奈良地裁の判決を聞く山上徹也被告(手前)=1月21日(イラスト・松元悠氏) 奈良市で2022年、参院選の応援演説中だった安倍晋三元首相が手製銃で殺害された事件で、山上徹也被告(45)の弁護人は4日、無期懲役とした奈良地裁判決を不服として大阪高裁に控訴した。
弁護人は「被告とも協議した結果として、不当な一審判決を是正する機会を得るべく、控訴申立書を提出した」としている。控訴審では、量刑不当のほか、銃刀法の発射罪について改めて無罪を主張する見通しという。
公判で被告は殺人罪を認め、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)を巡る不遇な生い立ちをどう評価するかが争点だった。弁護側は「宗教的虐待」の被害者だと訴え、量刑判断で最も重視されるべき犯行動機に深く関わっていると主張。最長でも懲役20年にとどまると訴えていた。
1月21日の裁判員裁判判決は、被告の生い立ちについて「犯行の背景や遠因となったことは否定できない」としつつ、「殺人の意思決定に大きく影響したとは言えない」と判断。弁護側は、被告が作製した銃は銃刀法上の「拳銃等」には該当しないとも訴えていたが、「人を殺傷するに足る威力があった」として退けた。
被告は翌22日、公判に弁護側証人として出廷した宗教社会学者で北海道大大学院の桜井義秀特任教授と面会。桜井氏によると、被告は判決に不服な様子は見せず、控訴については弁護人と相談すると話したという。
判決によると、被告は22年7月、奈良市の路上で安倍氏に向けて手製銃を至近距離から2回発射し、失血死させるなどした。