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MMDLabo(MMD研究所)は2月17日に「ポイント経済圏の最新調査データ勉強会」を開催した。今回はその中でも、Amazonとの提携や金融機関の買収により経済圏に本腰を入れるNTTドコモに着目。MMD研究所代表の吉本浩司氏が解説した。
●各社が「自社の経済圏に来た方を定着させる競争」に動いている
吉本氏はまず、現在のポイント経済圏が「通信キャリア」「小売り・リテール」「金融・決済」「交通・マイル」という4つの型に分類できると前置きをした。以前はどれだけ多くのユーザーを呼び込むかという入り口の広さが競われていたが、現在は「自社の経済圏に来た方を定着させる競争」に動いていると分析する。
吉本氏は、この定着の度合いを「粘着性」という言葉で表現した。特に「小売り」や「金融」を軸とする経済圏は、ポイント還元を原資にして能動的な買い物を促す「アクティブ活動」が特徴であると指摘する。対してドコモのような通信キャリアは、普段の生活の中で「いつの間にかたまる」状態を作るのが強みだという。
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各経済圏の戦略について吉本氏は、「生活者がサービスを選択する際の負荷をいかに小さくするか」が鍵になると強調した。楽天は支出時の損失感を減らす「お得」を、PayPayは支払いの手間を省く「スピード」を重視する。これに対しドコモは、選択時の不安を解消する「安心」を軸に据えていると吉本氏は語る。
そのドコモについて、吉本氏が着目したのは、ドコモのクレジットカード「dカード」戦略に見える“異質さ”についてだ。通常、カード業界では一般カードの保有者が圧倒的に多い。しかし、dカードはメイン利用者のうち、dカード GOLDやdカード PLATINUMといった上位カードの占める割合が57.9%に達している。これは楽天カードの7.5%と比較しても、驚異的なシェアといえる。
●なぜ高い年会費を払ってまで上位カードを選ぶのか
dカードの中でも吉本氏が特に注目したのが「dカード GOLD」だ。dカード PLATINUMと比べても圧倒的な会員数だという。なぜ年会費が1万1000円かかるdカード GOLDは会員数が多いのだろうか? 吉本氏は「もはやクレジットカード戦略というより、Amazonのプライム会員に近い会員戦略だ」と例えた。通信料金の10%が還元される仕組みにより、ドコモユーザーは年会費を実質的に相殺できるため、「入らないと損」という心理が働くのだという。
Amazonプライムは、年間5900円または月間600円の会費で配送特典やPrime Video、Amazon Music Prime、Amazon Photos、Prime Readingなどのデジタル特典を受けられる。これらのサービスを活用するなら、会費を払っても十分お得になるため、dカード GOLDの戦略に通じるものがある。
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さらに吉本氏は、3年間で最大12万円に及ぶ「端末保証」の存在が強力な武器になっていると語った。iPhoneなどの高額な端末が増える中で、この手厚い補償はユーザーに大きな安心感を与える。吉本氏は「代理店や店頭でも案内しやすく、ユーザーが損を感じにくい設計になっていることが強みだ」と、その普及理由を分析した。
加えて、ドコモの強さは「ドコモショップというリアルな店舗にある」と吉本氏。通信サービス単体では他社への流出を防ぐのが難しいが、店頭で「カードの話」をすることでユーザーの関心を引き留められるという。吉本氏は「ショップでの案内がとんでもなく強く、それが上位カードの爆発的な普及に寄与している」との見解を示した。
MMD研究所が2025年12月11日〜12月15日に2万5000人を対象とした調査を実施した結果によると、カードのランクが上がるほどユーザーの「経済圏を意識する割合」も高まっている。吉本氏は「上位カードを持つことでポイントがザクザクたまる状態になり、メインで使わざるを得なくなる」と語る。特にdカード PLATINUM保有者の9割以上がドコモブランドの料金プランの利用を継続しており、高いリテンション効果が出ているという。
吉本氏は、ドコモがマネックス証券や住信SBIネット銀行と手を組んだことについても触れた。これにより、弱点であったECと金融のラインアップが補強されたという。「銀行口座をハブにして、決済や回線、融資、保険をシームレスにつなげる。これによりライフタイムバリューを高める戦略だ」と、その意図を説明した。
●経済圏に健康管理が関係? ドコモ経済圏の成長には何が必要か
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吉本氏は今後の展望として、経済圏の競争が「人生の生活の中でいかに密着した仕組みを作り出すか」という、ライフステージの戦いに移行すると述べている。具体的には、ヘルスケアの領域などを各社が強化し、健康管理とポイントを組み合わせて、ユーザーの生活に深く入り込んでいく未来が来ると吉本氏は予測する。
特にドコモについては、「粘着性の高い金融会社に生まれ変わろうとしている」と吉本氏。通信市場はMNP(番号持ち運び制度)の普及で乗り換えが容易になった。だからこそ、吉本氏は「切り替えしにくい金融サービスを強固にすることで、ドコモからの離脱を食い止める狙いがある」と鋭く指摘した。
その離脱に関しては、若年層の取り込みも関わってきそうだ。ドコモは、入会申込日時点で満18歳以上(高校生除く)29歳以下を対象とした若年層向けの「dカード GOLD U」を2025年2月から提供しており、こちらは年会費を3300円に設定している。こちらにも通常のdカード GOLDと同様に条件を満たせば実質無料になるなどの特典がある。
本来は「ハードルが高いはずのゴールドカード」を若い世代に持たせることで、将来的なdカード PLATINUMカードへの移行や、銀行・証券サービスの利用を促す「起点」にする戦略とみてとれる。吉本氏は「若い方がdカード GOLDを持つというおかしな世界が、ドコモの今後の強み(の1つ)になる」と語る。いわば「上位カードのカジュアル化」を図ろうという戦略といえる。
特に、ドコモのdカードについて見ていくと、上位カードを持つことがステータスではなく、「生活を最適化するための賢い選択」として定着し始めていることがうかがえる。「くらしと金融の境目のない未来」を描くためにも、dカード、携帯回線、顧客接点のドコモショップをいかに活用できるかが、今後、dカードひいてはドコモ経済圏の成長のカギを握るだろう。
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