命に関わる危険性も……急増する「ナッツアレルギー」のリスク・特に注意すべきクルミとカシューナッツ

74

2026年01月13日 20:50  All About

  • チェックする
  • つぶやく
  • 日記を書く

All About

【小児科医が解説】健康によいと言われるナッツですが、近年「ナッツアレルギー」が急増しています。アレルギーの原因食物では、卵に次ぐ2位です。特にクルミやカシューナッツは注意が必要です。最新データをもとに、誤解しやすいポイントと家庭でできる対策法を解説します。(※画像:amanaimages)
増加するナッツアレルギー(※筆者作成 ⒸAkitani Metal)

健康志向の高まりもあり、近年ナッツはお菓子やパン、サラダのトッピングなど、さまざまな食品に使われています。でも、少し待ってください。そのナッツ、本当に大丈夫でしょうか?

かつて食物アレルギーと言えば、「鶏卵」「牛乳」「小麦」がトップ3というのが常識でした。しかし、この数年でその常識が大きく変わってきています。

特に今、急増しているのが「ナッツアレルギー」です。最新の調査(令和6年報告)では、ついに「木の実類」が原因食物の第2位にまで増加しています。

もはや誰にとっても他人事ではない「ナッツアレルギー」について、最新情報を分かりやすく解説します。

15年で約7倍に! 急増する「ナッツアレルギー」……多くは幼児期から学童期に発症

「本当にそんなに増えているの?」と思う方もいらっしゃるかもしれませんね。

令和6年の「食物アレルギーに関する食品表示に関する調査研究事業報告書」によると、鶏卵や牛乳が少しずつ減少傾向にある一方で、「ナッツ類」だけが急速に増えています。2011年にはわずか2.3%だったのが、2023年には24.6%にまで急増しているのです。

2023年時点での原因食物トップ3は、以下の通りです。

・ 鶏卵(26.7%)
・ ナッツ類(24.6%)
・ 牛乳(13.4%)

アレルギー専門家の調査でも、ナッツ類は過去15年間で約7倍に増加していると報告されています。特に、幼児期から学童期にかけて発症するケースが多いのが特徴です。
即時型食物即時型アレルギーの年齢別原因食物


「クルミ」「カシューナッツ」はアナフィラキシーショックによる命の危険も

「ナッツ類」と一口に言っても種類はさまざまですが、中でも特に注意が必要なのが「クルミ」と「カシューナッツ」です。

同資料の「ナッツ類の内訳」を見ると、クルミとカシューナッツの増加が突出していることが分かります。別の2025年の調査でも、クルミはアレルギー原因全体の15.2%を占め、カシューナッツも4.6%と報告されています。

さらに深刻なのは、ナッツ類、特にクルミとカシューナッツが、「アナフィラキシーショック」という重篤なアレルギー症状を引き起こす原因の上位に入っている点です。命に関わる危険性があるため、十分な注意が必要です。

「全て避ける」は間違い? ナッツ類のよくある誤解と正しい向き合い方

ここまで聞くと、普段食べているナッツ類が、全て心配になってしまうかもしれません。特に何らかのナッツ類のアレルギーと診断された人は、怖くてナッツ類全般を避けることもあります。

ここで、よくある2つの誤解について、整理してみましょう。

まず、「ナッツのように見えてナッツではないもの」がある、という点です。例えば「ピーナッツ(落花生)」は名前に「ナッツ」と付いていますが、クルミやアーモンドなどの「木の実類」とは、まったく別のグループです。

・木の実類:クルミ、カシューナッツ、アーモンド、マカダミアナッツなど
・豆類:ピーナッツ(落花生)、大豆、えんどう豆など

ピーナッツは植物学的には「豆類」に分類されます。そのため、「ピーナッツアレルギーがあるから、ナッツ類のクルミやアーモンドもダメ」とは言えません。もちろん、両方のアレルギーを持っている方もいますが、別物として考えるのが基本です。

そしてもう1つのよくある誤解が「1種類のナッツがダメなら、他のナッツも全てダメ」というものです。例えば「クルミアレルギー」と診断されたからと言って、他の木の実類も全て食べられないわけではありません。

確かに、アレルギーには「交差反応性」と言って、アレルゲンの構造が似ているために別の食品にも反応する現象があります。ナッツ類で特に注意が必要な組み合わせは、以下の2つです。

1. クルミ(クルミ科)⇔ペカンナッツ(クルミ科)
クルミアレルギーの人は、同じ仲間のペカンナッツにもアレルギー反応を起こす可能性が高いです。

2. カシューナッツ(ウルシ科)⇔ピスタチオ(ウルシ科)
カシューナッツアレルギーの人は、同じ仲間のピスタチオにも反応しやすいことが分かっています。

専門家の報告では、クルミアレルギーの75%がペカンナッツで、カシューナッツアレルギーの83%がピスタチオで症状が誘発されたというデータがあります。

一方で、例えばクルミアレルギーだからと言って、カシューナッツやアーモンドまで自己判断で除去する必要はありません。不必要な除去は、かえって食生活の幅を狭めてしまいます。

小児科医から:ナッツアレルギーを疑った場合、家庭でできること

ナッツ類は、お菓子やパンだけでなく、ドレッシングやカレーのルー、調味料など、目に見えにくい形で使われていることも少なくありません。ペースト状や粉末になっていると、気付かずに口にしてしまう危険性もあります。だからこそ、一番大切なのは「食品表示をしっかり確認する」ことです。

アレルギー表示には、表示が義務付けられている「特定原材料」と、表示が推奨されている「特定原材料に準ずるもの」があります。

ナッツ類の表示ルール(2025年時点)は、以下の通りです。

・義務表示(特定原材料):クルミ(※カシューナッツも義務表示化に向けた検討が進められています)
・推奨表示(特定原材料に準ずるもの):カシューナッツ、アーモンド、マカダミアナッツなど

「まさかこんなものに」と思うような食品に含まれていることもあります。買い物の際には、原材料表示をチェックする習慣をぜひつけてください。

そしてもし、「ナッツを食べた後に口の中がイガイガする」「じんましんが出た」など、気になる症状があれば、自己判断せずに必ず専門医(アレルギー科など)に相談しましょう。血液検査や、専門医のもとで行う「経口負荷試験」によって、どのナッツにアレルギーがあるのかを詳しく調べることができます。

■参考文献
1.佐藤さくら.ナッツ類の臨床的な交差反応性.アレルギー 2023;72:1205-1210.
https://doi.org/10.15036/arerugi.72.1205

2.「食物アレルギーに関連する食品表示に関する調査研究事業報告書」.
https://www.mhlw.go.jp/content/10905000/001118342.pdf

秋谷 進プロフィール

小児神経学・児童精神科を専門とする小児科医・救急救命士。プライベートでは4児の父。子どもの心と脳に寄り添う豊富な臨床経験を活かし、幅広い医療情報を発信中。
(文:秋谷 進(医師))

このニュースに関するつぶやき

  • 食べ過ぎてまうのも問題
    • イイネ!3
    • コメント 0件

つぶやき一覧へ(49件)

ランキングライフスタイル

前日のランキングへ

ニュース設定