“馬のまち”栗東市の資料(c)netkeiba 中央競馬を支える西の拠点、JRA栗東トレーニング・センターが置かれる滋賀県栗東市。京都や大阪からほど近いこの街は、“馬のまち”として広く知られている。その魅力と、競馬産業とともに歩んできた歴史と現在をひもといた。(取材・文=netkeiba編集部)
栗東市は滋賀県南西部に位置し、人口は約7万人。日本の大動脈の一つである名神高速道路・栗東ICや、JR栗東駅もあるなど、交通アクセスに優れている。市内には金勝山をはじめとする豊かな自然が広がり、かつては東海道の宿場間の休憩所である“立場(たてば)”が置かれ、今も街道文化が残る。都市の利便性と緑豊かな風景が共存し、お米やいちじくの生産も行われている。
同市と競馬の関わりは深く、日常の一部として根付いている。市の担当者は「1969年にJRA栗東トレーニング・センターが開場して以来、ここから多くの名馬が巣立ち、近代競馬史に残るドラマが生まれてきました。市内には調教師や厩務員をはじめ、馬を支える人々の営みがあります。馬は本市にとって重要な地域資源です」と語った。
その強みを生かした地域おこしも進めている。2032年の開園を予定する「栗東ホースパーク」は代表例で、誰もが気軽に馬とふれあえる拠点を目指し、「ふれあい牧場」や「馬ミュージアム」の整備に加え、引退競走馬のリトレーニングや再就職を支援する機能を計画。“馬のセカンドキャリア”という課題に自治体が向き合い、新たなランドマークとなりそうだ。
ふるさと納税にも“馬のまち”らしい特色が。騎手のサイン色紙や、競走馬が実際に使用した調教ゼッケン、蹄鉄をモチーフにしたアクセサリーなど、競馬ファン注目の返礼品が用意されている。2013年からは寄附金の使い道に「地域資源を活かした元気なまちづくり」を新設。馬を軸とした地域振興に活用されており、今年2月に実施された『ウマ娘 プリティーダービー』とのコラボ展示が一例だ。イベントは多くの来場者を集め、若年層への認知拡大や知名度向上につながったという。
数々の名馬が巣立ち、ドラマを刻んできた栗東。レースの歓声の裏側には、この街における半世紀以上の人と馬の営みがある。熱戦を支える“馬のまち”の存在もまた、競馬の一部なのだ。