インドの即時配達大手「ゼプト」配達員用のバッグ。「10分配達」をうたっている=24日、ニューデリー 【ニューデリー時事】インドは経済発展に伴う中間層の拡大で宅配需要が伸びている。各社が注文から配達までの速さを競う中、政府はこのほど、配達員の安全を理由に「10分配達」をうたう広告やブランド戦略に待ったをかけた。
ドイツの調査会社スタティスタによると、インドにおける「クイックコマース」と呼ばれる即時配達の市場規模は2026年に約70億ドル(約1兆900億円)に達する見込み。30年までに約110億ドルに拡大すると予測されている。
急成長を遂げたのが21年創業で生鮮品や日用品といった幅広い品物の宅配を手掛ける「ゼプト」。23年に非上場で企業価値10億ドル以上の「ユニコーン」企業となった。他にフードデリバリー大手「ゾマト」と同じグループの「ブリンキット」などがしのぎを削る。
半面、こうしたプラットフォーマーからアプリを通じて配達を請け負う「ギグワーカー」の安全や待遇への懸念も出ていた。労働組合は昨年末、待遇改善を求め大規模なストライキを実施。これを受け、マンダビヤ労働・雇用相が今年1月、各社に改善を申し入れたと報じられた。
ギグワーカー約6000人が加入する首都ニューデリーにある労働組合のサンジェイ・ガバ代表によれば、平均的なギグワーカーの稼ぎは月約2万5000ルピー(約4万3000円)以下。燃料代などの経費は自己負担だ。
首都の配達員の多くは近隣州から移ってきた貧困層といい、「命を危険にさらしながら(10分配達という)時間的制約のため大きなプレッシャーの下で働いている」と、厳しく批判した。
インドは昨年11月に施行された改正労働法で、ギグワーカーを社会保障の適用対象となる「労働者」と正式に位置付けた。

取材に応じるギグワーカー労働組合のサンジェイ・ガバ代表=16日、ニューデリー