兄の自殺契機に教団襲撃決意=経済的に困窮、標的安倍氏に―山上被告
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2025年12月05日 07:31 時事通信社

安倍晋三元首相銃撃事件の公判で、5回にわたって行われた被告人質問では、山上徹也被告(45)が兄の自殺をきっかけに世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の教団幹部への襲撃を決意したものの果たせず、安倍氏に標的を変えた経緯が詳しく語られた。
それによると、教団に反発し続けた兄が2015年に自殺した後、教団を信仰する母親から「兄は献金で天国に行けて良かった。(献金から)返金を受けたせいで兄は死んだ」と告げられ、「蓄積していたものが全て爆発した」という。
18年と19年に教団トップらが来日した際、ナイフや火炎瓶での襲撃を計画したが失敗。「距離が離れれば心理的抵抗が軽減される」と考え、拳銃の入手を試みるもかなわず、20年末から手製銃の製造を始めた。
教団幹部への襲撃の機会をうかがい、22年7月に予定された埼玉での会合に幹部が来るかどうか探るなどした。そのころ被告は、手製銃や火薬の製造で借金が200万円以上かさみ、同年6月には職場を退職し、経済的に追い詰められていた。
安倍氏への襲撃を決めたのは同年7月に入ってから。7月7日、岡山市の演説会場に向かうも、警備が厳しく断念したが、翌日の奈良入りを知り「偶然とは思えない気がした」。8日、参院選の応援演説中だった安倍氏に銃口を向けた。
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