しての向き合い方も良くなると思う。それは今年もやっていましたけど、継続的にやっていきたいと思います」と語った。



 10月26日に行われたヤクルトとのみやざきフェニックスリーグで実戦に復帰を果たし、1回を無失点に抑えた。「自分が一番投げて活躍して、チームが勝つのがベスト。優勝チームはパ・リーグの強いチームを見ていたら、後ろがちゃんとしているので、ロッテが勝つためには後ろがしっかりしないといけないのはわかっている。それをしっかり頭に入れて常に目の前の試合を抑えていけば、結果が出てくるかなと思います」。来季の巻き返しに向け、鈴木の心は熱く燃えている。



取材・文=岩下雄太

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