限定公開( 6 )

Appleは、3月11日にiPhone 17シリーズで最も安価な「iPhone 17e」を発売した。同時に、タブレットの「iPad Air(M4)」やMacとして初めてiPhoneと同じAシリーズのチップセットを活用した「MacBook Neo」の販売も開始した。3機種とも、日本での価格は10万円を下回るエントリーモデル的な位置付けだ。
では、Appleはどのような考えでiPhone 17eやiPad Air、MacBook Neoを開発したのか。同社でiPhoneプロダクトマーケティング担当バイスプレジデントを務めるカイアン・ドランス氏に話を聞き、iPhone 17eを投入する狙いや、エントリーモデルを3機種同時にそろえた意図を読み解いていく。
●好評だった16eを強化、ベーシックな機能を強化したiPhone 17e
2025年に初めて投入した廉価モデルの「iPhone 16e」だが、そのコストパフォーマンスの高さが受け、「非常に好評で、日本を含む世界中の多くのユーザーから共感された」(ドランス氏)という。実際、各種販売ランキングでもiPhone 16eは好調で、Appleのシェア拡大に貢献したとの評価も高い。
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「長くバッテリー駆動時間や処理能力の高さ、優れたカメラシステムが高く評価されました。同時に、必ずしもProモデルまでは必要がない人にとって手ごろな価格で、かつ日々の生活において実用的で便利な優れた機能をたくさん備えていることも評価されています」
“e”の付くiPhoneを継続的に展開することになったのは、そのためだ。iPhone 16eと比較し、iPhone 17eには「重要なアップグレードとなる新しい利点を詰め込むことができた」という。ドランス氏が真っ先に挙げたのが、「エントリーモデルのストレージを(128GBから256GBに)倍増させ、価値を保ちつつ同じ価格を維持できた」ことだ。
iPhone 17eには、iPhone 17シリーズで特に好評だったという機能も盛り込まれている。ドランス氏によると「MagSafeや次世代ポートレートなど、他のラインアップで共感を呼んだものを見てきたが、これらはiPhone 17eに導入したかったもの」だったという。ディスプレイの強度を上げる「Ceramic Shield 2」もiPhone 17シリーズで「非常に好評だった」といい、iPhone 17eでの対応につながった。
「価値を重視する多くのユーザーは、製品に耐久性と寿命も求めます。そこには、デザインや素材の選定、さらには最新世代のAppleシリコンを搭載することも含まれます。それ(Appleシリコン)は、日々のパフォーマンスとバッテリー駆動時間を提供するだけでなく、時間がたっても使えることになるからです。
特に将来、AIモデルを活用し、よりインテリジェントなタスクを実行するかもしれない場合には、最新世代のAppleシリコンが必要であり、それが今後何年にも渡って役に立ちます」
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興味深いのは、A19を採用したことで単純な処理能力だけでなく、カメラの画質も底上げされていることだ。これは、A19内のISP(Image Signal Processor)の進化によるところが大きい。ドランス氏によると、「私たちはISPやビデオのエンコーダー、デコーダーも設計しており、これら全てがカメラシステムを素晴らしいものにするのに役立っている」という。
「これらは、個別の部品で行える以上のことを可能にします。より統合された集合体が、次世代ポートレートのようなコンピュテーショナルフォトグラフィーによる機能や、ビデオ撮影に導入した最高クラスの手ブレ補正などの機能を可能にしています。これは、私たちが長年に渡って焦点を当て、進化させ続けてきた分野です」
●新入学、新生活がターゲット、日本市場を強く意識した製品に
では、iPhone 17eはどのようなユーザーを想定しているのか。ドランス氏は、「スマホを初めて使う人や、Proモデルのカメラ機能やProRes録画までは必要がないかもしれない人にとって素晴らしい選択肢になると思う」と語る。後者には、「『iPhone 11』や『iPhone SE』などの古い機種からの乗り換え」も含まれるという。
