
日本HPの「HP Pavilion Aero 13-bg」は、手頃な価格と実用的なパフォーマンス、最軽量構成で約990gという持ち運びやすいボディーを兼ね備えた13型モバイルノートPCだ。APU(GPU統合型CPU)はAMDの「Ryzen 5 8640U」で最新スペックではないが、販路によっては現在も販売されている。
本製品は先日の「Amazon ブラックフライデーセール」ではMicrosoft Officeなしモデルが8万9800円というかなりの格安で販売されており、一部で話題になっていた。実は筆者も、夏のセール時に同じ構成が9万9800円だった時に思わず購入してしまった。せっかくなので、この“格安PC”の実力を検証してみよう。
●16TOPSのNPUを統合した「Ryzen 5 8640U」を搭載
APUはRyzen 5 8640Uを搭載する。CPUコアは「Zen 4アーキテクチャ」で、6基12スレッド、最大クロック4.9GHzという仕様だ。GPUコアは8基構成の「Radeon 760M」を統合しており、ピーク時の命令処理性能が16TOPS(毎秒16兆回)のNPUも備える。
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メモリは16GB(LPDDR5X:増設/換装不可)で、ストレージはPCI Express 4.0x4接続の512GB SSDを装備している。
実際の性能は後ほど検証するとして、上記からざっくりと判断すると「ビジネス用途は快適で、クリエイティブ用途でもビジネスにおける簡易的な動画編集なら十分だが、本格的な制作は厳しい」といったところだ。
なお、NPUはピーク性能が40TOPSに満たないため「Copilot+ PC」の要件は満たさない。それでも、「Windows Studio Effects」など、NPUを活用するローカルAI機能の一部は利用できる。
●技術が進歩した今でも“1kg未満”は貴重
Pavilion Aero 13-bgのボディーサイズは約297(幅)×211(奥行き)×16.5〜17.4(厚さ)mmで、重量約990gだ(いずれも公称値)。実測重量は978gと、公称値よりも少し軽かった。
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グローバル市場で多数派を占める欧米の通勤事情やビジネス文化の違いから、いくら技術が進歩しても、主力クラスのノートPCは「14型で重量は1.2〜1.4kgほど」で変わらない。コストを考慮しなければ選択肢はそれなりにあるものの、手頃な価格でこのような軽量な製品が手に入る機会は多くない。
実際に使ってみても、体感の“重さ”は段違いだ。筆者が以前使っていた「ThinkPad T480s」(実測重量1437g)と比べると、取材先などに持ち出した後に帰宅した際の疲労感が全く違う。
「手頃な価格」と「軽さ」を両立しているのは、本製品の大きな魅力といえる。
剛性感も及第点だ。閉じた状態でのヒンジ部の端のあたりを強めに押すと、若干のたわみがあるので、「ラフに扱っても全然平気そう」という安心感まではないものの、硬質な素材で全体にカッチリと組まれている。
クッション性のあるスリーブケースやポーチなどがあれば、持ち運びを躊躇(ちゅうちょ)することはない。傷や皮脂が付きにくい表面仕上げも好印象だ。
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●バッテリー駆動時間は少し短め USB PD電源でカバーできれば何とかなる
本製品のバッテリー駆動時間は、「MobileMark 25」による公称計測値で最長11.5時間となっている。筆者がベンチマークテストアプリ「PCMark 10」のModern Office Battery Lifeシナリオで「画面輝度を最大、電源設定をバランス」として実測したところ、満充電から強制的に休止状態に入るまでに約7時間かかった。
実測テストの方は画面を可能な限り明るくしたので(公称400ニト)、輝度を抑えれば駆動時間はもう少し伸ばせるだろう。ただ、それを考慮しても最近のモバイルノートPCとしては駆動時間は短めな方だ。
「ならACアダプターを一緒に持ち歩いてカバーしよう」と考えるのだが、付属の65W ACアダプターはサイズがやや大きめで、ACケーブルもアース線付きの3ピンでややかさばる。このあたりに、コストダウンの影響を少し感じる。
ただ、本製品の充電は「USB PD(Power Delivery)」規格に準拠しているので、仕様上はサードパーティーのUSB PD対応電源を利用できる。よりコンパクトなACアダプターやモバイルバッテリーを使えるのは助かる。
なお、本製品ではHP純正でないUSB PD電源の利用は保証されていない。筆者が試してみた限り、レノボ・ジャパンの「Lenovo 65W USB Type-C GaN ACアダプター」(直販価格6930円)や、UGREENの「UGREEN Nexode 巻き取り式 USB-Cケーブル内蔵 モバイルバッテリー20000mAh 165W」(直販価格1万3280円)で充電できた。
●画面も良好 アスペクト比16:10は使い勝手にプラス
