
共働きで子どもを育てていて、朝から怒鳴ってしまう自分に自己嫌悪……そんなママは少なくありません。今回紹介するのは、3人の子どもを抱える共働きママが体験した“朝の修羅場”です。
投稿者さんには、小学生1人と保育園児2人の3人の子どもがいます。投稿者さんは、朝6時に起きて朝食と旦那さんの弁当作り、夕食の事前準備、子どもたちの登園バッグ準備、お着替え、髪の毛のアレンジを担当。一方の旦那さんは7時に起床、洗濯物干し、布団片付け、そして通勤までに子どもたちの準備が間に合えば保育園へ送ります。その時間的なプレッシャーがすべて投稿者さんにのしかかっていました。
『今日は子どもたちが全然動かず、私が朝から怒鳴りまくってなんとか登園。するとパパから後で「あんなに朝から怒る必要ある? 怒っても結局、泣いて不機嫌になるだけだから、あまり意味がないんじゃない? 自分が早く起きて手伝えばいいなら早く起きるから、言ってください」とLINEが』「怒りたくて怒っているわけではない。夜はパパも遅く、ほぼワンオペ育児、それは怒りもする」と投稿者さんは返信しました。自分の限界を感じながらも毎朝戦っているのに、「言ってくれたら手伝う」という他人事のような言葉に、心の奥で何かが崩れたようです。
「言ってくれたら手伝う」に潜む問題
ママたちが違和感を覚えたのは、投稿者さんの旦那さんが発した「言ってくれたら手伝う」という一言です。
『旦那さんは自分でやらないくせに、何その偉そうな蚊帳の外の意見。手伝うじゃなくてアナタはメインだから! 言ってくださいじゃなくて率先してやれ』
『気が付いたのなら、ぜひ起きてやってください』
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『のんびり朝シャワーをして髪をセットして自分のことだけやっている旦那に、たまには子どもを着替えさせるとかしてほしい』「怒りすぎている私が変なのかな?」と悩んでいた投稿者さんも、コメントを読むうちに少しずつ気持ちが軽くなった様子。「怒りたくて怒っているわけではない」「お手伝いは祖父母のポジション」という意見に勇気づけられ、「やっぱり30分早く起きてもらおうかな」と前向きな気持ちに。夫婦間の“見えない分担”の偏りに気づき、きちんと伝えることこそが第一歩かもしれません。
なぜパパがやると上手くいく?
興味深いのは、「パパがやると子どもが素直に動く」という声です。珍しさでテンションが上がり、支度がスムーズになるのだとか。ただし、パパ効果は長続きしないかも……。
『そこまで言うなら、朝、子どもたちが起きてくる前に自分の準備を全部終えて、子どもたちの準備を半分担当してと言ってみよう。1週間経ったくらいで投稿者さん以上にキレると思うわ』
『パパ指導で2、3日上手くいったら「これで軌道に乗ったよな?」とママに渡す。でもママに戻されたらまた子どもたちの機嫌が悪くなって、朝から叱る日々に戻る。だから「やっぱりパパだと上手くいくわ。毎日パパにやって貰おうっと!」とおだてて、役割分担をすれば?』最初は、パパがやると子どももスムーズに動きます。でも数日で元通り。そのときにはじめて、ママが毎朝怒っていた理由がわかるのでしょう。そして“日常の大変さ”を体感できる。ママたちのコメントからわかることは、「早く起きて、子どもの準備を半分担当して」と頼んでみると、1週間も経たないうちにパパが“朝の混乱”を身をもって理解するケースがあるということです。「怒る必要なんてない」と言っていたパパが、「どうしても間に合わない!」と焦る……ママにとっては、少し溜飲が下がる瞬間かもしれません。
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「パパの仕事」という発想に切り替える
投稿者さんも最終的に、「6時半に起きてほしい」「子どもが起きる前に洗濯を終わらせてほしい」と、具体的に伝えました。すると旦那さんは「了解」と返答したよう。ようやく、少し前に進めそうな気配が見えてきました。ただ、それでも残る違和感……「お願いしたら、やって“あげる”みたいな感じになるのがイヤ」。その感覚に共感する声も寄せられました。
『「手伝う」ではなくてアンタ(旦那さん)が主体でやれ。毎日のことなんだから、“協力”じゃなくて“分担”なんだよ』
『「朝は分担しているけれど、夜はワンオペでトータルで私に余裕がないから」と言って、根本的な見直しを要求した方がイライラしないと思う』
『そこは子どもの支度を丸投げできるチャンスととらえよう。「じゃあ早起きして、子どもの支度は全部お願いします」でいいよ』
『ここは「急がせる必要がなければ怒らなくて済むんだから、パパは6時半に起きて子どもの準備はやってね。パパの仕事として責任もってね」と言えばいいと思う』旦那さんを“手伝わせる”のではなく、“家族の一員として育てる”という発想です。「じゃあ明日からお願いしますね」と明るく言って、家事育児を少しずつ任せていく。そうすることで、ママが背負い続けていた“見えない負担”がようやく軽くなっていくのでしょう。
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家事分担はお互いに「気づく」ことがスタートライン
完璧に分担できなくても、お互いの大変さに気づくことは何より大切なのではないでしょうか。朝の怒号は、家庭のなかで見落とされていた不公平を浮き彫りにするサインでもあります。怒鳴りたくて怒鳴っているママはいません。ただ「自分がやらなければ」と思い責任を背負いすぎているだけ。ひとりで抱え込まなくても済むように、夫婦で“朝の役割”を見直すことが必要なのかもしれません。朝の準備は、家族全員のチームプレーです。「言ってくれたら手伝う」から、「言われなくても動く」へ……。そのような意識の変化こそが、家庭を少しずつ穏やかにしていく第一歩なのではないでしょうか。
文・岡さきの 編集・佐藤さとな イラスト・猫田カヨ

