
Razerのゲーミングキーボードの新たな選択肢として、7月に加わったのが「Razer Joro」だ。超薄型のキースイッチと、コンパクトな「75%レイアウト(テンキーレス)」を組み合わせた薄型/軽量モデルだ。日常利用からモバイル環境まで、幅広いシーンに対応することを目指したという。現状では米国英語(US)配列のみの販売で、直販価格は2万2480円となる。
本製品はBluetooth 5.0による無線接続とUSB Type-C端子による有線接続に対応し、別売のUSBドングルを使用すれば独自の2.4GHzワイヤレス接続「Hyperspeed Wireless」にも切り替えられる。カラーはブラック1色展開で、キーキャップにはUVコーティングABS素材を採用する。ライティングはシングルゾーン仕様の「Razer Chroma RGB」を搭載し、発光は比較的控えめだ。
今回、メーカーから本機を借りて試すことができたので、外観から操作感、カスタマイズ性、そして実際の使用感について確認していこう。
●薄型/軽量ながらも剛性をしっかり確保
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Razer Joroの外観はフラットな薄型形状が特徴で、全体としてミニマルかつ洗練された印象を受ける。
ボディーサイズは約298(幅)×112(奥行き)×16.5(高さ)mm、重量は約374gと非常にコンパクトかつ軽量で、バッグに容易に収まる携帯性の高さを備えている。
ボディーは「5052アルミニウム合金」製のトップケースと、ABS樹脂製のボトムケースを組み合わせた構造で、薄型ながら剛性が高く、圧力をかけてもゆがみにくい。
軽量モデルでは、設置時の安定性に不安を覚えるかもしれない。しかし本製品の場合は、底面の四隅に配置された大型のゴム足がしっかりと支えるため、タイピング中に本体がずれることはなかった。
本製品には高さ調整のキックスタンドはないが、本体にわずかに付けられた傾斜のおかげで、自然にタイピングができる。本体下側の厚さは約10mmと非常に薄く、使用時にパームレストを使わずに自然なタイピングポジションを確保できる。
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●超薄型スイッチはしっかりとしたタイプ感を確保
キーキャップはUVコーティングを施したABS製だ。耐久性に優れ、長期間の使用でも色あせしにくい設計で、表面はサラサラとしていて滑らかだ。それでいて、指先に適度なグリップがあるので、ノートPCに近い感覚でスムーズにタイピングできる。
先述の通り、本製品はテンキーレスの75%レイアウトだ。コンパクトながらも矢印(方向)キーやPage Up/Page Downキーはもちろん、Fnキーとのコンビネーションによるメディアキーもあるため、日常的な作業でも使いづらさは感じなかった。
本製品の特徴でもある超薄型シザースイッチの打ち心地だが、その薄さに反してしっかりとしており、キーのぐらつきを抑えつつ、短く安定したストロークを実現している。
さすがに、メカニカルスイッチのような深いストロークや力強い押下感はない。しかし、明確な“タクタイル感”を備えており、印象としてはゲーミングノートPC「Razer Blade」シリーズのキーボードに近く、軽快さと確かなフィードバックを両立している。
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ただし、その分だけ長時間のタイピングでは指先に疲労がたまりやすい印象を受ける。1日中のデスクワークでの使用というよりも、モバイル環境で必要なときに素早く作業したり、複数デバイスを切り替えながら短時間で入力を行うといった、本機が想定する利用スタイルにより適していると感じた。
●薄型でもしっかりゲーミング仕様!
Razer Joroは、入力面において「Snap Tap」(いわゆる「SOCD機能」)や「Nキーロールオーバー」「全キーアンチゴースト」に対応している。ゲーム用途において欠かせない機能をしっかりと備えるのはうれしい。
また、最下段のキーにはWindows向けの刻印(Windowsキー/Copilotキーなど)の他に、macOS向けの刻印(Commandキー/Optionキーなど)も並んでいる。というのも、本製品はマルチプラットフォームでの利用を前提としているからだ。
Windows向けとmacOS向けのレイアウトは「Fn+Tabキー」で即座に切り替えられる。Windows PCとMacの“両刀遣い”の人にはありがたい配慮といえる。
●接続先の切り替えもシームレス
先述の通り、Razer Joroは「Bluetooth 5.0」「USB Type-C」「Hyperspeed Wireless」の3系統の接続に対応する(Hyperspeed Wirelessは別売のUSBドングルが必要)。
「Bluetooth接続に対応しているなら、2.4GHzワイヤレス接続は不要では?」と思うかもしれないが、2.4GHzワイヤレス接続を使うとBluetooth接続時と比べて入力のレイテンシー(遅延)を抑制できる。ドングルを別途用意しなければならないものの、低遅延のワイヤレス接続という選択肢を用意しているのはゲーマーにとって喜ばしいことだ。
Bluetooth接続では「マルチペアリング」に対応しており、最大3台までデバイスを登録可能だ。複数のBluetoothキーボード対応デバイスを持っている場合は、素早く切り替えられる。
●省電力設計とシングルゾーンRGBライティング
Bluetoothによるワイヤレス接続時のバッテリー駆動時間は、「パワーセーブモード」を有効にすることで最大1800時間となる。このモードでは未使用時の自動減光やライティング停止、Bluetoothプロファイルの制限などで消費電力を抑える。長時間のモバイル利用を強く意識した仕様だ。
一方、「標準モード」でRGBライティングを50%で点灯させると、バッテリー駆動時間は約11時間とかなり短くなる。もっとも、バッテリー消費の多くはLEDライトによるものなので、ライティングをオフにするともう少し持ちは良くなる。照明演出を積極的に使いたい場合は有線接続のほうが安心だ。
ライティングはシングルゾーン仕様で、ノートPCのバックライトのように均一で控えめに光る。視認性を確保しつつ主張しすぎないため、作業中でも気が散りにくい。
また、「スペクトラムサイクル」などの簡易エフェクトにも対応しており、必要に応じてさりげない彩りを加えることもできる。
●「Razer Synapse」で設定できることは?
