AI規制“乱立”時代に突入 デロイトは規制調査自動化エージェントで対応

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2026年01月16日 10:40  ITmediaエンタープライズ

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 生成AIや機械学習(ML)の社会実装が進展するにつれ、各国でAIに関する法令やガイドラインの整備が進んでいる。


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 欧州連合(EU)ではAIシステムのリスク区分に基づき義務を定めるAI規制法(EU AI Act)が成立し、段階的な施行が進んでいる。米国では連邦レベルの包括法は存在しないものの、州や市単位で雇用分野などを対象とした規制が導入されている。


 日本でもAIの利用とリスク管理を制度面から支える法的枠組みが整備され、事業者には順守すべき指針や義務への対応が求められている。規制は技術進展に応じて更新されやすく、内容も分野別に細分化される傾向にあり、企業が最新情報を継続的に把握する難易度は高まっている。


 このような状況を受けて、デロイト トーマツはAIサービスに関連する国内外の規制調査を自動化するAIエージェントを開発し、企業用のAI規制対応支援サービスを強化したと発表した。AI活用が広がる中で複雑さを増す規制環境に対し、網羅的な情報収集と専門家の知見を組み込むことで、効率性と精度の両立を図る。


●自動調査エージェントがAIガバナンス構築を支援


 デロイト トーマツが今回開発したAIエージェントは、企業のAI技術や関連サービスについて、関係する法令やガイドラインを自動で収集・分析する仕組みだ。


 インターネット上の数百規模の規制情報を対象とし、順守すべき事項を特定したり、対応策を提示したりする。従来提供してきたAIガバナンスに関するアドバイザリー業務で蓄積した知見をアルゴリズムに反映させ、調査に要する時間を短縮した点が特徴だ。自動車や医療、IT、製造など幅広い産業分野での利用を想定している。


 同エージェントの利用に際しては、まず対象となるAIサービスの機能や用途を整理する。デロイト トーマツが用意した質問票に沿って技術面や利用場面を洗い出すことで、関連規制を特定しやすくする。その後、エージェントがサービスの機能ごとに規制情報を検索し、対応が必要な事項と具体策を抽出する。調査結果は正確性や網羅性の観点からレビューされ、最終段階でAIガバナンス分野の専門家が評価・修正する。


 このAIエージェントは、自律的に規制情報の取得と検証を繰り返すプロセスを100回以上実行し、対象サービスの機能や提供地域を考慮して整理する。サービスと関連性の高い規制を抽出し、重複する情報を整理することで、実務に利用可能なレポートを短時間で作成することを目指す。デロイト トーマツによれば、約30分で得られる調査結果は、専門家が従来実施してきた評価と比較して「約8割相当の精度」を実現しているという。専門家のフィードバックを学習データとして活用することで、今後も精度向上を図る。


 人材採用でのAIの利用を想定した例では、候補者の評価や順位付けをする機能について、欧州のAI規制法や米国の地方条例に基づく義務内容、法令根拠、対応策の概要が整理された。どの機能が高リスクに該当するか、事前通知や監査が必要かといった点を一覧で把握できる。


 デロイト トーマツは本サービスを起点に、AIリスク評価、ガバナンスポリシーの策定、運用体制の構築、人材育成支援など、AIガバナンス全般に関わる支援を拡充する方針を示した。規制環境の変化に対応しつつAIを活用する企業にとって、実務負担の軽減と対応品質の確保が課題となる中、専門家の知見を組み込んだ自動化の試みとして注目される。



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