
入院・通院中の20歳未満の患者やその家族の利用を対象とした滞在施設「ドナルド・マクドナルド・ハウスふちゅう」(12部屋、東京都府中市)を12月21日、プロ野球の丸山和郁(ヤクルト)、荘司康誠(楽天)の両選手が訪れ、入院・通院中の子どもやその闘病を支える家族と交流し、励ました。
ドナルド・マクドナルド・ハウス(DMH)の名称を冠した滞在施設は「ふちゅう」も含め、現在国内には12施設あり、病気の子どもらの支援を目的に1994年4月に設立された財団法人ドナルド・マクドナルド・ハウス・チャリティーズ・ジャパンが運営している。低価格で利用できるのが特長で、ふちゅうの1泊の利用料金は千円。
日本プロ野球選手会(東京都中央区)は、この財団の活動に賛同し、所属選手が毎年、1ホームランや1勝につき5万円などの各自任意の条件を設けて、活動に寄付している。2025年は45選手が寄付し、寄付額は総額1千39万8千円に上った(12月8日時点)。
この日は、リビングルームやダイニングルームで過ごしていた4家族が、ユニフォーム姿で現れた丸山選手、荘司選手と交流。乳幼児らはおもちゃを使って遊んでくれた両選手によく懐き、なかなか両選手のそばを離れようとしなかった。
リビングルームで赤ちゃんをあやす丸山和郁選手=東京都府中市のドナルド・マクドナルド・ハウスふちゅう、2025年12月21日両選手は、ふちゅうのハウスマネージャー・渡井京子さんから説明を受けながら、ベッドルームやキッチンなどを見学したほか、利用者が滞在中の日々の思いをつづった「つぶやきノート」にも目を通し、入院・通院中の子どもや家族がどんな気持ちでどういうふうに施設を利用しているかを学んだ。
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渡井さんは「ふちゅうは縁の下の力持ちです。病気に向き合っているお子さんやご家族がこの施設ではリラックスして過ごせるよう努めています」と選手に説明した。
3歳の長男が小児がんで東京都府中市の都立小児総合医療センターに入院している埼玉県の30代母親は生後7カ月の次男を抱きながら「家が遠いのでふちゅうを利用できて大変ありがたいです。次男と一緒に利用するのですが次男は施設のスタッフやボランティアにかわいがっていただき、私も元気づけられています。ふちゅうを利用する前は体がきつく、ホームページで自ら調べて、このふちゅうにたどり着きました。今日はプロ野球選手に会えてとてもうれしかったです」と話した。
子どもが「単心室症」という心臓の病気のため「ドナルド・マクドナルド・ハウスふくおか」(福岡市)を以前利用したことがある、ふちゅうでボランティアとして活動する40代女性は「当時は息子の病気を思うと気持ちが落ち込みましたが、ふくおかのスタッフの皆さんの明るさに支えられました」と語った。
ふちゅうのハウスマネージャー・渡井京子さん(右)から説明を受け、「つぶやきノート」に目を通す荘司康誠選手ふちゅうの見学を終えた両選手は「病気に向き合っている子どもたちは僕らが想像できない大変な経験をしていると思うが、負けないでほしい」(丸山選手)「僕らがプレーで活躍することで少しでもみんなを元気にしたい」(荘司選手)とエールを送った。
両選手はこの日、東京都日野市の市立旭が丘小学校グラウンドで開かれた日本プロ野球選手会主催の「野球体験会」(日本マクドナルド協賛)にも参加し、集まった地元学童野球チーム・旭が丘エンジェルスの選手や野球にあまりなじみのない幼児・児童ら約80人にキャッチボールやバッティングの手ほどきをした。
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野球体験会は日本プロ野球選手会が2020年から始めた野球振興プロジェクト。学童世代の野球・ソフトボール競技人口の減少を踏まえ、野球・ソフトボールの魅力を多くの子どもたちに伝えるのが狙いだ。開催地は公募の中から選んでいる。
今回応募して選ばれた旭が丘エンジェルス監督の真田雅樹さん(52)は「サッカーをやる子どもが増え、野球をやる子どもが少なくなっている。今日は現役プロ野球選手が来てくれるということで多くの子どもが参加してくれた。少しでも野球の楽しさを感じてもらえたら」と話した。
子どもたちとのキャッチボールを楽しむ(右から)荘司康誠、丸山和郁の両選手=東京都日野市の市立旭が丘小学校グラウンド、2025年12月21日子どもたちは、トスバッティングやベースランニングなどに挑戦。両選手は「ナイスボール」「うまいぞ」などと優しく何度も声をかけ、子どもたちのやる気を巧みに引き出していた。2人でキャッチボールの手本を見せると、球の勢い、軌道の美しさに子どもたちはびっくりし、歓声が起こった。
ベースランニングで子どもたちと一緒に走り、快い汗を流した丸山選手は「最近はメジャーリーグが注目されがちですが、NPB(日本野球機構)の選手として子どもたちに夢を与えられるよう頑張っていきたい」と述べた。子どもたちの伸び伸びとした元気な姿を目の当たりにした荘司選手は「子どもたちのうまさにびっくりした。みんなとても元気で今日は本当に楽しかった」と喜んでいた。
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