
「社会人になってから本格的に貯蓄を始め、現在の資産は投資の含み益を合わせて2000万円になりました」
そう話すのは、YouTubeチャンネル「節約お姉さんういうい」で貯金や節約術を発信するういういさん。
ブラック企業に勤め手取り20万円ボーナスなし
現在27歳の彼女は驚くほど短期間で大きな財を成しているだけに、高収入の仕事に就いているか、はたまた凄腕の投資家かと思いきや、以前は手取り20万円の工場勤務という、ごく一般的な生活を送っていたのだから夢がある。
「社会人1年目のころは、手取りが20万円でボーナスはなし。年収は300万円で休日出勤もあるという、いわゆるブラック企業のような工場に勤めていました(笑)。働いてお金を得る大変さを痛感し、これをムダ遣いしたくない!と強く思ったんです。
学生時代はクレーンゲームや宝くじなどにお金を使っていましたが、社会人になってからは節約を意識し、1年で160万円を貯金しました。ひとり暮らしでも、節約術を駆使すればお金を貯められたんです」(ういういさん、以下同)
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つまり20万円の給料のうち、半分以上を貯蓄に回していたことに。何をすればこれほど切り詰められるのか。
「具体的な節約術はたくさんありますが、特に重要で実践しやすい15個をまとめました。でも最初のころは、たった数円の差のためにスーパーを何軒もはしごして疲弊したり、ほとんどご飯を食べなかったりと、今考えれば無謀なことをしていたんです」
そんな“ドケチ節約術”では効果は少ないと考えがちだが、節約マインドを育む上では重要なんだとか。
「100円をムダにするのは、100円をごみ箱に捨てるのと同じ。その積み重ねがやがて大きな支出になるんです。油を使わずに調理する、袋を再利用する、チューブ状の調味料や化粧品はハサミでカットして最後まで使い切るなど、細かな“ドケチ術”も習慣にしています」
節約への意識が高い人からすれば、そこまでとっぴなものではないかもしれないが、その“小さな努力をコツコツ続けること”がいかに重要なのかうかがえる。
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お金が増えても生活レベルを上げない
順調に資産が増え、会社員を辞めたういういさんだが、今でも生活レベルは変えていないという。
「自炊は毎日しますし、コンビニにも行かないです。収入が上がったから、ボーナスが出たからご褒美を買おうではなく、同じ生活を続けることが何よりも重要なんです。1か月の生活費は今でも10万円ほど。支出が多い月でも15万円までに抑えています。
内訳は家賃が4万円、食費は1万円、水道光熱費は6000円、交際費は1万円ほど。無料でWi-Fiが使える物件なのと、携帯は格安SIMを使っているので、通信費は200〜500円で済んでいます。美容費は月によりますが、5000〜2万円。
歯のホワイトニングをしたり、2000円の歯磨き粉を買うなど、自分が本当に必要だと思うものにはお金をかけています。自己投資にも重きを置いて書籍もよく買います。ただ、メルカリで安く手に入れるなど、ムダのないよう心がけています」
働き始めてわずか5年で2000万円の資産を築いたのは、3年前から始めた投資も大きい。ういういさんは少額投資非課税制度「NISA」と個人型確定拠出年金「iDeCo」を使っている。
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NISAは投資で得た利益に税金がかからない制度で、iDeCoは税制優遇を受けながら自分で年金を貯める制度だ。
「25歳からNISAとiDeCoを始めて、その年には貯金も合わせて資産1000万円を達成。既に投資だけで400万円以上の利益を生み出しています。現在も毎月NISAに30万円とiDeCoに2万円の投資を続けていますが、貯金だけでは到底この資産を達成できなかったなと」
ういういさんのチャンネルの視聴者は40代〜60代の女性も多く、貯金はしていても投資は何となく怖いし、わからないという声も多いそう。
「確かに投資にリスクはありますが、銀行にお金を預けても、円安が進めば預金の価値は目減りしていくだけ。世界中の株式に分散投資する“オールカントリー”や、アメリカを代表する500社の企業にまとめて投資する“S&P500”などの投資信託なら、リスクは分散できます」
さらに分配金が出ないタイプの投資信託なら、利益は自動的にファンドの元本に組み込まれて再投資されるので、複利効果が最大限に発揮されるためおすすめだそう。
