
カインズは12月11日、ITなどを活用した次世代店舗「カインズ吉川美南店」(埼玉県吉川市)をオープンした。
JR武蔵野線「吉川美南駅」東口からすぐの大型店で、ドッグランやカフェも併設。日用雑貨や飲料・加工食品、DIY関連、家庭用品、アウトドア用品など幅広い商品をそろえる。
インテリアやリフォームコーナーでは、商品のサイズ感や触感、リフォーム施工後のイメージが分かる展示を充実させた。例えば、枕やソファは実物を試せるようにサンプル商品を用意し、カーテン売り場では光の透け具合を確められる工夫をしている。リフォームコーナーには本社の専門従業員にリモートで相談できるブースを設置した。
洗濯洗剤コーナーでは、液晶画面に表示された商品画像をタップすると陳列商品の香りが噴射され、香りを試せる端末を導入した。従来はミニボトル型の香り見本を設置していたが、本体が無くなってしまったり、時間経過で香りが弱まったりする課題があったそうだ。
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この端末はPOSデータと連携しており、香りを試した客が購入に至ったか可視化できるようになっている。試験導入した芳香剤ブランドでは、前年同期比2.16倍の売り上げを記録したという。
その他、工具関連やアパレル、オフィス用品なども取りそろえる。
●デジタル活用で接客「年8000時間」節約 その狙いは?
カインズは2018年から第3創業期としてIT活用に力を入れており、注文や在庫確認ができる公式アプリ「カインズアプリ」の開発などを進めてきた。新店舗では、こうした取り組みをさらに発展させ、同規模の店舗と比べて人時生産性の20%向上を目指す。
店内にはAI接客サイネージ「スマートフロアナビ」を6台設置した。AIアバターが利用客の質問に対応することで、スタッフの負担軽減を狙う。利用客からの問い合わせで最も多いのが売り場案内だといい、サイネージの活用で年間約8000時間の案内業務を削減する計画だ。
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販売ロボットを2台導入する。売り場を巡回しながら商品位置を案内したり、おすすめ商品を載せて店内を回ったりといった業務を担う。
デジタルオーダーコーナーでは、店頭に12台、各コーナーに7台のタッチパネル式電子カタログを配置。利用客は商品の検索や売り場の確認ができ、在庫が無い商品はそのまま注文もできる。
店舗オペレーションの面でも効率化を図る。夜間に搬入された商品を、店内の指定の通路まで自動で運ぶ自立走行搬送ロボット「AMR」を導入。これまでは従業員が搬送口から売り場まで商品を運んで補充していたが、ロボットが作業を代行する。日中の作業時間を月間約100時間削減する見込みだ。
売り場の変更に伴う値札の付け替え作業を省力化するため、電子棚札も導入した。売価変更作業において1カ月当たり約150時間の削減を期待する。さらにバックヤードでは省スペースで管理ができる移動式ラックを導入し、従来比約1.8倍の積載量を実現した。
●スマホで注文した商品をカウンターやロッカーで受け取り
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在庫を売り場に置かない大きな商品などについては、利用客が店内の展示にあるQRコードからスマホで注文すると、店員が5分以内に商品を用意してカウンターで受け取れる「クイックピックアップ」を導入した。店舗スタッフを探したり呼んだりする手間を解消する狙いだ。
来店前にオンラインショップやアプリから注文し、専用ロッカーや専用駐車場で受け取れる「ピックアップロッカー/ドライブピックアップ」も用意した。店舗外にあるロッカーを利用すれば、カインズの営業時間外にも商品を受け取れるという。
決済には、一般的なレジの他にレジを通らずにスマホで完結する「ポケットレジ」を採用した。利用客はカインズアプリでチェックインし、専用のカゴに商品を入れながら都度スマホで商品コードを読み込み、アプリ上で決済する。会計後はアプリに表示されるQRコードを専用レーンで提示するだけで買い物が完了する仕組みだ。
●24時間無人営業の「ミニホームセンター」を併設
新店舗と同じ敷地内には、24時間無人営業のミニホームセンター「CAINZ Mobile Store」を併設。カインズで人気の商品や消耗品、日用品、工具など1200アイテムを展開する。ドッグランの近くにあるため、ペット用品や動物用おやつなども取りそろえた。
また、ドッグランで遊んだ後に愛犬を洗えるセルフウォッシュエリアや、トリミングエリア、プロのカメラマンに愛犬を撮影してもらえる撮影スタジオなど、ペット関連サービスも集約した。
愛犬のしつけや指導を頼める「いぬのようちえん」や旅行やカインズでの買い物中にペットを預けられるペットホテルも設置。2026年7月には、カインズを展開するベイシアグループの「ハグウェル動物総合病院」を隣接エリアにオープンする予定だ。
新店舗についてカインズの高家正行社長は「次世代のカインズをこの店からスタートさせる。単に新しいテクノロジーを導入して効率化を追求しただけの店ではない。それに加えて、新しい・楽しい・ワクワクする顧客体験を実現する」と意気込んだ。
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