「返信不要」と深夜に部下へチャット……これってハラスメントなんですか?

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2026年01月14日 08:20  ITmedia ビジネスオンライン

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深夜にチャット送信、部下からはストレスかもしれない

●Q&A:これってハラスメント?


【画像】通知が来るだけでストレスに?


職場で起こりがちなトラブルを基に、ハラスメント問題に詳しい佐藤みのり弁護士が詳しく解説します。


Q: IT企業でチームリーダーをしている私(40代)は、仕事熱心なあまり、深夜や週末にふと思いついたアイデアや、翌週の確認事項をチャットツール(SlackやLINE)で部下に送る癖があります。


 私なりに気を使って、文末には必ず「返信は休み明けでいいよ」「忘れないためのメモなのでスルーして」と付け加えています。


 しかし、ある日部下から「深夜や休日に通知が来ること自体が苦痛で、動悸がする。プライベートを侵害されているので、通知を送らないでほしい。これはパワハラではないか」と抗議を受けてしまいました。


 私は「見るか見ないかは部下の自由だし、返信を強要していないのだから自由のはずだ。これでは管理職として必要な指示も出せない」と困惑しています。


 そこでご質問です。


 「返信不要」と断っていても、休日や深夜にチャットを送る行為は、法的に「労働時間」「待機時間」とみなされる可能性がありますか? 


 また「通知が苦痛」という部下の訴えを無視して送り続けた場合、パワハラや安全配慮義務違反に問われるリスクはありますか?


●佐藤弁護士の回答は?


A: 労働基準法上の労働時間とは「労働者が使用者の指揮命令下におかれている時間」です。具体的には、使用者の明示または黙示の指示により、業務に従事したり、参加等が事実上強制されたりしている時間が、労働時間にあたる可能性があります。


 また、待機時間のように、使用者の指示があれば直ちに業務に従事しなければならい場合、労働時間にあたると考えられています。


 労働時間にあたるかどうかは、就業規則や雇用契約書の記載にかかわらず、客観的に見て、労働者の行為が使用者から義務付けられたものと言えるかなどにより、ケースバイケースで判断されます。


 ご質問のケースでは、深夜や週末に、仕事上のアイデアや確認事項をチャットツールで部下に送っているということですが、文末に「返信は休み明けでいいよ」「忘れないためのメモなのでスルーして」などと付け加えているとのことであり、部下はメッセージを受信しただけで、深夜や週末に、使用者の指揮命令下で業務に従事しなければならない状況ではないと思われます。


 また、上司からのチャットを受信したら、直ちに業務に従事できるよう待機している状況でもありません。したがって、休日や深夜にチャットを送ったとしても、それだけでは労働時間にはあたらないと考えられます。


 しかし、部下は「深夜や休日に通知が来ること自体が苦痛」と訴えています。この主張は、最近、注目されるようになっている「つながらない権利」に関する主張と考えられます。


 「つながらない権利」とは、労働時間外に、業務上のメールや電話への対応を拒否できる権利を意味します。労働者の心身の健康を維持し、ワークライフバランスを実現するために重要なものですが、日本では、権利として認めた法律はなく、具体的な施策はまだ講じられていません。


 1月、有識者で構成された労働基準関係法制研究会が、労働基準法改正へ向け、報告書を公開しました。その中で「つながらない権利」について、「勤務時間外にどのような連絡までが許容でき、どのようなものを拒否できるかといった社内ルールを労使で検討していくことが必要」として、ガイドラインの策定を推奨するとしています。


 パワハラとは「職場において行われる(1)優越的な関係を背景とした言動であって、(2)業務上必要かつ相当な範囲を超えたものにより、(3)労働者の就業環境が害されるものであり、(1)から(3)のすべての要素を満たすもの」とされています。


 そして(2)業務上の必要性や相当性については、問題となった言動の目的、経緯、状況、態様、頻度、継続性、言われた側の従業員の属性や心身の状況、行為者との関係性などを総合的に考慮して判断されます。


 仕事上のアイデアや確認事項は、自分でメモを残しておき、勤務時間内に部下に共有することで足りるとも考えられ、一般に、深夜や休日に送信する業務上の必要性は小さいといえるでしょう。


●パワハラと認められる可能性が高まる行為とは


 一方、受信した部下は「深夜や休日に通知が来ること自体が苦痛で、動悸がする」と言っており、チャットの受信が大きな精神的負担になっている可能性があります。深夜や休日にチャットを送ったからと言って、直ちに違法なパワハラになるわけではないものの、業務上の必要性や相当性の観点から、送信を控えた方が望ましいでしょう。


 また例えば、


・言葉では「返信は休み明けでいい」と言いながら、休み明け直後に、チャットで送ったアイデアについて具体的な意見を求め、答えられないと厳しく指導することを繰り返している


・「忘れないためのメモなのでスルーして」と言いながら、後から「チャットで送ったよね、なぜ予定が頭に入っていないのか」などと責める


 このような行為については、違法なパワハラと認められる可能性が高まります。


 さらに、労働契約法4条は「使用者は、労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をするものとする」と、使用者の労働者に対する安全配慮義務を定めています。


 安全配慮義務の中には、労働者のメンタルヘルスへの配慮も当然含まれると解釈されており「深夜や休日に通知が来ること自体が苦痛で、動悸がする」と部下が訴えているにもかかわらず、無視して、深夜や休日にチャットを送り続けるとすると、安全配慮義務の観点からも問題があるでしょう。


 違法なパワハラや安全配慮義務違反と評価されれば、使用者が損害賠償責任を負うことにもなりかねません。業務上の連絡は、受信する側の気持ちにも配慮しながら、業務上の必要性が認められる方法で行うようにしましょう。


※当記事の質問は編集部が作成した架空のケースを想定しています。



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  • 相手が明確にいやだと意思表示しているのに「これってハラスメント?」って疑問に思うようなレベルなんか。
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