
ドン・キホーテ運営のパン・パシフィック・インターナショナルホールディングス(PPIH)による新業態が好調だ。同社は2025年11月、埼玉県熊谷市の商業施設「ニットーモール」に新業態「Re:Price(リプライス)」をオープンした。30〜50代女性に向けた健康・美容・タイパ商品をそろえ、ドン・キホーテよりもさらに低価格帯を打ち出している。
【写真】リプライスの店内。50%オフの商品がズラリと並ぶ圧巻の光景
これまでPPIHが商業施設内で展開してきた小型業態の代表格は、Z世代をターゲットにした「キラキラドンキ」だった。この業態は確かに若年層の客足を集めたが、ファミリー層が多く集まる商業施設において、「30〜50代の女性層」の需要を取り込めていないという課題があった。
仕事や子育て、家計管理に追われ、自分の時間を確保しにくい現代の女性たち。こうした層がスーパーやドラッグストアで日常の買い物を済ませる際、その「隙間時間」に立ち寄り、短時間でリフレッシュできる場所を提供できないか?――こうした狙いで生まれたのがリプライスだ。
●「ジャングル探索」を捨てた「タイパ」重視の設計
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リプライスの最大の特徴は、ドン・キホーテの代名詞とも言える「迷路のような売り場」や「長時間の滞在」をあえて踏襲しなかった点にある。店舗面積は約65坪、商品数は約2500SKUに絞り込んでいる。
「ドンキは時間をかけて楽しんでもらうのが狙いですが、リプライスは短時間でのワクワク・ドキドキを重視しています」と、新規業態開発本部の竹田友頼マネジャーは語る。
仕事や家事に追われるターゲット層にとって、買い物におけるタイパ(タイムパフォーマンス)は欠かせない要素だ。あえてドン・キホーテの名前を冠さなかったのも、何でも取りそろえているという期待をあえて排除し、寄り道として気軽に立ち寄れるブランドを確立するためだという。
売り場に並ぶのは、コスメやヘルスケア関連が4割以上を占め、他に日常消耗品、家電小物、菓子類などが続く。これらはすべて、忙しい日常の中での「自分へのご褒美」になり得るカテゴリーだ。
また、現品限りの「スポット商品」を数多くそろえていることも特徴だ。気になる商品が先日はあったのに、今日来たらもう売っていない……という経験が、来店客に「今しか買えない」と思わせることにつながる。
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●「会員に入らないと損」と思わせる戦略
特筆すべきは、驚異的なアプリ会員売上比率だ。通常、特にアプリ会員獲得に力を入れる新店でも40%程度にとどまるという会員比率が、リプライスでは88%に達している。その理由は「会員に入らないと損」と思わせる売り場づくりにある。
店舗正面には、非会員でも安いと思わせる商品を配置。しかし、店内に進むと商品の約半分が「majica会員限定価格」となっており、非会員との価格差を明確に提示している。
「『お得だから会員に入ってください』とお願いするのではなく、『入らないと損だ』とお客様に自発的に思わせる。これが私たちの戦略です」と竹田氏は狙いを語る。
●熊谷を選んだワケ
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第1号店に熊谷のニットーモールを選んだ理由も、データに基づいている。ドンキ利用者の移動データを分析すると、商業施設を利用する層は、ロードサイドにあるドンキにはあまり足を運んでいないことが判明した。こうした層にドンキとの接点をつくる狙いもある。
スーパー「ヤオコー」やドラッグストア「マツモトキヨシ」といったテナントが同フロアに位置するニットーモール店は、狙いとする30〜50代女性が回遊する、まさに「日常の動線上」にあったというわけだ。
オープンから約1カ月。購買点数は想定以上に伸び、客単価は計画比130%を記録。客層も狙い通り30〜50代女性が65%以上を占めるなど、滑り出しは「合格点」(竹田氏)だという。
今後は「どんな立地でも30〜50代女性の需要を獲得することを目指す」と竹田氏が意気込むように、多層階の商業施設やスーパーのない環境、都心部といった異なる立地条件でも利益を出せるか検証を進めた上で、5〜10年スパンでの全国展開を目指すという。
物価高が続く日本において、消費者の「節約」と「潤い」を同時に満たそうとするPPIHの新業態。どこまで通用するか注目だ。
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