「歯科医院は虫歯の治療にいくところ」はもう古い? 実は”保険適用”なのにまだ知られていない利用法

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2026年02月15日 16:20  日刊SPA!

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 日本では「健康に長く生きること」が社会全体の大きな関心事となっており、それにともない医療のあり方も見直されつつあります。中でも、これまで「歯を治す場所」として捉えられてきた歯科医療には治療に加えて「健康を維持・向上させるためのサポートを行う」という新たな役割が求められるようになってきました。
 こうした流れの中で話題を集めているのが、株式会社ハーモニーが提供する歯科医院向け導入コンサルティング「デンタルフィットネス」です。このサービスは、歯科医院が歯の治療を終えた患者に対し、予防歯科の観点から健康づくりを支援する仕組みを提供しています。

 予防を重視した新しい歯科医療の形として注目されるこの取り組みについて、株式会社ハーモニーの高橋翔太氏に話を聞きました。

◆年間売上が1億円を超えるクリニックはわずか5%

――まず、日本の歯科医院が置かれている現状について教えていただけますか。

高橋:全国に約7万件ある歯科医院の多くが、経営面でさまざまな悩みを抱えています。実際に、年間の売上が1億円を超える歯科医院は、全体のわずか5%にとどまっているのが現状。多くの歯科医師は高い治療技術をお持ちですが、経営について学ぶ機会が少ないのです。

――高橋さんが、そうした歯科医院の経営課題に目を向けるようになったきっかけは何だったのでしょうか。

高橋:子どものころの原体験がきっかけです。歯科医師の父が独立して歯科医院を開いたのは、私が小学校2年生のときでした。当時、「歯医者さんは儲かっている」というイメージがありましたが、実際の暮らしは決して楽ではなく、まったく儲かっていなかったんです。

外から見える華やかな印象とは違い、歯科医院の経営は厳しいものでした。そのギャップを肌で感じていたことが今につながっています。

◆約10年で年間売り上げ9億円まで成長

――高橋さんご自身の実績がベースになっているのですね。

高橋:多くの経営コンサルタントは、外から客観的に分析してアドバイスをするだけで終わってしまいます。しかし、実際の現場には、机上の理論だけで実際には実行できない、運用できないことがたくさんありました。現場で苦労を重ねたからこそ見えるものがあるんです。

――具体的には、どのような成果を出されたのでしょうか。

高橋:まず、父が経営する歯科医院に「内部コンサルタント」として参画しました。試行錯誤を続けながら、年間売上は25年間で2億3000万円から、2016年以降の約10年間で9億円まで急成長させ予防歯科で来院される患者さんの来院率は99%を超えてきました。

また、当時20人ほどだったスタッフも現在では100人規模となり、より多くの患者さんに対応できる体制を整えることができました。こうした成功体験を経て「この成功を他の歯科医院にも届けたい」という思いから、再現性のある予防歯科の導入支援を提供するサービスを立ち上げたのです。

◆歯科業界独特の「言葉選び」を見直す

――高橋さんは言葉選びの見直しも重要視されていると伺いました。

高橋:歯科業界で当たり前に使われている言葉が患者さんとの間に誤解が生まれ、円滑なコミュニケーションが妨げられてしまいます。

――たとえば、どのような言葉があるのでしょうか。

高橋:再来院を促す際に使われる「リコール」という言葉があります。一般的には「不良品の回収」を意味しますが、歯科業界では「定期的な来院の呼びかけ」という意味で使われています。

しかし、この業界特有の用法を知らない患者さんが「リコールはがき」を受け取った場合、「前回の治療に問題があったのでは?」と不安に感じてしまっても不思議ではありません。

にもかかわらず、歯科業界ではこの言葉を使い続け、再来院率が低いことを「リコール率が低い」と問題視しているのです。しかし、この「リコール」という言葉の使い方は本来の意味とかけ離れており、違和感がありますよね。

そもそも、再び来院するかどうかは患者さんの自由であり、歯科医院はあくまで「来院を促す」立場にあるはずです。

――「メンテナンス」という言葉にも注意が必要だと話されていました。

高橋:「メンテナンス」と「予防」は意味がまったく違います。メンテナンスとは、何かを購入したり、処置をしたあと、そのいい状態を保つために行ったりするものです。

処置をしていない健康な方に「メンテナンスに来てください」と言っても、違和感があるのは当然です。車を買ってもいない人に「車のメンテナンスに行きましょう」と言っているようなものです。

歯科業界で当たり前に使われている言葉について、主語と目的語の関係を正しく整理し、わかりやすく解説しています。こうした取り組みにより、患者さんとの向き合い方が見直され、リピート率の向上にもつながっています。

◆保険が使える「予防歯科」はもっと活用されるべき

――最後に、予防歯科の可能性と今後の展望についてお聞かせください。

高橋:予防的診療に国民皆保険が適用される歯科医療には、大きなポテンシャルがあると考えています。眼科の視力矯正や内科の定期健診などは保険が適用されないことも多いですが、歯科では予防のための定期的な口腔ケアにも保険が使えるのが特徴です。

国は、私たち国民が健康を維持できるよう、保険証を使って口腔ケアを受けられる制度を整えています。例えば、本来1万円以上かかる健診費用を、3000円程度で受診することができます。これは言ってみれば、「健康を守るための割引チケット」のようなものです。

しかし、実際にはその価値に気づいていない人が多いのが現実です。口腔ケアを目的とした定期健診は年4回通うことを推奨しています。3000円を4回、つまり月々約1000円の負担で一生の健康につながるケアが受けられるのに、それを生かせていないのは、本当にもったいないことです。

――歯科医院のあり方そのものが変わっていきそうですね。

高橋:歯科医院が自分の健康を維持したり、もっと高めたりする目的でコンビニやユニクロのように、誰にとっても身近で、日常的に利用される存在になることを目指しています。歯科に通って口腔の健康状態をチェックすることが自然で当たり前の行動として社会に定着していく未来をつくっていきたいと思っています。

このニュースに関するつぶやき

  • 私は3ヶ月に1度歯科検診に行っています。診察したら次の予約をして帰ります。虫歯に気をつけないと!
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