「資産形成は、節約・貯金・投資の3本柱のどれが欠けてもうまくいきません。家計を見直して支出を削り、現金で貯金した上で、投資という形でお金にも働いてもらうやり方を、私は提案しています」
2000万円を貯めるためにやめたこと
ういういさんは節約する中で「これはやめよう」と思ったことがいくつかある。
「ポイントは5つ。まず“他責思考”をやめること。環境は変えられないけれど、自分の行動は変えられます。私は会社員時代、資格取得で手当を得たり、副業や節税を学んだり、とにかく動きました。
2つ目は八方美人をやめること。気乗りしない飲み会は時間もお金も浪費です。一方で、自分にとってプラスになる関係まで閉ざす必要はありません。3つ目として、交際費を気にして人付き合いを避けすぎないこと。
人とのつながりは思わぬチャンスや情報を運んでくれます。惰性の付き合いは削る、心が動く縁は残すという線引きが大切だということです。4つ目は安物買いをしないこと。
イヤホンで失敗してから、消耗品以外は長く使える質の良いものを選ぶようにしました。結果的に節約になります。最後は、自分に厳しすぎないこと。節約の手を緩める日や趣味のために自由にお金を使う日があってもいいんです」
資産を形成する上で、いつまでに、何のために、いくら貯めるかを具体的に数値化することが大事だと強調する。
「自分の目標が明確になれば、外食の誘惑に負けたり、いらないものを買ってしまうことも減るはずです。私の場合4000万円を貯めるのが第1目標で、30歳までに5000万円を貯めたいなと思っています」
そこまでくれば毎月得た収入を全部使ったとしても、投資信託の運用だけで資産は増えていく計算だとか。
「完璧である必要はありません。続けられる形でコツコツ積めば、貯まる未来はちゃんと手に入ります」
ういうい式節約術15選
(1)家賃を安く抑える
家賃は毎月の支出の中でも一番大きいので、いかに抑えるかが重要
(2)ふるさと納税
好きな自治体に寄付を行うことで、寄付金額から2000円を差し引いた全額が、翌年の所得税と住民税から控除される制度。自治体から返礼品を受け取れるのが最大のメリットで、ういういさんはお米をゲットしているそう
(3)自炊の型を決める
朝はヨーグルトとフルーツ、昼は白ご飯と納豆に家庭菜園のきゅうりなど、自分なりの型をつくることで余計なものを買わなくなる。自炊を続けるハードルを下げ、外食に頼らずに済む
(4)家計簿をつける
何にお金を使っているかを知ることで余計な支出を反省し、貯金するクセがつく
(5)ネットショッピングはモッピー経由で
“ポイ活アプリ”モッピーを経由してポイントを貯めて、楽天ポイントやVポイントなどに交換
(6)格安SIM
大手キャリアから格安SIMに替えるだけで月5000円、年間で約6万円の削減に
(7)セルフ脱毛
サロンでは20万〜30万円ほどかかるが、約7000円の家庭用脱毛器で代用。隙間時間にできるので時間の有効活用にもなる
(8)洋服はシーイン、グレイル、古着を利用
特にシーインは子ども服やメンズなどラインアップが幅広いのもポイント。古着に抵抗がなければ、メルカリも◎
(9)自転車に乗る
車を持つとガソリン代や車検代、駐車場代などで年間30万円以上はかかるため、必要なときはレンタカーにするのも手だ
(10)クレジットカード決済
買い物で貯めたポイントを食費に回すのがおすすめ
(11)“ウエル活”で日用品、美容品をお得にゲット
ウエルシアグループの対象店舗では、毎月20日限定でWAON POINTを通常の1.5倍の価値で利用できる。つまり実質33%引きで買い物ができるので、化粧品など値下がりしないものを優先的に購入するのがおすすめ
(12)マイボトルを持つ
毎日150円のペットボトルを1本買っているなら、年間で約5万円の節約になることも
(13)お得なキャンペーンを使う
新規限定クーポンやキャンペーンを使い倒してお得に必需品をゲット
(14)自分で手直しをする
壊れたら新しいものを買うのではなく、自分で修理する癖をつけること。手袋の穴あきを縫ったり、腕時計のベルトを直したりなど、できることは多い
(15)100円均一を使う
欲しいものがあったら、まず100円均一にないか探してみる。洗剤は100円均一のクエン酸やセスキで代用できるほか、家庭菜園や収納グッズなど、ほとんどのものがそろう
教えてくれたのは……ういういさん●登録者数12万人のYouTube「節約お姉さんういうい」を運営する27歳。月収20万円の工場勤務から資産2000万円を築いた、節約術や貯金術を公開している。
取材・文/植田沙羅
