【#佐藤優のシン世界地図探索147】"プーチン化"が止まらないトランプの最終進化系とは?

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2026年02月13日 07:10  週プレNEWS

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1ドル紙幣に描かれるワシントンは、いつかトランプの絵柄にとって代わられるのか……(写真:EPA=時事)


1ドル紙幣に描かれるワシントンは、いつかトランプの絵柄にとって代わられるのか......(写真:EPA=時事)


ウクライナ戦争勃発から世界の構図は激変し、真新しい『シン世界地図』が日々、作り変えられている。この連載ではその世界地図を、作家で元外務省主任分析官、同志社大学客員教授の佐藤優氏が、オシント(OSINT Open Source INTelligence:オープンソースインテリジェンス、公開されている情報)を駆使して探索していく!

*  *  *

――なんでも、トランプがプーチンと直接対談したり電話で話しているうちに教育されて、「トランプーチン」になっているそうなのですが、これ本当ですか?

佐藤 そうです。トランプの"プーチン化"です。

――それは、人たらしを得意とするKGBスパイの奥義「相手の自分化」ですか?

佐藤 いえ、プーチンはトランプを持ち上げながら「これが一番いい方法だ」と伝え、トランプがプーチンのやり方に沿って行動すると大体うまくいっているんです。国際法より国家主権が何よりも重要だと。

――するとそこから「トランプーチン」が始まっていく。

佐藤 そうです。それから、トランプの国際法の考え方は、日本人が先鞭をつけています。

――あ、あの戦時中の大日本帝国製の国際法のことですか?

佐藤 はい、「大東亜国際法」です。結局、「規則は俺が作る」という内容ですね。

――出ました! トランプは「国際法は不要。従ってもいいがその定義次第」だと語っています。さらに軍事行動に関してもあくまで「自らの道徳観」での判断だとも。まさにこれですね。

佐藤 だから、トランプと大日本帝国は似ているんですよ。そのうちに「大東亜国際法」に近いものがアメリカで生まれてくるはずです。

「我々は国際法の受動的な客体ではなく、能動的な主体である」という言い方だと思いますが、結局は自分たちが国際法を作る立場だ、ということです。そして、アメリカ革命の途中でトランプが新しい国際法を作ったと、未来の学術研究論文に書かれるでしょう。

――トランプは歴史に名前を残せるのですね。

佐藤 すでに歴史には名前を残しているし、どんな形になろうと教科書にも絶対に載りますよ。近年、トランプと同じレベルで歴史にインパクトを与えたのは、セオドア・ルーズベルト大統領しかいないと思いますよ。ジョン・F・ケネディを超えています。

――トランプを狙った暗殺計画が失敗した瞬間に、ケネディを超えています。ケネディは狙撃を食らってしまいましたから。

佐藤 ワシントンにある『ケネディ・センター』を『トランプ・ケネディ・センター』とトランプの名前を先にして改称していますからね。そしていま、ルーズベルトをも超えつつあります。

――絶好調ですね。その肝心のトランプの師匠・プーチンが、北朝鮮の首領様とひと悶着、起こしているようですね。

佐藤 ああ、ウクライナへの兵士派遣の件で、北朝鮮がロシアに不満を持っているんですよ。最初は合意したはずですが、その給料に対して「ちょっと安かったんじゃないか?」とゴネているわけです。

――プーチンが出し渋っているのでは?

佐藤 それはありません。約束通りの値段を払っているはずです。その上で文句をつけていると。

――ロシアは原子力潜水艦のシステムを北朝鮮に渡しているんですか?

佐藤 そんなものは渡していませんよ。

――北が建造中の原潜は大丈夫なんでしょうか?

佐藤 そこは問題ないでしょう。そういえば、戦時中に帝国陸軍が潜水艦を作っていたんですが知っていますか?

――輸送用の潜水艦ですよね。うまくいったものもあるけど、失敗もありました。

佐藤 あれは海軍が作り方を教えてくれなかったんですよ。陸軍と非常に仲が悪かったから。あの帝国陸軍の潜水艦は、浮かび方が違うし、一番悲惨だったのがトイレがないことです。だから、汚物を石油缶に貯めることになって、潜水艦内はとても臭かったそうですよ。

――それは最悪ですね。

佐藤 それから我が帝国陸軍には、「あきつ丸」という航空母艦もありました。これは人員や物資を送る揚陸艦という建前になっていましたが、実態は航空母艦でした。一方、帝国海軍には輸送船がなかったんです。輸送船みたいな品のない艇は必要ないと。そして今、陸自が輸送艦の運用を始めます。正しい帝国陸軍の伝統が戻っているんですよ。

――なるほど。では、話を戻しますが、ロシアと北が揉めているというのはヤバい状況ではないですか?

佐藤 関係は良好だけど、金の折り合いがついていないという状況です。プーチンさんとしては払う金はあるけれど、悪い癖をつけたらいけないんですよ。「仕送りが足りないの、パパ」と娘に追加して渡してしまうと「生活が乱れるんじゃないか」という感じです。

――しかし、北は最大150発の核兵器を持っています。

佐藤 核兵器で喧嘩してどうなると思います? ロシアの核弾頭総数は約5500発ですよ。まともに撃ち合えば、朝鮮半島は消滅します。よくて石器時代に逆戻りです。

――それでは北は絶対にロシアのいう事を聞きますね。一方、イランはどうでしょう? トランプはたびたび「攻撃するぞ」と脅していますが、ロシア安全保障会議のセルゲイ・ショイグ書記はイラン支持で訪問しています。

佐藤 イランは1月8日のデモが始まって以来、インターネット接続が遮断されている状況です。しかし、ロシアはイランで取材できるからロシアのニュースを見ると雰囲気がわかるんです。とんでもない状態になっています。

――人権を大事にする「自由と民主主義の国」にイランは変わりませんか?

佐藤 なりません。皆殺しにして力で押し切るでしょうね。

――人権と自由は微塵もないですね。イラン政府に皆殺しする力があるんですか?

佐藤 国内だけだったらできますよ。しかし、アメリカが入ってきたらできません。

――トランプはイランに行きますか?

佐藤 行きませんよ。すでに棍棒は振り下ろしています。もうイランは脅威にもならないし、あとは勝手にやってくれという判断でしょう。

――すると、「トランプ―チン」が次に超えようとしているのはなんですか?

佐藤 ジョージ・ワシントンです。ワシントンが大統領になった時に、アメリカを王政にするかどうかの議論がありました。いまトランプは、トランプ王、そしてトランプ皇帝になろうとしています。いま、アメリカは第二の建国が始まっているんです。

――すると、トランプ王朝の初代皇帝がトランプ。二代目皇帝は現副大統領のJ・D・バンス。盤石の体制で行くと。

佐藤 そうです。あるいは首領様でもいいし、トランプ総統でもいいんです。

――ついにトランプは米国建国の父2世となるのですね。

佐藤 やがてトランプは、世界大皇帝となります。そして、ワシントンを超えます。

次回へ続く。次回の配信は2月20日(金)を予定しています。

取材・文/小峯隆生

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