
『め組の大吾』『昴』『capeta』などで知られる漫画家の曽田正人が、新たなモータースポーツの金字塔を打ち立てるべく再始動。2月27日発売の「ビッグコミックスペリオール」6号(小学館)にて、最新作『非視界戦闘 アイアンレッキ』(冨山玖呂との共作)の連載を開始した。
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2003年〜2013年まで連載された人気カート・F1漫画『capeta』の連載終了から13年。モータースポーツへの深い造詣と敬愛を持つ曽田が満を持して世に送り出すのは、未舗装路や公道を全開で駆け抜けるラリーの世界だ。
一般的にモータースポーツといえば、整備されたサーキットを周回するF1などのレースを思い起こす人が多いのではないか。F1が「人類最速」を争うのに対し、ラリーは「自動車メーカー世界一」を成り立ちとしている。まだ馴染みの薄い領域かもしれないが、1台ずつ走行してタイムを競うSS(スペシャルステージ)や、公道を移動するリエゾンなど独自の形式で行われる過酷な競技だ。その規模は壮大で、WRC(世界ラリー選手権)ともなればSSの総距離は約300キロ〜350キロ、リエゾンを含めた総走行距離は1000キロ〜1500キロに及ぶことも。全日本ラリーなどでもSSは50〜100キロほどに達し、刻一刻と変化する路面状況への対応が求められる。
曽田の作品を語るうえで欠かせないのが、徹底した現場主義とそこから生まれるリアリティあるストーリーだろう。『capeta』では、父子家庭で経済的に困窮しながらも、父が廃材から作り上げた手製カートで才能を開花させる少年・勝平太の成長を描き切った。今作でも、数年前から実際にWRCの現場に足を運び、現地の空気感を肌で感じてきた作者の熱量が誌面にみなぎっており、読者からも「画面からエキゾーストノート(排気音)が聞こえる」との声が聞かれる。
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そんな『アイアンレッキ』最大の魅力となりそうなのが、ラリー競技が持つ独特の緊迫感だ。サーキットレースとは異なり、予測不能な峠道や砂地、泥道を走行するラリーでは、ドライバーと助手席でコース状況を読み上げるコ・ドライバーの連携が勝敗を分ける。物語はスペシャルステージ(SS)スタート直前という場面から幕を開けたが、『capeta』同様にマシンの性能差だけではない、人間の内面的な強さと信頼関係に焦点を当てる曽田作品の真骨頂が今作でも期待できそうだ。
連載開始直後の3月1日には、愛知県で開催された「ラリー三河湾」にて、WRCに参戦中の勝田貴元選手と曽田によるトークショーが実現。勝手は、『capeta』を読んで青春時代を過ごしたと言い、SNSではトークショーを振り返り「曽田先生のラリー愛が聞けて感動でした!」と綴っている。また曽田自身も、勝田が世界で闘いながらファンを大切にする姿に感銘を受け「いつかラリー漫画を描きたい」という願いを抱くようになったと明かした。
曽田作品の根底にある「逆境にある者が知恵と覚悟で強者に挑む」という構造も、本作に引き継がれるのは間違いないだろう。かつてカペタが、練習すらままならない不利な環境から、本番中の驚異的な「覚醒」によってライバルを抜き去ったように、ラリーにおいても、主人公の天才的なひらめきによってどうコースを攻略していくのか。
第1話は56ページという大ボリュームで展開されている。気になった読者は、排気音と砂煙が立ち込める世界へ飛び込んでみてはどうか。
(文=蒼影コウ)
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