【小説版ネタバレあり】気高き“反逆者”ハサウェイはどこへ向かうのか? 映画「閃光のハサウェイ キルケーの魔女」レビュー

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2026年02月10日 19:30  ねとらぼ

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映画「機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ キルケーの魔女」レビュー

 アニメ映画「機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ」シリーズ最新作となる「機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ キルケーの魔女」が、1月30日に公開された。公開から5日間で興行収入は10億円を突破し、観客動員数も60万人を超えるなど、好調なスタートを切っている。すでに前作の興行収入(約22億3000万円)の半分近くに達しており、勢いはまさに破竹。そんな話題作をレビューする。


【画像】ハサウェイが乗り込む「クスィー・ガンダム」


 以下では、小説版『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』(富野由悠季)における結末に触れている。なお、現在公開されている劇場版シリーズは小説版とは設定が一部変更されており、最終的な結末については未確定となっている。


1:究極のバッドエンドを予感させる作品

 「機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ」は、宇宙世紀という長大な歴史の中で、ひとりの青年が「正しさ」を選び続けた末路を描く物語だ。


 テロリストとして、理想主義者として、そしてかつて英雄たちの背中を見て育った少年として── ハサウェイ・ノアは、常に割り切れない立場に置かれ続ける。


 小説版において、この物語の結末には「主人公の勝利」は用意されていない。


 物語の帰結として示されるのは、ハサウェイ・ノアの死だ。宇宙世紀0105年、享年25歳。それも、単なる悲劇的な最期ではない。


 端的に言おう——


 処刑だ。


 少なくとも小説版を踏まえるなら、主人公が破局を迎えることは避けられない。


 いわば「究極のバッドエンド」を内包した物語である。


 にもかかわらず、我々はこの物語を見てしまう。


 結末が悲劇だと分かっていても、なお主人公に感情移入してしまう。いわゆる「義経の判官びいき」というやつだ。


 もっとも、劇場版「閃光のハサウェイ」は小説版とは異なり、映画「逆襲のシャア」の正統な続編として再構築されている。


 そのため、ハサウェイの運命が小説版と同じ結末を迎えるのかどうかは、いまなおファンの間で注目され続けている。


2:4年半も待った甲斐があった!

 「閃光のハサウェイ」シリーズは、反地球連邦組織「マフティー」のリーダーであるハサウェイ・ノア(声:小野賢章)と、地球連邦軍のケネス・スレッグ(声:諏訪部順一)とのスリリングな攻防を描く作品だ。


 ハサウェイが乗り込むモビルスーツの名は「クスィー・ガンダム」。圧倒的な性能を誇り、前作では連邦軍の「ペーネロペー」を見事撃破した。


 本作では、マフティーと連邦軍の軍事的な戦いと、ヒロインのギギ・アンダルシア(声:上田麗奈)が両陣営の間で揺れ動く様が引き続き描かれる。


 2021年6月に「機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ」第1部が公開されて以降、ファンの間では「続編はまだなのか?」という声が長く上がり続けていた。


 その待ち時間が長引くにつれ、SNSなどではさまざまな臆測も飛び交った。


 2025年にはガンダム新作「GQuuuuuuX(ジークアクス)」がスタジオカラーとの共同制作(監督:鶴巻和哉)で発表され、筆者の観測範囲では「サンライズ大丈夫か!?」と不安を口にするファンも少なくなかった。


 だからこそ、「閃光のハサウェイ」続編公開のアナウンスが出たときには、「ようやく来た」という安堵とともに、大きな期待が集まった。


 そして実際に本作を見て思う。


 この待ち時間は、決して無駄ではなかった。


 尋常ではない映像クオリティー。バトルシーンだけではなく、ドラマパートも徹底的に「リアリティー」を追求した画づくりがされている。そして緊迫感のある心理描写、声、音楽……。何もかもが100点満点だった!


 「閃光のハサウェイ」ファンとしては、待った甲斐が本当にあったわけだ。


3:戦場の中で彼は何を失い、何を得ていくのか?

