
総務省の情報通信行政・郵政行政審議会、電気通信事業部会、市場検証委員会が1月14日に実施した「利用者視点を踏まえたモバイル市場の検証に関する専門委員会(第2回)」にて、携帯キャリアの短期解約や、その対策について議論された。
この専門委員会は、電気通信事業法第27条3の規制の在り方や、規制の効果を検証するために設置されたもの。2025年12月12日に開催した第1回の委員会では、キャッシュバック目当てにMNPを繰り返す「ホッピング」が問題点として挙がった。
通信契約の継続を条件としないSIMのみ契約については、2万2000円までの利益提供が可能だ。実際、大手3キャリアを中心に、端末の購入を伴わないSIMのみ契約に対して、最大2万2000円のキャッシュバックやポイント還元を行っている。この特典は新規契約よりもMNPが優遇され、新規契約だと還元金額が1万円〜1万5000円程度に下げられる傾向にある。
そして、電気通信事業法第27条3では、通信の継続利用を条件とした利益提供が禁止されているため、ユーザーはキャリアを契約するだけで還元を受けられる。こうした施策の影響で、ホッピング行為をするユーザーがのみが利益を受けるという不公平な状況が生じている。また、キャリアにとっても、短期解約はコスト負担が増えて業績悪化につながるデメリットがある。
|
|
|
|
ドコモ、KDDI、ソフトバンク、楽天モバイルの4キャリアは、ホッピング行為について対策を講じつつも、規制による対策も必要である旨を訴えている。
ドコモはホッピング対策について、最大2万2000円還元の施策適用の制限については「構成員限り」として開示していないが、その他の対策として、2025年3月以降、利用実態のない回線または1年以内の解約については1100円の解約料を請求している。
また、料金プラン「irumo」は、0.5GBのデータ容量なら月額550円と安価に利用できることから、MNPの踏み台にされていたが、irumoは2025年6月から新規受付を停止している。irumoの後継プランとして提供している「ドコモ mini」は、割引なしの最安値が4GBで月額2750円となっている。
ただ、上記の対策をもってしても、短期解約によるユーザー負担額は最大2万2000円のキャッシュバック金額よりも下回るため、「抑止力が足りない」とドコモはみる。解約料の1100円と、(1カ月で解約した場合に)ドコモ miniの2750円を合わせた金額は3850円。2万2000円から引くと、ユーザーは約1万6000円相当の利益を得ることになる。ドコモを解約した後に他3キャリアへのMNPと解約を繰り返すと、単純計算で、ユーザーはその3倍の利益を得ることになる。
そこでドコモは、「規制見直しによる対処も検討いただきたい」と要望を述べている。見直し案として、利益提供額を契約事務手数料相当分の4000〜5000円程度に下げる、利益提供の条件に新規契約からの継続利用を一部許容することを挙げている。
|
|
|
|
KDDIは、auとUQ mobileにて、短期解約に対しては990円の解約手数料を徴収しており、ホッピングについては「課題の抽出と早急な対策が必要」だとしている。現時点で同社は、1人1回の利益提供にするといった対策を取っているが、事業者の対策だけでは限界があるとする。
そこで、電気通信事業法の規制を緩和し、契約の継続を条件として利益提供可能にすることを提案する。例えば、1万2000円相当をキャッシュバックする場合、以下の条件で実施する。
・12カ月間、1000円ずつに分けて還元する
・12カ月経過後に1万2000円相当を還元する
・条件とする期間(12カ月)内に解約した場合、還元額の一部を請求する
|
|
|
|
また、現状の解約金の上限1100円は、ユーザーアンケートの結果を根拠としているが、消費者保護ルールとの整合性も考慮して、過度な規律になっていないか、改めて議論が必要との考えも示している。
ソフトバンクは、LINEMOの当月解約について、990円の解除料を請求している。ホッピングの対策については、契約継続を利益提供の条件にすること、短期解約について違約金を設けること、利益提供額を減額することを提言する。違約金については、上限の1100円では「効果無し」との見解を示している。
楽天モバイルは、短期解約者に対して1078円の解約料を請求している。ホッピングは販売現場の負担感が大きく、コスト負担も発生していることから、短期解約した場合は、利益提供を不可にしてほしいと訴えている。例えば、6カ月程度などの一定期間がたってから還元する、分割して還元するといったもので、KDDIと同様のアイデアを示している。
4キャリアの主張をまとめると、
1. 契約継続を条件とする利益提供の禁止を緩和してほしい
2. 解約金の上限1100円を撤廃してほしい
の2点に集約される。
ただ、いずれの規制緩和も電気通信事業法第27条3で根絶を目指す「行きすぎた囲い込み」に該当する恐れがあるため、全面的に認めることは難しいだろう。1点目については利益提供の期間や金額を制限するなど、条件付きで緩和できるかどうかが、今後の議論の焦点になりそうだ。
|
|
|
|
|
|
|
|
Copyright(C) 2026 ITmedia Inc. All rights reserved. 記事・写真の無断転載を禁じます。
掲載情報の著作権は提供元企業に帰属します。

ChatGPT 共通テストで9科目満点(写真:TBS NEWS DIG)86

御守の転売 神田明神が注意喚起(写真:ITmedia NEWS)107