
本人に代わり、退職したい意思を会社に伝える「退職代行サービス」。近年は人手不足で転職がしやすくなったことに加え、職場でのトラブル回避や退職までの期間短縮などでニーズが高まっていることを背景に、市場への参入が増加しているようだ。
こうした中、10月22日、退職代行サービス大手「モームリ」が、無資格で顧客を弁護士に紹介し報酬を得た疑いがあるとして、警視庁の家宅捜索を受けた。帝国データバンクは保有する企業データベースの他、開示情報などから主要な退職代行サービスを運営する事業者の調査を実施した。
●弁護士法人による運営は3割どまり
退職代行サービスを展開する事業者は、全国に少なくとも52法人あることが分かった。そのうち約6割が民間経営、3割強が弁護士法人による運営だった。
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法人が特定できた退職代行サービス事業者の設立年をみると、52法人のうち75.0%に当たる39法人が10年以内に設立されていた。また設立5年以内が17法人(構成比32.7%)を占めるなど業歴の浅い事業者が多数を占めた。
利用料金をみると、着手金などを含む各社の最低料金の平均は2万9410円だった。このうち、弁護士法人による料金は約4万4700円、民間経営による料金は約2万2500円と大きな差があった。
●退職代行サービスの今後
民間経営の退職代行サービスに対しては、以前から東京弁護士会などから弁護士法が禁じる斡旋の非弁行為に当たるとして注意喚起がされており、近時は事業撤退もみられるようになっていた。
帝国データバンクは「退職代行業務の『グレーゾーン』に改めて焦点があてられ、民間企業の参入で急成長が続いた同サービスの先行きに黄信号が灯った。ただ、退職代行サービスはトラブルを回避したい労働者から一定のニーズがあり、有用なサービスといえる。退職代行ビジネスのあり方について再考が必要な時期を迎えている」とコメントした。
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