
バレンタインを前に、私が関わるチョコレートの現場は1年で最も慌ただしい季節を迎える。発注、在庫管理、ポップアップストア(期間限定店)準備、広報対応。やるべきことは山積みだが、不思議と心は前向きだ。忙しさの中でも、やりがいを感じ、楽しいと心から思う瞬間がある。
そんな折、10年前に受けたストレングスファインダーという、自分の業務適性が分かるといわれる診断の結果を、久しぶりに見返した。当時は、いわゆる性格診断の一種として受け止め、正直なところ半信半疑だった。占いに近い感覚で、深く向き合うこともなかった。
だが改めて目を通すと、そこに書かれていた回答は、現在の自分の働き方と驚くほど重なっていた。
新しい企画を考える「着想」。困難な局面でも前を向こうとする「ポジティブ」。環境の変化に応じて柔軟に動く「適応性」。品質や約束を守ろうとする「責任感」。そして、より良い形を追求し続ける「最上志向」。
局アナウンサーからフリーへ転向した当初、「個性を打ち出さなければ」という現実に直面した。組織に守られていた頃とは違い、自分という存在そのもので勝負をしていく世界。何が自分らしさなのか分からず、もがき、試し、失敗も重ねた。
|
|
|
|
今思えば、あの時期はすべて「成長痛」だったのかもしれない。痛みと不安を伴いながらも、自分の輪郭を少しずつはっきりさせていく過程だった。
現在、チョコレート事業という全く別のフィールドで、その積み重ねが不思議なほど生きている。発信力、言語化力、人と人をつなぐ感覚。10年前に受けていた助言と、フリー転向後の経験が、今になって1本の線で、結ばれつつあるのではないかとひそかに思っている。
遠回りに見えた選択や、報われないように思えた努力も、振り返ればすべてが現在につながっているものなのかもしれない。もちろん、全てが勘違いの可能性もあるけど(笑)。チョコレートの香りに包まれながら、私は静かに過去の自分と答え合わせをしている。そして今日もまた、次の成長に向けて、1歩を重ねていく。Happy Valentine!
【KyodoWeekly(株式会社共同通信社発行)No.6からの転載】

|
|
|
|
ひらい・りお 1982年東京生まれ。2005年、慶應義塾大学法学部卒業後、フジテレビ入社。スポーツニュース番組「すぽると!」のキャスターを務め、オリンピックをはじめ国際大会の現地中継などに携わる。13年フリーに転身。ニュースキャスター、スポーツジャーナリスト、女優、ラジオパーソナリティー、司会者、エッセイスト、フォトグラファーとして活動中。
