奈良県警奈良西署を出る山上徹也被告(右)=2022年7月10日、奈良市 奈良市で2022年、参院選の応援演説中だった安倍晋三元首相を手製銃で殺害したとして、殺人罪などに問われた山上徹也被告(45)の裁判員裁判の判決が21日、奈良地裁(田中伸一裁判長)である。検察側は無期懲役を求刑していた。
被告は殺人罪を認めており、刑の重さが最大の争点だった。弁護側は、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)を巡る不遇な生い立ちが「宗教的虐待」に当たるなどとして、最長でも懲役20年にとどめるべきだと主張。被告が作製した手製銃は銃刀法上の「拳銃等」には該当しないとも訴えていた。
昨年12月に行われた論告で、検察側は「わが国の戦後史に前例を見ない、極めて重大な犯行」と非難。生い立ちが犯行の意思決定に与えた影響は限定的だとし、「特定の団体にダメージを与えるために暴力的手段に訴えることは法治国家において絶対に許されず、刑事責任を軽減すべきではない」と述べた。
一方、弁護側は最終弁論で、安倍氏が教団関連団体に送ったビデオメッセージを視聴した被告が「強烈な危機感と絶望感」を抱いたと強調。「自分の将来を失った者の絶望の果ての犯行だ」と反論した。
昨年10月から約3カ月に及んだ公判では、被告の母親や妹が弁護側証人として出廷。被告人質問は5回にわたって行われ、被告は「(教団に)一矢報いるのが自分の人生の意味だと思った」と語り、安倍氏を狙ったことは「間違いだった」とも述べた。