「働かないおじさん」VS「月額3000円のAI」調整力が武器のサラリーマンが直面する、笑えない現実

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2026年02月17日 09:10  日刊SPA!

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AIが急速進化する時代、モチベ低めな会社員の未来は如何に…(画像/Adobe Stock)
​今、私が拠点を置くシアトルのテック業界では、ある種の中毒的な熱狂と、それ以上の「静かな恐怖」が広がっています。その中心にいるのが、Anthropic(アンソロピック)をはじめとするAI企業が提示し始めた、AIとの「Cowork(協働)」という新しいモデルです。
​これまでAIは、私たちが命令を下して答えを受け取る「便利な検索ツール」に過ぎませんでした。しかし、今注目されているのは、AIが自らPCを操作し、ブラウザを開いて仕事を完結させる「自律型エージェント」としての姿です。

◆シアトルの現場で見た、AIが「道具」から「同僚」に変わる瞬間

​実際、私の周囲の天才的なエンジニアやPM(プロダクト・マネージャー)たちは、もはやAIを「検索」には使いません。「このスプレッドシートの不整合を社内ポータルから探し出し、修正案を関係者に共有しておいて」と丸投げし始めています。

​これは「効率化」なんて生易しい話ではありません。「年収1000万円超のスタッフが数日かけてやる仕事が、月額20ドルのAIによって、文句一つ言わずに数分で処理される」という、知的労働のコスト破壊が目の前で起きているのです。

​◆「SaaSの黙示録」と、消えゆく「指示待ち人間」の居場所

​現地のアナリストや投資家の間では、「SaaSpocalypse(サースポカリプス/SaaSの黙示録)」という不穏な言葉さえ議論され始めています。

​これまでは、複数のソフトを使い分け、ツールからツールへデータを転記する「作業」にこそ、人間を雇う価値がありました。しかし、AIがツール間を縦横無尽に駆け巡り、自ら作業を完結させるようになれば、その「操作」という工程に高い給料を払う企業はなくなります。

​関係者の間では、「人間なら数ヶ月かかる新機能のプロトタイプを、AIを実務パートナーとしてフル活用することで、わずか2週間で完成させた」という逸話まで語られ始めています。

​アメリカの現場ではすでに「AIを使いこなせるか」という議論は過去のもの。今は、「AIに任せられる仕事しか持っていないのか、それとも人間にしかできない価値を出せるのか」という、生存を賭けた分断が起きていると思います。

◆​「日本的調整力」の再定義。AIはあなたの「逃げ道」を奪う

​この「Cowork」の概念を日本のビジネスシーンに当てはめると、一つの「不都合な真実」が浮かび上がります。

​日本の組織で「仕事ができる」とされてきた層の最大の武器は、専門スキル以上に、「社内の人間関係の調整」や「過去の経緯を汲み取った根回し」といった、マニュアル化しにくい高度なコミュニケーション能力でした。

​「あの部長は、このフォントを嫌う」
​「この案件を通すには、先にB課長に仁義を切っておく必要がある」
​「過去に似たような企画が失敗した経緯を把握している」

​こうした「組織内の暗黙知」こそが、これまで多くのビジネスマンが組織の中で存在感を示すための基盤でした。しかし、AIがアクセスを許可された範囲で過去の議事録やドキュメントを学習し、「最適な根回しルート」や「リスク回避の提案」を自律的に行い始めたらどうなるでしょうか。

​例えば、30枚の会議用パワポ。中身はスカスカでも、各部署への配慮(アリバイ作り)のためだけに費やされる膨大な時間。これをAIが1分で「全方位に角が立たないドラフト」として出力してしまったとき、調整そのものを仕事にしていた人の価値は、文字通り「月額3000円」のサブスクに追い抜かれます。

​AIはあなたの仕事を奪うのではありません。あなたが「仕事をしているフリ」をするための「逃げ道」を奪うのです。

◆​「仕事ができる人」の定義が180度変わる2026年

​シアトルのカフェでPCを叩く若者たちを見ていると、彼らはAIを「部下」でも「ツール」でもなく、自分より記憶力の良い「パートナー」として扱っています。

​これからの時代、評価されるのは「自分で手を動かす人」でも「調整に長けた人」でもありません。「AIという最強の知能に、いかに適切なコンテキスト(文脈)を与え、最大の出力を引き出せるか」。つまり、AIに対する「マネジメント能力」がある人間だけが生き残ります。構図にすれば以下のような形です。

・旧時代⇒情報を独占し、社内調整をスムーズに回せる人が強かった。

・​新時代⇒AIに自社の文脈を正しく教え込み、定型的な調整をAIに任せ、自分は「意志決定」と「泥臭い対話」に集中できる人が勝つ。

​「AIなんてまだ不完全だ」とあら探しをしている間に、あなたの隣には、あなたより安く、正確で、忖度もしない「デジタル同僚」が座ることになります。

AIと仕事を分担する「共生」の道を選ぶのか。それとも、月額3,000円のサブスクに居場所を奪われる「過去の遺物」になるか――​2026年、私たちは突きつけられています。

​日本特有の「忖度」や「根回し」というスキルがAIにハックされたとき、あなた個人に何が残るのか。今、それを冷静に見極める時が来ているのかもしれません。

【福原たまねぎ】
シアトル在住。外資系IT米国本社のシニアPM。ワシントン大学MBAメンター(キャリア・アドバイザー)。大学卒業後にベンチャー企業を経て2016年に外資系IT企業の日本支社に入社。2022年にアメリカ本社に転籍し現職。noteでは仕事術やキャリア論など記事を多数発表。X:@fukutamanegi

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  • 3000円のAIは花見の席取りとか忘年会の幹事をしてくれるのか?
    • イイネ!1
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