画面サイズは13.3型だ。近年はモバイルノートPCでも14型がメインストリームなので、それに慣れているとやはり小さいと感じる。しかし、パネル解像度は1920×1200ピクセルで、アスペクト比が16:10ということもあり、実用的には及第点だ。
アスペクト比の差は、Webページなど縦長のコンテンツを表示する際の表示サイズと情報量の違いに表れる。同じ倍率でWebページを表示させた場合、13.3型の1920×1200ピクセルと、14型のフルHD(1920×1080ピクセル)では表示サイズがほぼ変わらず、縦120ピクセル分だけ多く表示できるため、作業領域も広くとれる。
画面が小さいからこそ、このアスペクト比の差が実用性に大きく効いてくるのだ。
画面の表示品質も思った以上に良好だ。筆者の計測では輝度は最大427ニト(公称400ニト)で、色域もsRGBをほぼカバーしており、色味も比較的素直で、格安ノートPCらしからぬ結果だった。
●使いやすい構成のポート類
ワイヤレス通信機能は、Wi-Fi 6E(6GHz帯対応のIEEE 802.11.ax)規格の無線LANとBluetooth 5.3を標準装備している。無線LANは最新のWi-Fi 7(IEEE 802.11be)ではないが、実用上はこれで十分だろう。
USBポートは、USB 3.2 Gen 2(USB 10Gbps) Type-C端子を2基、USB 3.2 Gen 1(USB 5Gbps) Standard-A端子とUSB 3.2 Gen 2(USB 10Gbps) Standard-A端子を1基ずつ備えている。USB Type-C端子は画面出力(DisplayPort 1.4 Alternate Mode)とUSB PD(Power Delivery)に対応している。
画面出力はUSB Type-C端子の他、HDMI出力端子からも行える。ホテルの部屋にあるTVなどにも、変換アダプター抜きでスマートに接続可能だ。
画面上部のWebカメラは、約500万画素と高画素だ。顔認証にも対応しており、ロック状態から画面を見るだけでログインできる。
APUのRyzen 5 8640UはNPUを搭載しているため、背景ぼかしやアイコンタクト(常にカメラ目線に補正)など、「Windows Studio Effects」によるビデオ会議に便利なカメラ効果を標準で利用できるのもうれしい。
●入力環境の品質も良好
Pavilion Aero 13-bgは小型/軽量ながら、キーボードもかなりしっかりとしている。
主要なキーのピッチは縦横共に実測約19mmで、ストロークは実測約1.8mmと深めだ。白色LEDのキーボードバックライトも搭載している。
なお、電源ボタンがDeleteキーの内側にあるが、他のキーよりもはっきり強く押し込まないと反応しないようになっている。「押すつもりがないのに押してしまった」ということはないと思われる。
強いて挙げるとしたら、カーソルキーが小さいことは難点だが、おおむね打ちやすいキーボードといえる。
キーボード手前にあるタッチパッドの操作性も上々で、安っぽさは感じない。Bluetooth接続のワイヤレスマウスも付属している。こちらはややチープな見た目でボタンもカチカチと音がするが、操作性は特に問題ない。
よりよい機能や品質を求めるならば、後からじっくり検討してからマウスを別途購入するとよいだろう。
●パフォーマンスは必要十分
ベンチマークテストでパフォーマンスを検証しよう。
CPU性能の目安になる「CINEBENCH 2024」(最低実行時間10分)のスコアを見ると、Core Ultra 5 226V搭載機と比べてCPUのマルチスレッドスコアは高く、シングルスレッドスコアは少し劣る結果となった。「CINEBENCH R23」(最低実行時間10分)でも同じ傾向だ。
一方、GPUのグラフィックス性能を見る「3DMark」のスコアは、Core Ultra 5 226V搭載機に比べてかなり見劣ってしまう。
PCMark 10では、意外と「Digital Content Creation(コンテンツ制作)」で大差を付けられてしまった。これはグラフィックス性能の影響が大きいかもしれない。
とはいえ、Core Ultra 5 226V搭載機や、より上位のCore Ultra 7 258V搭載機と比べてもこの程度の差であれば、実用性は十分にある。
●期待以上の良製品 後継機にも注目
Pavilion Aero 13-bgを検証してきた。1kgを切る軽量ボディーが最大の魅力だが、パフォーマンスも実用十分で端子類も使いやすい。画面は16:10のアスペクト比がサイズの小ささを補っており、表示品質も良好だった。期待以上にいい製品といえる。価格を考えると、非常に良い買い物だった。
なお、後継機として販売されている「HP OmniBook 7 Aero 13 AI PC」は、CPUが最新のRyzen AI 300シリーズとなり、Microsoftが定める要件を満たす「Copilot+ PC」となった。
こちらもセールなどで10万円台前半からとコストパフォーマンスはかなり良く、注目したい製品だ。メモリ価格高騰の影響で今後は値上がりも予想されるだけに、買うなら早いほうが良いかもしれない。
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