 前作に引き続き、地球連邦軍との数々の戦闘を経て、ハサウェイが所有する多くの艦やモビルスーツなどが破壊される。それだけでなく、彼は長年連れ添った恋人との関係や、大切な仲間の命すらも失っていく。


 また、ハサウェイは偉大な先輩であるアムロ・レイの幻影に囚われ続けていた。ハサウェイにとって、アムロは「自分が目指すべきゴール」であるとともに、「絶対に越えられない壁」でもあった。


 それに加え、初恋の相手であるクェス・パラヤとの幻影とも戦っていた。


 バトルシーンの中で、ハサウェイはそんな数々のトラウマを乗り越え、呪縛から解き放たれていく。実は「閃光のハサウェイ」シリーズは、主人公の「喪失」だけではなく、「精神的な成熟」も描いているのだ。


 一方で、ハサウェイの包囲網は着実に迫ってくる。ケネス大佐はまだ序の口。最大の敵は、ハサウェイの父であるブライト・ノアだ。


 第2部でとうとう「ラスボス」が登場したわけだ。ブライトは地球連邦軍の高官。そして、自分の息子が反連邦組織のリーダーだなんてことをまだ知らない。もし、息子の正体が分かってしまったとしたら……!


 間違いなく、ハサウェイの「命のカウントダウン」は残りわずかだ。完結編となるであろう次回作——彼の破局の瞬間を見たいような、見たくないような……。


 いや、もうここまで来たら見るしかない!


4:正真正銘「大人向け」ガンダム作品

 全く別の観点から「閃光のハサウェイ」シリーズの見どころを紹介しよう。


 本シリーズといえば、かなり踏み込んだセクシー描写である。


 ヒロインのギギといい、ハサウェイの部下・ジュリア(メカニック担当)といい、露出度が高い。何なら「私、トップレスがいいんだけど」という趣旨の発言も飛び出し、ジュリアは男たちの眼前で堂々とそれを実行してしまう。


 思い起こせば、前作の時点で既に官能性の強さは際立っていた。ギギの口元や胸元の強調シーンがここぞというタイミングで差し込まれていた。本作では、その表現がさらに強調されている印象だ。


 また、第2部では、昼ドラ並みのドロッドロな「女の戦い」も描かれる。ギギとメイス・フラウワー(ケネス大佐の愛人)の応酬は手に汗握るものだった。モビルスーツ同士のバトルシーンよりもスリリングだったかもしれない。


 したがって、ガンダム作品だからといって、全国のパパやママは小中学生のお子さん連れで本作を見に行くのはオススメしない。


 映画を見終わったあと、「ねぇパパ(ママ)。あのお姉さんたちが言っていたことがよく分からなかったんだけど、一体なぁに?」と聞かれても、それは解答不能である。


 以上のような点から、本作は正真正銘「成人向け」ガンダム作品だ。


※なお、本作は映倫の審査ではG区分(年齢を問わず誰もが鑑賞できる年齢制限のないレーティング)となっている


5:ガンダム初心者がいきなり本作から見るのはアリかナシか?

 そんなわけで、「機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ キルケーの魔女」は「絶対に見るべき」映画である。


 最後に補足事項を述べておこう。


 本作の予習のために、


・「ファースト」(初代テレビアニメシリーズ)を見なきゃ!


・映画「逆襲のシャア」も見なきゃ!


などと気負う必要はない。


 かく言う筆者も「閃光のハサウェイ」第1部からガンダムの世界に入門したクチだ。


 しかし、いきなり「閃光のハサウェイ」第2部を見るというのはオススメできない。あまりにストーリーが複雑で、登場人物が多過ぎる。だから「閃光のハサウェイ」第1部は最低限予習した方がいい。


 筆者が思う理想のルートは、


(1)映画「閃光のハサウェイ」第1部


(2)映画「閃光のハサウェイ」第2部(本作)


(3)映画「逆襲のシャア」(「閃光のハサウェイ」の前日譚の位置付け)


(4)「機動戦士ガンダム 劇場版」3部作(初代テレビアニメシリーズの総集編)


である。


 なお「閃光のハサウェイ」第1部と第2部の直後に「GQuuuuuuX(ジークアクス)」を見てしまうと、大いに混乱する。くれぐれもご注意を。



このニュースに関するつぶやき

  • 私は原作小説に拘らずにラストは自由に改変して良いと思うのですが、オールドタイプのガノタは騒ぐでしょうね🤬
    • イイネ!5
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