▲合田直弘が海外競馬の「今」を詳しく解説!(c)netkeiba【合田直弘(海外競馬評論家)=コラム『世界の競馬』】
◆世界王者フォーエバーヤングに迫る「米国の5大攻勢」
本稿では2月14日にキングアブドゥルアジーズ競馬場で開催されるサウジCデー各競走のうち、1351ターフスプリント、ネオムターフC、サウジCの見どころをご紹介したい。
芝1351mという、ここにしかない舞台設定で行われるG2・1351ターフスプリント。過去6年のうち、半数の3年において日本調教馬が優勝。英国調教馬が2勝、バーレーン調教馬が1勝となっている。
実績最上位なのが、フランスから参戦するラザット(セ5、父テリトリーズ)だ。3歳時に制したG1モーリスドゲスト賞(芝1300m)、4歳時に制したG1クイーンエリザベス2世ジュビリーS(芝6F)という2つのG1を含めて、4つの重賞を制している同馬。豊かなスピードがある馬だが、コーナーを廻るコース設定の時には、取りこぼしていることも少なくなく、キングアブドゥルアジーズ競馬場の馬場にどう適応するかがカギとなりそうだ。
その点で、24年のこのレースを制している英国調教馬アナフ(牡6、父ムハーラー)は、コース適性を実証済みなのが心強い材料である。昨年10月にアスコット競馬場のG3ベンゴーS(芝6F)に優勝。旺盛な活力を維持しているところを見せている。
実績という点でラザットに引けを取らないのが、5歳だった24年に制したG1ロッキンジS(芝8F)を含めて、3つの重賞を手にしているオーディエンス(セ7、父イフラージ)だ。昨年秋のタタソールズ・オータム現役馬セールにて17万ギニー(当時のレートで約3661万円)で現在の馬主に購買され、J&T.ゴスデン厩舎からD.オメーラ厩舎に転厩。今季はここまでドバイで2戦し、初戦のG2ザビールマイル(芝1600m)は3着と悪くない競馬をしたものの、続くG2アルファフィディフォート(芝1400m)では、後方のまま12着に惨敗。相変わらずのムラ馬ぶりを見せている。
ここに日本からは3頭が参戦。代表格となるのは、2歳時にGII京王杯2歳S(芝1400m)、3歳時にGI・NHKマイルC(芝1600m)とGIIIキーンランドC(芝1200m)を制しているパンジャタワー(牡4)だろう。
続いて、今年からG1に昇格し、総賞金も前年の200万ドルから300万ドルに増額されたネオムターフC(芝2100m)。過去6回のうち、日本調教馬と英国調教馬が2勝ずつ。愛国調教馬とバーレーン調教馬が1勝ずつとなっている。
今年の日本勢は3頭出し。
ディフェンディングチャンピオンとしての参戦となるのが、シンエンペラー(牡5、父シユーニ)だ。昨年のこのレース以降は4連敗中だが、身心の状態が良い時に戻れば、連覇も充分に可能だろう。
昨年8月にドーヴィル競馬場のG2ギヨームドルナノ賞(芝2000m)で、G1仏ダービー(芝2100m)2着馬クアリフィカーらに先着して優勝したアロヒアリイ(牡4、父ドゥラメンテ)、昨年9月のGIIセントライト記念(芝2200m)で、ミュージアムマイルから3/4馬身差の2着に入っているヤマニンブークリエ(牡4、父キタサンブラック)の2頭も、ベストのパフォーマンスが出来れば争覇圏に入る馬たちだろう。
相手の顔ぶれも多彩だ。日本馬にとって最大の敵は、昨年秋のG1カナディアンインターナショナルS(芝12F)勝ち馬で、今季初戦となったメイダン競馬場のG1ジェベルハッタ(芝1800m)が2着だったシラウィ(セ6、父ドバウィ)になろうか。
昨年まで仏国に在籍し、G1仏オークス(芝2100m)2着、G1ジャンロマネ賞(芝2000m)2着などの成績を残した後、昨年12月のタタソールズ・ディセンバーセールにて、クールモアグループに190万ギニー(当時のレートで約4億1827万円)で購買されたシュルヴィー(牝5、父チャーチル)。1月31日にリングフィールド競馬場で行われたウィンターダービートライアル(AW10F)を勝っての参戦となっている。
昨年11月にサヒール競馬場で行われたG2バーレーンインターナショナルT(芝2000m)の1・2着馬ロイヤルチャンピオン(セ8、父シャマーダル)、ガレン(セ5、父グレンイーグルス)も、マークの必要な馬たちだろう。
そして、総賞金2000万ドルのメイン競走G1サウジC(d1800m)。
過去6年のうち、日本調教馬と米国調教馬が2勝ずつ。英国調教馬と地元サウジアラビア調教馬が1勝ずつとなっている。
昨年のこのレースに加え、秋にはG1BCクラシック(d10F)を制し、ダート世界一の称号を手にしたフォーエバーヤング(牡5、父リアルスティール)。ブックメーカーの前売りでも、軒並み抜けた1番人気に推されており、ここは負けられない一戦だ。
ダートの本家アメリカが、打倒フォーエバーヤングを旗印に、5頭立ての大攻勢をかけてきた。中でも実績最上位なのが、B.バファート厩舎のナイソス(牡5、父ナイキスト)だ。ここまでの戦績、8戦7勝。唯一の敗戦は、1年3か月ぶりの出走だった昨年5月のG1チャーチルダウンズS(d7F)で、それも、勝ち馬マインドフレームにクビ差敗れる2着という惜敗だった。秋にはG1BCダートマイル(d8F)に優勝。
さらに12月28日にサンタアニタ競馬場で行われたG2ラフィットピンカイジュニアS(d8.5F)でも勝利し、重賞4連勝を飾っての参戦となっている。ナイソスと同厩で、昨年秋にG1グッドウッドS(d9F)を制した実績のあるネバダビーチ(牡4、父オマハビーチ)、昨年11月のキーンランド・ノヴェンバーセールにてサウジアラビアの馬主グループに130万ドル(当時のレートで約2億0186万円)で購買された後、12月6日にアケダクト競馬場で行われたG2シガーマイルH(d8F)を制し4度目の重賞制覇を果たしているビショップスベイ(牡6、父アンクルモー)、この路線の重賞7勝馬で、12月20日にオークローンパーク競馬場で行われたLRティンセルS(d9F)を勝っての参戦となるラトルンロール(牡7、父コネクト)らも、ノーマークには出来ない馬たちだろう。
(文=合田直弘)