他のRazer製デバイスと同様に、Razer Joroはユーティリティーアプリ「Razer Synapse」に対応しており、キー割り当てやライティング、電源設定といった基本的なカスタマイズを行える。
搭載している機能自体は上位モデルほど多くはないが、本製品の用途を踏まえると必要十分な項目を取りそろえており、モバイル環境でも扱いやすい設定体系になっている。
「カスタマイズ」タブでは、各キーへの機能割り当てとHypershift、ゲームモード、Snap Tapなどの操作系設定がまとめられている。ゲームモードを有効にすると、プレイ中の誤操作を防ぐためにWindowsキーやCopilotキー、「Alt+Tab」「Alt+F4」といったショートカットを無効化できる。
また、Snap Tapでは左右入力の優先度を選択でき、移動操作を素早く切り替えたい場合に効果を発揮する。さらに、ファンクションレイヤーをメディアキー主体にするか、ファンクションキーにするかといった切り替えもここで行える。
なお、Hyperspeed Wirelessを使う場合は、このタブからガイドに従って行う仕組みとなっている。別売のUSBドングルを使って接続する際に必要な手順も確認可能だ。
「ライティング」タブでは、Razer Chroma RGBの輝度調整と発光パターンを設定できる。本機はシングルゾーン仕様であるため、個別キーごとの演出は行えないが、「スペクトラムサイクル」をはじめとするクイック効果には対応しており、好みに合わせてシンプルなライティングを楽しめる。
ディスプレイ消灯時やアイドル状態で自動的にライトをオフにする設定も用意されており、バッテリー駆動時の省電力に寄与する。
「電源」タブでは、バッテリー駆動時の減光タイマーやワイヤレスパワーセーブの時間を細かく調整できる。パワーセーブモードの効能は先述の通りだが、外出先で長時間使用する場面に活用したい。
電源管理の柔軟さは大きな利点といえるだろう。
●薄型と携帯性を追求したゲーミングキーボード
Razer Joroは、ゲーミングキーボードとしては“異色”の存在といえる。メカニカルスイッチのような強い打ち心地や、競技向けの高速応答を最優先する製品とは立ち位置は異なる。「極限まで薄型化して、どこでも気軽に使えるゲーミングキーボード」という明確な方向性がある。
実際に使ってみると、軽快なフィードバックと安定感あるストロークを得られることもあり、薄型キーボードとしての完成度は高いと感じる。しかし、競技レベルでゲームに取り組むユーザーであれば、深いストロークによる安定した入力や連打時の操作精度を確保しやすいRazerのメカニカル系モデルを選ぶ方が適切だ。
Razer Joroは、競技シーンを前提とするのではなく、あくまでも携帯性を最優先としつつ、ゲームプレイ時の快適さも妥協したくないユーザーのニーズに応えるモデルと考えた方がよい。
そして、本製品の最大の特徴は、薄型ながらも打ち心地を確保し、ゲーミング用途にも適応させた、現状で“ほぼ唯一”の存在である点にある。軽量/薄型でありながら、Snap TapやNキーロールオーバーなど必要十分なゲーミング機能を備え、SNSやブラウジングからゲームまでを1台でこなしたいモバイルユーザーにとって、これほど適したキーボードはない。
携帯性、静音性、軽快な打ち心地、そしてRazerデバイスらしい操作性とカスタマイズ性――その全てを薄型フォームに収めたRazer Joroは、従来のゲーミングキーボードとは異なる価値を求めるユーザーにとって確かな選択肢となるだろう。
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