画像提供:マイナビニュースドイツ・ミュンヘン市内で14世紀から続くクリスマスマーケットを模した「ミュンヘン・クリスマス市 in Sapporo」は、今年で24回目を迎えた。
12月5日の午後6時前、わずかに明るさの感じられる時間から降り出した雪は、次第にその強さを増していった。木彫りのサンタクロースやクリスマスオーナメントが整然と並ぶ木の小屋からは、あたたかいランプの灯りが漏れる。ソーセージをたっぷり盛りつけたバスケットが置かれたテーブルを挟み、恋人たちがLEDの柔らかな光に照らされながら、幸せそうな横顔を見せている。ホットビールが注がれたカップからは、吐く息と同じ白い湯気が立ちのぼった。
○札幌とミュンヘンをつなぐ50年の交流と冬の風物詩
大通公園2丁目を囲むように並ぶ雑貨店やグルメブースには、この時期にしか味わえない雰囲気やフードを求めて客が次々と訪れ、どこも盛況だ。留学生と思われるブロンドの店員が、少し恥ずかしそうに頬を赤らめながら発する日本語の挨拶が、あちこちから聞こえてくる。
札幌とミュンヘンの交流が始まったのは1972年。同年の冬に札幌、夏にミュンヘンでオリンピックが開催されたことがきっかけだった。
北緯43度に位置する札幌に対し、ミュンヘンは48度と差はわずか。両市とも“ビールの街”として知られ、札幌がある北海道と、ミュンヘンのあるバイエルン州はいずれも畜産業が盛んといった共通点がある。こうした背景から姉妹都市提携が進み、1976年には五月祭の飾り木「マイバウム」がミュンヘンから寄贈され、大通公園11丁目に設置された。
提携15周年の1987年には、札幌市内の真ん中を流れる豊平(とよひら)川に、ドイツで発展した美しいハープのような形状を持つ斜張橋「ミュンヘン大橋」が架けられた。ミュンヘン市内には札幌のラーメン店や「Sapporo」の名を冠したビルが存在し、50年以上続く友好関係の象徴となっている。スポーツ分野でも、1982年にミュンヘンからサッカー少年団が札幌を訪問。翌年には、札幌のサッカー少年団がミュンヘンの親善試合に参加するなど、様々な形で両都市の親交は深まってきた。2022年には、提携50周年を記念した、記念誌も作られている。
○エネモ登場で会場が笑顔に包まれた点灯式
また、今年は特別企画として、ミュンヘン・クリスマス市の会場を歩きながら楽しむ謎解きイベント「エネモとサンタクロースのキラめき! ひらめき! クリスマス大冒険」も実施されている。これは会場内のポイントを巡りながら出題される謎を解いていくオリジナルの体験型企画で、クリスマスならではの雰囲気を味わいながら、参加者はプレゼントを目指して会場を歩き回ることができる。参加は無料で、受付は午前11時から午後9時まで行われている。
午後6時5分前。「メリー! クリスマース!」と、笑顔で声を張り上げるサンタクロースとともに、北海道電力のコーポレートキャラクター・エネモがステージに姿を見せた。
北海道電力はミュンヘン・クリスマス市の協賛企業として会場を盛り上げており、今年もその一環としてエネモが登場。12月19日のイルミネーション点灯式や、12月21日のプレゼントデーステージにも登場予定だ。集まった子どもたちが「エネモ!」と名前を呼ぶと、笑顔を声のする方向に向け、片足を少しだけ前に踏み出し、かわいらしく手を振った。
午後6時1分前になると、ステージ後ろのシンボルと通路のイルミネーションが一斉に消えた。立候補した5人の子どもたちが、ステージ前に置かれたスイッチに手をかけ、司会のカウントダウンと再点灯の合図を待つ。「10、9、8、7、6、5、4、3、2、1、スイッチ! オン!」。掛け声とともにスイッチを押すと、薄暗かった2丁目会場に、明るく弾むような音楽と、まばゆいばかりのイルミネーションの輝きが戻り、会場から大きな拍手が送られた。
点灯式が終わると、エネモとサンタクロースはステージ横のパネル前まで移動して撮影会に参加。北海道外や海外から訪れた観光客も列に加わり、思い思いのポーズでフレームに収まった。来場記念にエネモのぬいぐるみをプレゼントされた子どもは「かわいい!」と顔をほころばせ、寒さで真っ赤になったほっぺたを、ぬいぐるみにギュッと寄せた。
“笑顔の集まるところが大好き”というコーポレートキャラクター・エネモを中心に、札幌の冬の風物詩となったミュンヘン・クリスマス市でも、多くのスマイルが生まれていた。ミュンヘン・クリスマス市の会期は12月25日までで、まだまだ冬の楽しい体験が続く。(中島洋尚)