ソニー「α7 V」登場、実際に触れて分かった“次のスタンダード”の意味

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2025年12月05日 07:31  ITmedia NEWS

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基本デザインは先代「α7 IV」と変わらないが、中身が大幅に強化された「α7 V」

 ソニーから、αシリーズの中核にしてスタンダードモデル「α7」の5代目にあたる「α7V」が発表された。コピーは「Redefine basic」。直訳すると「ベーシックを再定義せよ」……日本語のコピーは「塗り替えろ」だ。


【その他の画像】


 前モデルにあたる「α7IV」の登場が2021年12月なので、あれから4年。その間に高画素機の「α7R V」、コンパクトな「α7C II」や「α7 CR」、グローバルシャッター方式センサーを搭載した「α9 III」、フラッグシップモデルの「α1 II」と多くのモデルが登場し、その間に多くの蓄積があった。


 α7 Vはスタンダードモデルとしてその4年分を含めて設計し直したモデルと思ってよさそうだ。ソニーの体験会で実機に触ってきたので、その感想も含めてリポートしたい。


●部分積層型センサー+新型画像処理エンジンでレベルアップ


 α7 Vの一番の進化点はイメージセンサーと画像処理エンジン。これは要注目ポイントだ。


 画素数はα7 IVと同じ3300万画素ながら、新開発の「部分積層型」センサーを搭載。読み出し速度が前モデルの約4.5倍に向上した。完全な積層型センサーのα1シリーズには及ばないが、高速読み出しはAFの高速化、連写の高速化、さらにローリングシャッター歪みの軽減に効いてくる。


 画質も向上し、ダイナミックレンジも前モデルの15ストップ(段)から16ストップ(段)に広がり、2倍の階調の広さを実現した。


 画像処理エンジンも新開発のもの。


 4年前のα7 IVには残念ながらAIプロセッシングユニットが未搭載だったため、その後に出た機種に比べて弱いところがあった。というか、性能的に古くなってしまった点があった。


 α7 Vでは、他モデルのように画像処理エンジン「BIONZ XR」+AIプロセッシングユニットという構成ではなく、画像処理エンジンにAIプロセッサーを統合した「BIONZ XR2」を新開発したのだ。両者が統合したことで、省電力化も実現したという。


 高速センサーと新画像処理エンジンにより、スタンダードクラスのモデルながらブラックアウトフリーで最大約30fpsの超高速連写が可能になり、ハイエンド機が搭載するプリ撮影機能や連写ブースト設定も可能になったのである。しかも高速読み出しが可能なセンサーのため、ローリングシャッター歪みも軽減されているはずである(これはレビュー時に確かめたい点だ)。


 画質の向上とAF認識性能の向上、高速化に加えて省電力化も図れたという。ダンスシーンを試し撮りしたが、顔が見えていれば瞳を、見えないときは頭部をしっかり捕捉し続けてくれた。


 もう一つ注目したいのはAWB(オートホワイトバランス)。ディープラーニングを使い、画像からの正確な光源推定が可能になり、今まで難しかったシーンでのAWBが正確になった。これも実際にレビュー時に確かめてみたい点の一つだ。


 写真撮影に関しては、新型センサー+AIが統合された画像処理エンジンで上位モデルゆずりの4年分の機能プラスαに進化したといってよさそうだ。


 ボディ内手ブレ補正も、5.5段から7.5段分(中心部)に上がっている。


 動画に関しても4年分の進化がもちろん盛り込まれており、4K /120fpsをサポートしたり、4K/60fps時はフルフレームでの撮影が可能になったが、それ以上にうれしいのは連続撮影時間が延びたことだろう。BIONZ XR2が省電力化したおかげで放熱が減り、放熱のためのシグマサークルも二対用意され、気温が高いときの連続撮影時間がぐっと延びた。


 ボディに関しては基本デザインはα7 IVと変わらない。ぱっと見て分かるのは、グリップ部のデザインが少し変わったことと、少し分厚くなったように感じるくらいだ。


 だが、よく見ると大きな違いがある。


 一つは背面モニター。ちょっと大きく高精細になった。さらにα7 IVはチルト式だったが、α7 Vはフラッグシップ機のα1 IIと同じチルト+バリアングルのマルチアングル式になったのだ。ちょっと厚みを増したと感じるのはモニター部の差だ。


 運用上、チルトもバリアングルも使えるというのは非常に大きい。


 α7 IVと比べると質量が約658gから約695gに少し増え、ほんの少し大きくなったが(この辺はマルチアングル式モニターの採用が大きいだろう)、バッテリーの持ちは撮影可能枚数が約580枚から約750枚(背面モニター使用時)と省電力化によってかなり向上した。


 α7 IVは4年前のモデルなので大幅に基本性能が向上するのは当然と思えるかもしれない。しかし、それにプラスして新型の部分積層型イメージセンサーとAIプロセッサーを統合したBIONZ XR2を採用したことで、α7 Vは次世代のベースを手に入れたカメラといってよさそうだ。


 今後はこれを基準として、他のαシリーズも順番に進化していくかと思う。そう思えば新しいスタンダードの誕生といっていい。


 市場想定価格は、ボディ単体で42万円前後。発売は12月19日を予定している。


 なお、発売は2026年春以降になるが、エントリー向けの小型軽量ズームレンズ「FE 28-70mm F3.5-5.6 OSS II」とのレンズキット(44万円前後)も用意される。このレンズは従来の「FE 28-70mm F3.5-5.6 OSS」を高速連写に対応させたものとなる。



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