
「『まんてん』のオーディションを受けたころは、雑誌のグラビア撮影など“布の少ないお仕事”が多く、お芝居の経験はほぼありませんでしたから、合格するなんて考えてもいませんでした」
こう振り返るのは、宮地真緒さん(42)。印象に残っている選考は芝居ではなく、走ることだった。
「走ることが多い役だったからか、NHKのいちばん広いスタジオで何周も走らされました。私は陸上部で中距離ランナーだったので、しっかりペース配分できました」
当時は高校3年生。東京の進学先、一人暮らしのマンションも決まっていた。
「それなのに高校卒業式の前日、突然、淡路島の実家に事務所の社長とマネージャーさんが来て『朝ドラが決まった。明日の卒業式は出られません』と言われて、その日から思い描いていた未来が激変。東京のマンションは解約して、短大も入学式の1日だけ行って休学、結局その後退学したので、親には申し訳なかったです」
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それからの3〜4カ月間は、発声と演技の個人レッスンが詰め込まれたが、自信が持てないままクランクインを迎えることに。
「撮影は、屋久島のロケからスタートしました。冒頭の川に飛び込むシーン、すごく緊張したのですが、5月の屋久島は雪解けの時期で、水に触ると手がピリピリするくらい冷たいし、服がぬれてしまうから一発勝負。それで“エイ!”と思い切って川に飛び込んだら、気持ちも同時に吹っ切れました」
撮影現場では、驚かされることもあった。
「浅野温子さんは、撮影直前まで『○○のお店がおいしかった』と雑談しているのに、本番に入った瞬間に涙を流すんです。その姿が衝撃的で……。そのような気持ちの切り替えは、私には到底無理です。主人公・満天のように明るくも活発でもない私ですが、島育ちで、社会にもまれながら大人になっていくという部分が共通していたので、とにかく撮影期間中は、オンもオフも満天になりきろうとしていました」
夫役の藤井隆との共演シーンが印象的だったという。
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「藤井さんのセリフに涙が止まらなくなったんです。泣くなんて台本になかったのですが、監督さんもそのまま続けさせてくれました。主人公になりきって湧き上がった感情に、自分でも驚かされました。それと同時に俳優の仕事の楽しさにも気づかされました。『まんてん』は、私の人生を変えてくれた作品です」
連続テレビ小説『まんてん』(NHK、2002〜2003年)
「宇宙に行きたかー!」。屋久島で生まれた日高満天(宮地真緒)がバスガイド、気象予報士を経て宇宙に行く物語。奇想天外な設定ながら、まっすぐ夢に向かって進む満天の勢いに引っ込まれた!
【PROFILE】
みやじ・まお
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1984年生まれ、兵庫県洲本市出身。高校在学中に参加したホリプロスカウトキャラバンをきっかけに芸能界入り。2002年の『まんてん』出演で人気を博し、数多くの舞台や映画、ドラマで活躍する。
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