「1回でも多く公演に行きたくて」 STARTO関連コンサートで90回転売した女性、「転売ヤーではない」と心境告白

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2026年03月18日 18:16  ねとらぼ

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取材に応じた都内在住の女性(画像:ねとらぼ)

 「転売をしようと思って始めたわけではありません。ただ1回でも多く公演に行きたくて、チケットを交換しているという感覚でした」──そう語るのは、STARTO ENTERTAINMENT(STARTO社)所属グループのファン歴10年以上の20代女性。彼女は過去4年に渡り約90枚のチケットを、「チケット流通センター」「チケジャム」などのチケットリセールサイトを通じて売買。大きな利益は出ていないものの、結果としてSTARTO社のタレントのコンサートを主催するヤング・コミュニケーション(YC社)と法的トラブルに発展し、高額な和解金を支払う形で解決に至りました。「転売ヤーという認識はなかった」と語る彼女へのインタビューから、「なぜ“普通のファン”が転売に関わるようになったのか」に迫ります。


【画像で見る】高額転売が行われていたサイト


転売の入り口は「チケットが取れない」こと──

 中学生の頃からSTARTO社所属グループのファンになったと語るのは都内在住の20代女性。「ファンクラブ(ファミリークラブ)に加入しても5年間で一度もチケットが当たらない人もいるくらい、数年前からチケットが本当に取れなくなりました。当時は公式のリセール制度もなく、それでもどうしても公演に行きたくて『グループ名 チケット』で検索したところ、『チケット流通センター』や『チケジャム』の存在を知り、購入するようになりました」。


 当時、女性にはチケットの転売が違法であるという認識はなかったといいます。


 「サイト内でやり取りが完結することや、第三者が仲介する仕組みがあることから、『手数料を払ってでも安全に取引できるサービス』だと思っていました。詐欺がないことが一番大きく、“安全な場所”という認識でした」。


転売価格が10万円のチケットもあれば0円になるチケットも──

 転機となったのは、とある公演にどうしてもいけない事情が生じた時。「(アーティストのために)どうしても空席を作りたくなくて、自分が買った時みたいに売ればいいんだと初めてチケットを売りました」と振り返ります。


 転売していたチケットは友人との重複当選などがほとんどで、「自分がいけなくなった公演のチケット」を出品し、「別の日程のチケット」を購入することを「チケット流通センター」を中心に繰り返していたとのこと。


 「正直に言えば私は『転売ヤー』ではありません。最初からチケットを転売目的で購入したことは1度もありませんし、売るためにチケットを買うのはファンではないからです。ただ同じツアーコンサートだったとしても、衣装が違ったり表情が違ったり、本当に1公演ごとに違う魅力があるから、1つでも多くの公演に行きたかったという気持ちでした。自分の中ではチケットを転売しているとうより、交換しているという感覚が強かったです」。


 また転売価格は「チケット流通センター」などに出品されている他のチケットの価格を参考にしており、「定価以下で500円のチケットもあれば、本当に人気の公演だと10万円近いものもあり、その時の相場に合わせて出品していました。ただ人気がない公演だと売れないこともあるのでその場合は友人に無償で譲ったりしてチケットが実質0円になることもありました。でもそれで友人がそのグループにハマってくれたらそれでうれしかったし、ある意味宣伝代みたいな気持ちもありました。利益についてはほとんどプラマイゼロです」と女性は語ります。


突然届いた弁護士からのメール──

 彼女がこうした転売の違法性を認識したのは、ある日届いた1通のメールがきっかけでした。


 そこには、2024年から2025年にかけて女性がチケットの転売を行った情報を元に、発信者情報開示請求が行われた旨が記載されていたものの、「最初は何のメールなのかな?」と思ったという女性。送信元の弁護士事務所のことを調べるなどし、初めてその違法性を認識したと言います。


 女性は当時について「薄々はダメなことなのかなと分かっていました。でもみんなやってるし、という感覚もありました」と振り返りました。


 その後女性は弁護士を通じて、YC社に反省の気持ちを伝えて和解。詳しい条件は明かされていないものの高額な和解金については自身で用意したと語りました。


リセール制度があればやらなかった──

 取材中、彼女が繰り返し強調したのは当時のファンを取り巻く環境。現在は整備されている「公式リセール制度」などが存在しなかったため、当選チケットの譲渡手段がない、当日空席を作ってしまう、友人との重複当選で日程が被るといった問題を解決する術がなかったため、代替手段として「チケット流通センター」などのサイトを使っていたというのです。


 またそうしたチケットリセールサイトについては「元々サイト自体がなかったら、売り買いするという行為ができることも知らなかったですし、こういうことにはならなかっただろうと思います。あのサイトを使っているのは若い人だけでなく幅広い年齢層の人たちです。安全性が担保されているように見えたり、やり取りしやすい構造になったりしていて、サイトが転売自体を促進していたとは思います」と語ります。


 彼女は現在チケットの売買を一切行っておらず、リセール制度ができたことについても「本当にいいことだ」と語り、「自分が言える立場ではありませんが、公式以外でのチケットの売買はやめた方が良いと思います。みんなが使っているから安全というわけではありません。今は公式のリセール制度があるのでそれを使った方がいいと思います」と話しました。


これ以上、応援するグループに迷惑をかけられない

 取材の終盤、彼女が最も気にしていたのは、自身の行為によって応援しているグループに迷惑がかかることでした。顔出しはNGとしつつも、質問には丁寧に答える姿勢が印象的で、その姿は「悪質な転売ヤー」というよりも、「好きすぎて一線を越えてしまったファン」といえるものでした。


 一方で、行為そのものは違法です。チケット不正転売禁止法に抵触する可能性があるほか、ケースによっては詐欺罪や電子計算機使用詐欺罪に問われる可能性もあります。


 3月2日には、YC社が「チケット流通センター」に対し、「チケットの不正転売を仲介して手数料を得ることの正当性がないことを確認するため」として、不当利益返還請求などを求める訴訟を提起していたこと(関連記事)も明らかとなっており、エンターテインメント業界全体の転売対策やチケットリセールサイトのプラットフォームの責任のあり方が問われています。


(Kikka)




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