初めてiPhoneを使うユーザーには、学生も含まれる。日本では、1月終わりごろから3月までが春商戦と呼ばれ、携帯電話の新規契約が増える時期にあたる。若年層をターゲットにした割引が提供されるのは、そのためだ。9月入学が一般的な欧米とは、学生向け製品の商戦期にズレがある。
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グローバルメーカーの場合、夏に「Back to School(バック・トゥ・スクール)」向けと銘打った新製品を投入することも多い。にもかかわらず、全世界で発売するiPhone 17eを3月に投入したのは、Appleが日本市場を重要視している証拠といえる。ドランス氏も、「新学期と新生活の時期に日本に来ることができ、大変興奮している」と話す。
投入時期に加え、その価格設定も実に日本市場向けだ。iPhone 17eの価格は9万9800円から。これは、企業が消耗品として経費に一括計上できる10万円をギリギリ下回る金額だ。日本の税制では、10万円以上の製品を購入した場合、固定資産として計上する必要があり、複数年での減価償却が必要になる。キャッシュが出ていくにもかかわらず、税金はかかってしまう。
そのため、10万円を境に企業導入のハードルは大きく変わる。iPhone 17シリーズが日本円では値上げになっていたのに対し、iPhone 17eのみ価格を据え置きにしたのもこうした背景があると見ていいだろう。実際、ドランス氏も「中小を含めた企業が、iPhone 17eのように耐久性があり、機能的な携帯電話を評価する可能性も見込んでいる」と語っている。
時期と価格――iPhone 17eは、これら2つの観点で日本市場に最適化した端末に仕上がっている。本来、エントリーモデルは間口を広げ、ユーザーを呼び込むために投入する製品だが、日本市場では単なるエントリーモデル以上の戦略性を帯びているといえる。
●Apple製品連携の利便性も訴求してエコシステム拡大を狙う
こうしたエントリーモデルは、エコシステムへの入口としても重要な役割を持つ。2025年、iPhone 16eと「iPad Air(M3)」をほぼ同時期に発売したのに続き、AppleはiPhone 17eに合わせ、iPad Air(M4)を投入。さらに2026年は、MacBookにもエントリーモデルのMacBook Neoを加え、発売日を3月11日に合わせた。これによって、最新iPhone、iPad、Macのエントリーモデルをまとめて購入することが可能になった。
iPad Air(M4)は9万8800円から、MacBook NeoはiPhone 17eと同じ9万9800円から。3台セットで買っても、30万円に満たない。ハイエンドスマホの一部が20万円を超える中、スマホ、タブレット、PCをまとめ買いしても30万円で済んでしまう、それも全てプレミアムなブランドとして認知されているApple製というのは破格といえる。
ドランス氏も、9万9800円という価格を挙げながら、「1つの製品を持っている人が別の製品を試すことにより、これらの連携機能の利点を確認する機会になる」と話す。
「これらの製品ラインには、特に学生にとっては素晴らしい利点がたくさんあります。手ごろな価格でありながら機能を備えていることは大学に進学する学生にとって重要ですが、私たちは製品が連携してどれだけうまく機能するかも重視しています。そのためiPhone、iPad、Macの連携機能に目を向け、学生が学校の課題やノートの作成、学校のプロジェクトでさらに生産性を高めるため、これらの機能を使用できるようにしました」
ドランス氏が挙げた機能の1つが、「MacでiPhoneのカメラを制御する機能」だ。ユニバーサルクリップボードを利用すると、「iPhone、iPad、Macの間で簡単にテキストや写真をコピー&ペーストできる」。「外出先でiPhoneを使ってメモやメールを作成し、あとでMacに戻って完成させる」のも、Apple製品でそろえていればより連携がシームレスになる。
いわば“エコシステム総取り戦略”とも呼べる戦い方だが、3製品とも9万円台後半に設定したことで、より入口が広くなった。iPhoneのユーザーがMacBook Neoを買ってもいいし、授業のためにMacBookを既に使っているユーザーがスマホをiPhone 17eにしてもいい。製品自体のコストパフォーマンスが高いのはもちろん、エコシステム全体が強化されたことで、iPhone 17eの魅力もさらに高まったといえそうだ。
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